ゲームとホビーの最新情報が集まる特大イベント「次世代WHFオンライン」は、1月16日(土)~1月31日(日)の期間で実施中!
初のオンライン開催となった「次世代ワールドホビーフェア(以下、次世代WHF)」の開催にあたり、20年以上にわたって続く子供向け最大規模のイベント「次世代WHF」を立ち上げたレジェンド・久保雅一さんにインタビューを実施!
久保雅一
コロコロコミック編集部にて、「ミニ四駆」ブームを仕掛け、「ポケモン」のメディアミックス展開に携わったレジェンド。
次世代WHF誕生の経緯から、コロナ禍におけるイベントの在り方についてまで語ってくれたぞ!
次世代WHF、誕生の経緯
――久保さんは日本最大規模のイベント「次世代ワールドホビーフェア」開催の立役者でいらっしゃいます。そもそも、この「次世代WHF」はどういった経緯で生まれたイベントなのでしょうか。
久保雅一さん(以下、久保):立役者って言われるとちょっと恥ずかしいんだけどね(笑)。ミニ四駆が全盛だった94年当時、最初は大森ベルポートさんでイベントをやっていたんです。
久保:しかしお客さんが増えるにつれてもっと広い会場が必要になって、幕張メッセやビックサイトでやるようになっていきました。
――熱量がどんどん上がっていって、より大きな会場が必要になったんですね。
久保:でもやっぱり、1日~2日の催事だけで終わらせるのはちょっともったいない。イベントには、関西・九州などの遠隔地から来る人がいっぱいいたので、なるべくそういった方々に近いところで同じイベントをする、ツアー形式にできたらいいなって思ったんですよね。そこで、全国のドーム球場を借りてイベントをやろうという流れに至ったわけです。
――なるほど!
久保:幕張メッセと名古屋、大阪、福岡って繋いでいこうとしたんだけど、みんなそれぞれ初めての試みでした。そのころは子供向けイベントをやっているのはコロコロだけの時代で、今と違って細かいデータもなかったですから。
――前例もなかったかと思いますが、ドーム規模のイベントでも成功するという確信はあったのでしょうか。かなり挑戦的ですよね。
久保:名古屋や福岡には、それぞれのドームに力のあるイベンターがいて、まずはそこに協力してもらいました。当初は「何千人ぐらいしか来ませんよ」と言われていたんですが、俺は「7万人ぐらい来るかもな」って言っていて。そしたらホントにそのぐらいのお客さんが来たんですよ。
――えぇ! 「7万ぐらい来る」って根拠は何だったんですか?
久保:特別なことではなくて、名古屋の東京との人口比だったり、日程的なことだったり、ドームの地理的な条件だったりですかね。ただ、隣の駅まで人が並んでしまったのは想定外でした。前日までに「この辺かな?」と想定していたのを全部超えていって、申し訳ないと思っていました。
当時は「ここからここまでで何時間待ちです」みたいなデータもないし、勘でやっていくしかない。「並んでて全然入れない」ってクレームが当然のことながらいっぱい出てくるから、最初は大変でした。
――ツアー形式となるとメーカーさんも設営など含めて大変だと思いますが、声をかけたときのリアクションはどんなものだったのでしょうか。
久保:「マジっすか!?」って感じ。でも、12月のクリスマス商戦が終わった後って他ではイベントもやっていなくて、国内のマーケットに関しては結構手が空いていたから、タイミング的には良かった。
――なるほど。
久保:でも、寒い外で長い時間お子さんを待たせるのは本意じゃなかったですね。大きな会場でやれば混雑しないかとも思いましたが、動員数が増えたことで却って待たせてしまったことは多々あったので、申し訳ないなと。複数会場でやる1回目はそういう意味でいろんな不安は大きかったです。
――久保さんの中で、次世代WHFが軌道に乗ってきて、もう大丈夫だなって思った瞬間はありますか。
久保:1回もないです。ガーって来場者に来ていただくと、やっぱり親御さんが疲れちゃうんで、翌年の数字が落ちてしまう。そして何年か経つと、また何か当たったときにガーっと増えて、また数字が落ちてくるっていう繰り返しですね。
――安心したことはなかったのですね。逆に、ここまで長く続くイベントになるとおもっていましたか?
久保:20年以上続いているものを、最初から完璧に見通すことはできないですね。だからわからないけど、例えば「ポケモンが流行っている間は大丈夫」みたいな感覚はあったかな。任天堂さんが出展するイベントは当時これしかなかったから、すごく大きかったと思う。
――ニンテンドー64とプレイステーションとセガサターンがならんでいたブースがあったわけですもんね。なかなか考えられないことですよね。
久保:こんなイベントはほかに無かったよね。ジャンフェスにしても幕張メッセでやるけど、なかなかローカル地域には出ていかないじゃない。それはやっぱり、うちが先に出てたっていう部分もあるし、同じことやりたくないってのも多分あるし。
――子ども向けイベントとして最大規模で、ほかのイベントとはツアーという形で差別化されているのが次世代WHFだと思いますが、久保さんが20年以上ずっと携わってきて、参考にしているイベントや気になっているイベントはありますか?
久保:そういったイベントは東京ゲームショウとジャンフェスしかないよね。ゲームショウは自分たちのクライアントが自分たちのブース以上の大きなものを出しているわけだから、「ゲームショウで使ったやつ持ってきたらどうですかね」って提案できるじゃないですか。それだと向こうにとってもラッキーだと思うから、チェックしておかないといけない。
――ライバル的な見方はしていないんですか?
久保:ライバルっていう見方はしていないけど、ジャンフェスはずっと気になってるよね。集英社さんが全面的に出てきていて、ブースの大きさ含めて桁違いに大きいわけだから。それから、幕張メッセの中でも違うホールを使っているわけで、参考にはなるよね。「やっぱりすげえなー」と思いますよ。
――そういう目線で見られているわけですね。
久保:実際に行ったときに、待機導線に色々な張り紙がしてあるんですよ。「これいいな」と学ぶものがたくさんあります。
――ありがとうございます。いままでの大会の中で、一番印象的だったことはなんでしょう。
久保:俺の想像をすべて超えていたのはポケモン関連ですね。ポケモンの人気が爆発してて、待機列が本当にすごかった。
――ポケモン人気、すごかったですからね。
久保:ポケモン関連のイベントで人気爆発したときが、各ドーム会場のギネスなんですよね。あの時代、ほかであんなにドームの中に人が入って楽しめることもなかったと思うよ。
ほかにも、地方で開催したことで、地方毎の子どもたちの反応の違いも理解できたので、コロコロ編集部的には「いろいろな地域差がわかって良かった」という話はよくしました。それから、自分たちがやる企画に対してどう反応しているかを見られるのが良かった。朝一に開場した瞬間に子どもがどこに行くんだろうっていうのはすごく興味がありましたね。ある種、ホビーが持っている真の力は確認できる。幕張メッセでずっと見てて、「やっぱあそこに行くか」って。その様子を鑑みて、本誌でも「じゃあ今度はあのページを増やそう」ってなるからね。
オンラインで開催される次世代WHF
――今回、コロナ禍での開催ということで初めてのオンラインでの実施となりました。経緯も含めて教えていただいてもよいでしょうか。
久保:最初は「次世代はやりません。以上!」って雰囲気だったけど、俺としてはずっと「やろうよ」って気持ちでした。ゲームショウもジャンフェスもオンラインで開催する中で、次世代WHFだけやらないんじゃ置いていかれてしまう。学校もどんどんオンライン授業が行われる中で、子どもたちに急速にオンラインっていう文化が進んでいるわけだよね。
だから子どもたちは俺たちの想像以上にオンラインに触れている中で、じゃあどうやってYoutubeも含めて提案するの?っていうことを今回勉強しなかったら、来年もし始めたとしてもジャンフェスに1年遅れたのがそのまま表れるんじゃないのっていう。
――1年の遅れはものすごく大きいですよね。
久保:収支的にはもちろん取れないと思うんだけど、やってみないと分からないことも多いので、いろいろ模索していこう、と。ちょっと前にちゃおのオンラインイベントがあって、アクセス数なども含めて発展途上だとは思うけど、ただ現場の人たちに「1日やってどうだった?」って聞いたらそれなりに何かを得たような顔をしていたんです。
――やってみないことには知見は増えませんからね。
久保:大変だっただろうけど、やって良かったんじゃないかなって。だから自分たちがどこまでできるか考えてやってみるべきですよね。ドラえもんやポケモンの映画が冬に公開されて、前回中止になったときよりは出せるものは増えているし、刀剣乱舞の企画もあったりして、実際やってみないとわからないことがたくさんあるので、子どもたちにどう取られるかをしっかり見たいですね。
――今回はツアー開催を始めたときのように、ある種未知の領域にチャレンジしていくということですね。やってみないとわからないけど、確実に得るものはありますよね。
久保:ベンチマークになるイベントはあるので、差別化できるものだったり、次世代WHFにしかできないものがちょっと見えてくるかなと思います。
――オンラインでの実施だからこそ、一番期待している点ってなんですか?
久保:それはやっぱり、今まで必要だった条件が一切なくなるっていうことだよね。もうひとつ、アーカイブすればいつでも見られることも大きい。今までは会場に来る必要があって、全国をまわることでカバーしていったことに対して、オンラインだと別に気にしないで全部カバーできる。
――逆に、オンライン開催になっても「ココは変えちゃいけない」部分は何かありますか?
久保:やっぱりコロコロの持っている、「友達に会いに行く感覚」が大事だと思っています。コロコロを読むっていうのは自分の友達に会いに行くっていうイメージがすごくあったんだけど、オンラインイベントでもそれに近いトーンが保たれることが大事なのかなと。
コロナ関係なく、オンラインはやってみたかった
久保:そもそも、次世代WHFのオンライン開催はずっとやりたいなって思っていたんです。
――コロナ関係なしに、ですか?
久保:そう。リアルのイベントとデジタルのイベントを重ね合わせたらどうなんだろうっていうことをずっと考えていた。待っている時間も楽しめるような仕組みに生かせるんじゃないかと。
――レイヤードになることで、今まで課題だった待機の時間すら楽しくするという施策。
久保:待機中に楽しんだからこそ、中のイベントがさらに面白くなるみたいな工夫が作れないかなと。ARやスマホを使うことによって今までとは違うイベント体験にできるかもしれない。
――そういう考えがあったから今回オンラインで開催しようという舵切りも、久保さんの中ではスムーズにできたと。
久保:最初に「やらない」って聞いて、「おいおいやりましょうよ!」って(笑)。今後、ハイブリットなイベントになったときに、やっていたことが絶対にプラスになるから。
――コロナが終息した後に関しても何かしらの知見が得られるっていうことですよね。
久保:それから、アニメをアーカイブした財産を生かして、待機時間の楽しみにできないかなと考えていますね。
――なるほど。
久保:まとめると、コロコロイベントという「友達に会いに来る」場所をオンライン上でも作るってことですね!
――最後に、コロナ禍において、イベントはどうあるべきだと考えているでしょうか。
久保:コロコロでハイパーヨーヨーが流行ったときにも思ったけど、やり方とかを平面の紙の上で表現するのは限界があるよね。やっぱりそれは、スローで解説できる動画の役目だと思うんだよね。「今までの表現だけでは表現しきれない」という意味では、多分リアルでやるイベントでも表現しきれないものがあるし、デジタルウェブの中で表現できないものもある。ARとかVRとかもそうだけど、やり方っていうのはまだまだたくさんある。今デジタルでやっている作業でも俺たちが及んでいないやり方があるんだと思います。
――コロナ禍の苦境の中でも、「まだまだやっていなかったことがあった」というのを見つけるチャンスが同時にあるということですね。
久保:「やってみなきゃわからない」ということは、俺たちが考え付かないやり方がまだあるっていうことだからね。今回はそれに出会うチャンスにもなった。他の人ができないやり方を出そうっていう意味では、大きなチャレンジになると思いますね。
――さきほどオンラインとの融合ということをおっしゃっていましたが、次世代WHFは今後どのような形になっていくのかを教えていただきたいです。
久保:子ども向けの最大のハイブリットイベントになっていければと思っております。リアルのイベントとデジタルが完全融合して、その中でしか表現できない楽しさを提供する。そうすると連れてきた親御さんも楽しめたり、ストレスなく物が買えたりできる。あらかじめ応募を受けておけば、「最後に出口でもらって帰るだけ」ってできるじゃないですか。支払いも事前に済ませておけばレジを作る必要もないし。そんな風に、「今あるストレス」をオンラインにすることで改善していったり、エンターテイメント性を高めることはできるんじゃなか思うんです。今まではアナログ100%のイベントだったので、それをデジタル領域の中でガラッと新しいイベントにできないだろうかと考えております。
――ありがとうございました!
初のオンライン開催でおうちから楽しめるようになった「次世代WHFオンライン」にぜひ参加しよう!
開催概要
次世代WHFオンライン
■期間:1月16日(土)~1月31日(日)特設サイトはこちら!
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