By まつがん
6月26日(土) に発売予定の王来篇第2弾「禁時王の凶来」に収録される新カード、《T・T・T》。このカードを使ってどのようなデッキを組むべきか。
それを考えるにあたっては、「この《T・T・T》をどのような手段で唱えるのが最も効率的か」を知る必要がある。
なぜなら、3文明のカードを3ターン目に安定して唱えることはかなり難しくなるため、普通にデッキに入れただけだと《王立アカデミー・ホウエイル》とそう変わらない運用となってしまうからだ。
そしてその手段を知るには、「《王立アカデミー・ホウエイル》が《T・T・T》になったことで増えた踏み倒し範囲」を検証していけばいい。
具体的には、「コスト3以下の踏み倒しで踏み倒せるようになったこと」「光・火の呪文踏み倒しで踏み倒せるようになったこと」がそのような範囲となる。
では、これらの踏み倒し手段としては具体的に何があるだろうか?
そう、《ナゾの光・リリアング》と《ミラクル1 ドレミ24》だ。
特に《ナゾの光・リリアング》は《T・T・T》とセットで引くだけで2ターン目3ドローが約束されるため、極めて相性が良い。
他にも《魔軸の鎖 カメカメン》や《♪銀河の裁きに勝てるもの無し》でも《T・T・T》の踏み倒しは可能である。これだけ踏み倒し手段を用意しておけば、律義に光・水・火の3文明をマナに用意する必要はないだろう。
ただ、ここで例によって再現性が問題となる。《T・T・T》を踏み倒す手段は最低でも2種8枚以上積めるのに対し、《T・T・T》自体はデッキ内に4枚しか積めないので、《T・T・T》を引かない場合に動きが弱くなってしまうことが想定されるからだ。
《ロジック・サークル》や《ロスト・ウォーターゲイト》を用いて再現性を高める手法もあるが、カードを3枚引くためにカードを1枚使うのはいかにも馬鹿らしい。
したがって求められるのは「なるべく軽く、かつ手札を使わずに《T・T・T》を引く方法」となる。
そのようなカードとしては何があるだろうか。
《貪欲な若魔導士 ミノミー》は《T・T・T》を探せる初動となりつつ、《ミラクル1 ドレミ24》の「革命チェンジ」元としても機能する。
また、《水晶の記録 ゼノシャーク / クリスタル・メモリー》も3ターン目に召喚して4ターン目の攻撃時に《ミラクル1 ドレミ24》へと「革命チェンジ」すれば、《クリスタル・メモリー》で《T・T・T》を山札からサーチしてからそのまま唱える動きが可能だ。
さて、ここまでの話をまとめると、以下のようなデッキになることが想像できる。
『途中経過』
《ナゾの光・リリアング》 | |
4 | 《貪欲な若魔導士 ミノミー》 |
光か水の追加の2マナ域 | |
4 | 《水晶の記録 ゼノシャーク / クリスタル・メモリー》 |
《魔軸の鎖 カメカメン》 | |
4 | 《ミラクル1 ドレミ24》 |
4 | 《♪銀河の裁きに勝てるもの無し》 |
4 | 《T・T・T》 |
8 | ??? |
略 |
このようにデッキの輪郭が決まると、残りのスロットに対する「要請」が決まってくる。
「要請」とはすなわち、《ナゾの光・リリアング》が入ったデッキはできるだけ多くの「光のコスト3以下の呪文」が入っていることを求めるし、《貪欲な若魔導士 ミノミー》が入ったデッキはできるだけ多くの「呪文」が入っていて欲しいなどの、デッキパワーやシナジーを最大化させようという空きスロットに対する力学のことである。
その理屈だけで行くと残り8枚はすべて両者の公約数である「光のコスト3以下の呪文」で埋めればいいだけのようにも思えるが、「要請」は特定のカードスロットのみから発せられるものに限らず、デッキ全体から発せられることもある。
今回の場合、デッキコンセプトが光・水ベースのアグロデッキになっており、光と水の特性上打点が伸ばしづらいという問題があるため、打点を伸ばせるカードが欲しいという「要請」がコンセプトそのものから実は発せられていることに気づく必要がある。
「打点を伸ばせて」「呪文である」という「要請」に沿うカードとしては《ダイヤモンド・ソード》や《瞬閃と疾駆と双撃の決断》が挙げられる。
それぞれに一長一短があるため、《水晶の記録 ゼノシャーク / クリスタル・メモリー》があるこのデッキの場合は、どちらか一方を採用するよりはシチュエーションに応じて最適解が選択できるように散らして採用するのが望ましいだろう。
また、呪文ではないが打点を伸ばせる方法として「革命チェンジ」がある。《ミラクル1 ドレミ24》がコンセプトとしてデッキ内に自然に組み込まれているので、返しのターンで処理されなかった場合は《時の法皇 ミラダンテXII》や《天革の騎皇士 ミラクルスター》へとさらにチェンジすることでゲームを有利に進められそうだ。
『途中経過2』
《ナゾの光・リリアング》 | |
4 | 《貪欲な若魔導士 ミノミー》 |
光か水の追加の2マナ域 | |
4 | 《水晶の記録 ゼノシャーク / クリスタル・メモリー》 |
《魔軸の鎖 カメカメン》 | |
4 | 《ミラクル1 ドレミ24》 |
4 | 《♪銀河の裁きに勝てるもの無し》 |
4 | 《T・T・T》 |
2 | 《超次元サプライズ・ホール》 |
2 | 《ダイヤモンド・ソード》 |
2 | 《瞬閃と疾駆と双撃の決断》 |
1 | 《天革の騎皇士 ミラクルスター》 |
1 | 《時の法皇 ミラダンテXII》 |
略 | |
略 |
ここまで来るともう完成と言っていいような気もしてくるが、実はこのデッキにはまだ重大な欠陥が残っていた。
それはターンを確実に確保できるS・トリガーがないという点だ。
自分のリソースが3枚増えるだけの《T・T・T》は言わずもがな、それを踏み倒すための手段もすべて自分の都合だけ見て決定されたスロットである。ゆえに防御札に避けるスロットは少なく、そうなると必然赤青ノヴァにおける《終末の時計 ザ・クロック》や赤白ノヴァにおける《閃光の守護者ホーリー》のように少数精鋭のS・トリガーを採用したいという話になってくる。
だが、ここで「要請」が絡んでくる。すなわち《貪欲な若魔導士 ミノミー》がある都合上、防御札もまた呪文であることが望ましいのだ。
呪文版の《終末の時計 ザ・クロック》とも言える《ルシファー》という選択肢もあるが、S・トリガーとしての働きを期待するなら4枚フルで搭載する必要がある点がネックとなった。
また、《水晶の記録 ゼノシャーク / クリスタル・メモリー》を生かして《光牙忍ハヤブサマル》を採用する手もあるが、所詮1体を止められるだけなので過剰打点で押しつぶされたら成す術がない。
つまり、必要なのは1~2枚のスロットを割くだけで相手の攻撃をシャットアウトできる呪文ということになる。
そんな都合の良いカードが存在するはずもない……と、そう思われた。
だが、ここで私は思いついたのである。すべての「要請」を満たす、奇跡のようなカードを。
そう、《賢者の紋章》だ。
このカードならばたった1枚デッキ内に差しておくだけで、運が絡むものの相手の攻撃を完全に止めることが可能となる。
しかもこのデッキはお誂え向きに「光のクリーチャー」「水のクリーチャー」「呪文」の3つをほぼ均等に採用するデッキバランスとなっているのだ。
というわけで、できあがったのがこちらの「トリプル・シュート」だ!
『トリプル・シュート』
《ナゾの光・リリアング》 | |
4 | 《貪欲な若魔導士 ミノミー》 |
《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》 | |
1 | 《カシス・オレンジ / ♥応援してくれるみんなが元気をくれ~る》 |
1 | 《タイム1 ドレミ》 |
4 | 《水晶の記録 ゼノシャーク / クリスタル・メモリー》 |
《魔軸の鎖 カメカメン》 | |
4 | 《ミラクル1 ドレミ24》 |
4 | 《♪銀河の裁きに勝てるもの無し》 |
4 | 《T・T・T》 |
1 | 《機術士ディール/「本日のラッキーナンバー!」》 |
1 | 《セイレーン・コンチェルト》 |
1 | 《超次元サプライズ・ホール》 |
1 | 《失われし禁術の復元》 |
1 | 《ダイヤモンド・ソード》 |
1 | 《瞬閃と疾駆と双撃の決断》 |
1 | 《天革の騎皇士 ミラクルスター》 |
1 | 《時の法皇 ミラダンテXII》 |
1 | 《賢者の紋章》 |
2 | 《バツトラの父》 |
2 | 《全能ゼンノー》 |
2 | 《無限合体 ダンダルダBB》 |
2 | 《鋼ド級 ダテンクウェールB》 |
2 | 《マグ・カジロ》 |
2 | 《煌銀河 サヴァクティス》 |
2 | 《イオの伝道師ガガ・パックン》 |
2 | 《その先の未来へ、カミヤ・ミキ・ユア・ナルハ》 |
1 | 《愛しい場所、マイカ・月ノ・ハルナ》 |
1 | 《時空の喧嘩屋キル》 |
1 | 《時空の英雄アンタッチャブル》 |
1 | 《光器シャンデリア》 |
大量の1枚差しは一見奇異に思えるかもしれないが、《水晶の記録 ゼノシャーク / クリスタル・メモリー》によって1枚差しが肯定されているという点に裏打ちされた、複数の「要請」が重なり合ったときに起こる「多重要請のジレンマ」を解消する試みである。
「《貪欲な若魔導士 ミノミー》で手札に加えられる呪文の枚数」「光単色と水単色のカードの枚数」「能動的アクションが可能なS・トリガーの枚数」「《賢者の紋章》の成功率が上がるクリーチャーと呪文枚数の配分」といった互いに絡み合った複雑な「要請」を解消するためには、《超次元サプライズ・ホール》や《失われし禁術の復元》のような「S・トリガーでもある単色の呪文」や、《カシス・オレンジ / ♥応援してくれるみんなが元気をくれ~る》《機術士ディール/「本日のラッキーナンバー!」》のように「水単色のクリーチャーかつ呪文」といった複数の「要請」を横断して満たせるカードが必要不可欠となってくる。
そういったカードを少しずつずらして採用することでスロットの水増しを図りつつ、必然的に発生する分散は《水晶の記録 ゼノシャーク / クリスタル・メモリー》に吸収させることで、安定性は犠牲にしないままにシチュエーションへの対応力を得るという1枚差しのメリットだけを享受しようという構築思想となっているのだ。
このデッキが実際にどんな動きをするのか気になる方は、以下の動画で確かめてみて欲しい。
さて、いかがだっただろうか。
《T・T・T》が収録されている王来篇第2弾「禁時王の凶来」は、6月26日(土) に発売予定だ。
また、コロコロコミック7月号ではデュエル・マスターズの原作コミックが読めるほか、デュエマに関する激アツな最新情報も色々と掲載されているので、ぜひとも手に取ってみていただきたい。
ではまた次回!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
デュエマ妄想構築録vol.34バックナンバー | |
デュエマ妄想構築録 vol.34-1 ~蛮族になれ!スター・モモキング!!~ | |
デュエマ妄想構築録vol.35バックナンバー | |
デュエマ妄想構築録 vol.35-1 ~祭りだワッショイ!タイヨー・ファミリエ!!~ | |
デュエマ妄想構築録 vol.35-2 ~何があっても離れない!無敵侵略!!~ | |
デュエマ妄想構築録 vol.35-3 ~驚異のドロー力!《T・T・T》登場!~ |