第１弾～３弾でコレクションホビーの新たな地平を切り拓き、第４弾・第５弾で売り上げを伸ばした｢悪魔VS天使｣シリーズ。そして、ついに人気の絶頂期をむかえる第６弾・第７弾！ その裏に隠された制作秘話をビックリマンの父・反後さんに語っていただくっ!!
ビックリマン第19回
「第６弾制作秘話・後編！ 悲劇のヒーロー・ブラックゼウス誕生!!」
——売れ過ぎでピンチ（くわしくは第18回）！ そんな時に生まれたブラックゼウスですが…
反後：
もちろん、チョコウエハースの生産が追いつかないのはこちらの都合で、買ってくれる子供に関係のないことです。ですから、ブラックゼウスの制作にはかなり気合を入れましたよ。
——まず、キャラをどのように発想したんですか？
反後：
以前もお話しましたが、ヨーロッパで開催されたお菓子の見本市にいったときですね。そのときスイスのルツェルンを訪れて、ライオンの像を見に行きました。そこで、その像にまつわる悲劇の物語を知ったんです。ライオンはフランス革命時にマリーアントワネットを守るために死んでいった兵士たちに見立てていたんです。
——あまり、ビックリマンにつながりそうにない、悲しいお話ですね。
反後：
そうなんです。悲劇とはまったく逆のギャグでやってきたので。でも、ヨーロッパで、悲劇の物語をビックリマンのストーリーに混ぜ込んでみるのもありかなと思ったんです。そして、スーパーゼウスに双子の片割れがいて、そいつが辛い人生を歩んでいたらどうだろう…と。
——スーパーゼウスは万能の神、その逆をいくキャラとなると壮絶な人生を歩んでそうですね。
反後：
まず、ブラックゼウスは誕生とともに太古から存在する“魔祖王”と呼ばれる始祖ジュラに取り込まれてしまいます。
——そんなやつに取り込まれるなんてキツイ…！ まさに悲劇！
反後：
若き日のスーパーゼウスと渡り合う悪魔。そんな始祖ジュラの体内で育つのは悲劇ですが、そこから脱皮して世に姿を現すブラックゼウス、すごい悪魔だと思いませんか？
——思います、思います！
反後：
だからこそいいんです。悪魔としての深みがこれまでのヘッドと違う。かなり格の上の悪魔になったと思います。
——ホロも特殊で驚きました。
反後：
このホロは、シールを印刷してくれていた大日本印刷さんが紹介してくれました。アメリカではこのホロを使った雑誌の表紙が流行っていたそうです。
——角度によってキャラや背景の色味が変わる不思議なホロで、ブラックゼウスの怪しさを引き立てていたと思います。
反後：
こちらとしてはおもしろい仕掛けだなと思ったんですが、社内ではキャラが見えにくいなどの指摘もあって受け入れられるか不安だったんです。でも、実際にサンプルを子供たちに見せて意見を聞いてみると大好評で。これでいくことにしたんです。
——いやぁ、なんじゃこのシール!? って驚きましたよ！
反後：
あとは、ご存知の通り、スーパーゼウスと並ぶ人気のヘッドになってくれましたね。
——悲劇のストーリーと新しいホロ。人気があっても新たな試みに挑戦する姿勢、勉強させていただきました!!
（第20回「第７弾制作秘話・前編！ ヘラクライスト誕生秘話!!」につづく！）
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(C)LOTTE/ビックリマンプロジェクト
反後 四郎（たんご しろう）プロフィール
１９４９年、熊本出身。早稲田大学法学部卒業後、株式会社ロッテに入社。８５年にメインスタッフとして参加した「悪魔VS天使シリーズ」をヒットさせる。当時はコロコロの誌面に「反後博士」として登場した。
