マスターブレーダーホリカワのベイ熱中改造塾!!
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第2回「激注目! 日本代表決定戦8強のベイデッキ大公開!」
こんにちは! マスターブレーダーのホリカワです。
連載第2回では、「G-1バーストカップ~世界大会予選2018~日本代表決定戦」(6月23、24日「次世代ワールドホビーフェア」で開催)のベスト8に残ったベイデッキに解説を加え、その中で注目するべきベイについて紹介していきたいと思います。
まずは、ベスト8(ブレーダー1~8)の使用ベイと勝敗を振り返りましょう。
<1回戦(ベスト8)で使用されたベイと勝敗>
【第1試合】ブレーダー1 VS ブレーダー2
ブレーダー1→勝ち
クラッシュラグナルク.0B.Ds
スプリガンレクイエム.Ω.Br
ヘルサラマンダー.10M.At
ブレーダー2→負け
アーチャーヘラクレス.0B.Br
エンペラーフォルネウス.Ω.R
スプリガンレクイエム.10M.Et
【第2試合】ブレーダー3 VS ブレーダー4
ブレーダー3→負け
アーチャーヘラクレス.10U.Et
スプリガンレクイエム.0B.Br
ヘルサラマンダー.7M.At
ブレーダー4→勝ち
スプリガンレクイエム.Ω.Br
ウイニングヴァルキリー.10S.Ω
ヘルサラマンダー.0B.At
【第3試合】ブレーダー5 VS ブレーダー6
ブレーダー5→勝ち
エンペラーフォルネウス.Ω.R
ヘルサラマンダー.10G.At
スプリガンレクイエム.0B.Br
ブレーダー6→負け
ヘルサラマンダー.0B.Br
スプリガンレクイエム.10M.At
アーチャーヘラクレス.7G.Et
【第4試合】ブレーダー7 VS ブレーダー8
ブレーダー7→負け
アーチャーヘラクレス.7M.At
エンペラーフォルネウス.Ω.R
ヘルサラマンダー.0B.R
ブレーダー8→勝ち
ヘルサラマンダー.0B.Br
ナイトメアロンギヌス.U.X
エンペラーフォルネウス.Ω.R
■ベスト8でもっとも多く使われたベイとは……?
まず、スプリガンレクイエムをほぼすべてのブレーダーが採用している点に注目です。
スプリガンレクイエムは、左右どちらの回転にも切り替えることができ、またラバー(※1)がついているので、逆回転してくる相手の回転を吸収し、より長く回ることができる点が特徴です。相手を見て左右回転を切り替えられる機能は、勝利を得るための大きな要素と言えます。
▲スプリガンレクイエム
そして、ドライバーにベアリング(※2)を使ってくる人も多いです。ベアリングの利点は、工業製品のベアリングを搭載し、摩擦抵抗を減らしていることと、軸先にPOM(※3)という滑りやすい素材を使っているため、長く回転していられるところです。これにより、回転の吸収狙いで相手とは逆回転に打って、ギリギリで粘り勝ちできますね。
スプリガンレクイエムで、ドライバーをベアリングにしていない人たちは、それ以外のレイヤーにベアリングをつけています。その場合は、「エターナルドライバーでもスプリガンレクイエムなら十分勝てるだろう」と読んでいるのでしょう。エターナルドライバーも軸先にPOM素材を使っているため、ベアリングほどではなくともスタミナが発揮されるのです。1ポイントを確実に取りたいという意識が見えてきます。
当然、どのベイでもベアリングは入れたいところでしょうが、ルール上できません。これをどのレイヤーに持っていくか、そこが悩みどころと言えます。
■ホリカワ’s EYE 注目のベイはこちら!
私が特徴的だと感じるのは、ブレーダー4の、ウイニングヴァルキリー.10S.Ω。アタックタイプのウイニングヴァルキリーにスターフレームを装着しています。スターフレームは5枚刃で、相手ベイへの引っかかりが大きい、そこにレアパーツであるオクタドライバーです。
とにかくこのドライバーは重い。これを全力で打って、その重みによる攻撃と、ウイニングヴァルキリーの面の攻撃でバーストを狙っていると思われます。もしくは相手のベイのどこかに引っかかって、オーバーフィニッシュ(※4)を狙うこともできます。こういう攻めた改造は大好きです。
もう一つ気になるのは、ブレーダー1が使っている、クラッシュラグナルク.0B.Dsですね。もともと外重心で遠心力の強いクラッシュラグナルクに、重量級のゼロディスク、デストロイドライバーを組み合わせています。デストロイドライバーは、軸先にあるギザギザと、その周りにあるプレートで支えることにより、スタジアム面に密着し、攻められても傾きにくい特徴があります。
この組み合わせは、右回転の受け流し系のベイなので、相手がヘルサラマンダーなどの左回転タイプを出してきた場合、力を吸収しあって粘り勝つことができるでしょう。左回転ベイをピンポイントで狙ってきてますね。この、相手を予想してそれに賭ける、というのも、作戦としては大いにアリだと思います。
どのブレーダーにも共通した意図があり、全体的には手堅い改造が多かったと感じます。ベアリングドライバーを使っていないものについては、同回転同士でぶつかった時にバーストされるのを嫌い、ベアリング以外のところで攻めていると思われます。
以上、ベスト8のベイを見てきましたが、いずれも6月時点での最高クラスの改造であることは間違いないでしょう。次回は、この続き、準決勝、3位決定戦、決勝の組み合わせを紹介します。公開をお楽しみに!
ベイブレードのレイヤーパーツに内蔵されたゴム製の部品。摩擦が大きく、逆回転の相手の回転を吸収できる。
※2.ベアリング
ベイブレードバーストのドライバーのひとつ。金属の球体を組み合わせ回転を良くする「ベアリング」の仕組みが使われており、ベイを滑らかに回転させる。
※3.POM
摩擦を少なくすることができる特殊素材。滑りやすいのが特徴。ギヤなどの工業部品にも多く使われている。
※4.オーバーフィニッシュ
ベイブレードバーストで、相手をスタジアムの外に弾き出して勝つこと。他の決着には、相手のベイよりも長く回ったほうが勝つスピンフィニッシュ、相手のベイをバースト(分解)させたほうが勝つバーストフィニッシュがある。
堀川亮(ほりかわ あきら)
マスターブレーダー。2008年、タカラトミー入社。ベイブレードバーストの開発からマーケティングまで、全般を担当。