By まつがん
まずは恒例の宣伝からだが、先週発売したコロコロコミック12月号はもう読まれただろうか?
そこでは12月に発売する双極篇第4弾「超決戦!バラギアラ!!無敵オラオラ輪廻∞」のカード情報がいち早く掲載されていた。ここではその一部を紹介しておこう。
マスターカード、ついに帰ってきたジョニーこと《オラマッハ・ザ・ジョニー》は、バトルゾーンに出たターンに相手のクリーチャーを倒すと、アンタップしてシールドをブレイクする (つまり再びマッハファイターで攻撃できる) というマスター・マッハファイターの能力を持っている。一撃でクリーチャーとシールドを薙ぎ払う、一発がすべての能力だ。
さらに相手が呪文を唱えたとき、その呪文と同じコストのジョーカーズ・カードを捨てると効果を失わせることができる呪文封じの弾丸の能力も持っている。出たターンに1枚マナゾーンから回収できるので、手札がないときに出しても安心だ。
もちろん、これにより捨てたジョーカーズで《ジョット・ガン・ジョラゴン》の「ジョラゴン・ビッグ1」を発動させてもいい。ジョーカーズの圧倒的切り札となること間違いなしのこのカード、ぜひとも手に入れて使いこなしてみて欲しい。
もう1枚のマスターカードはイラストの虹色の光輪が眩しい《始虹帝 ミノガミ》。マッハファイター持ちで、攻撃時に山札から3枚を表向きにし、公開されたツインパクトカードの分だけパワーを強化しつつ、それらのツインパクトをマナゾーンに置いてマナブーストする。もし3枚ともツインパクトなら5マナからいきなり3枚ブーストという破格のスペックだ。
また、もう一つの能力である無敵虹帝は、自分が負ける/相手が勝つときにマナゾーンから8枚のカードを山札に戻すことで負けを回避できるという激ヤバな能力となっている。
vol.4-4で作った「ツインパクト乱舞」のようにツインパクトを大量に搭載したデッキに入れると大活躍が見込めるこのカードで、ツインパクトの新時代を切り拓こう。
……という前置きはさておき、今回の話もこれらのカードとは全く関係がない。
ちょうど双極篇も佳境に入ったということで、このあたりでツインパクトがデュエマにもたらしたものについて、改めておさらいしておこうと思うのだ。
今になって冷静に考えてみると、ツインパクトというのはデュエマの歴史上においても相当に強いシステムだろうと思う 革命チェンジ?知らんな。
なぜならツインパクトは単に「手札にあるとき、状況に応じてどちらを使うか選べる」というだけにとどまらない。「クリーチャーカードであり、呪文カードでもある」「2種類のマナコストを持っている」といった点において、通常のカードにない強みを持っているからだ。
その強み。ツインパクトがデュエマにどのような恩恵をもたらしたかについて、今回は一つ一つ確認していくことにしよう。
単なる事実確認といえばその通りなので、退屈に思えるかもしれない。だが、こうして言語化して基礎を固めておくことによって、将来のデッキ構築に向けた何らかのヒントが発見できるかもしれないのだ。
ツインパクトの恩恵その1. サーチカードの価値がアップ
ツインパクトはバトルゾーンに出ていない限り、「クリーチャーカードであり、呪文カードでもある」。
それがどういうことかというと、本質的にサーチカードで探しやすいカードであるということだ。
デュエマの代表的なサーチカードとして、《ディメンジョン・ゲート》(あるいは《五郎丸コミュニケーション》) と《ロジック・キューブ》(あるいは《ロジック・スパーク》または《ヘブンズ・キューブ》) があるが、ツインパクトカードはそのいずれによっても探し出すことができる。
あるいは《未来設計図》のように不確実なサーチ手段を用いることもあるだろう。その場合でもツインパクトは最低限「外れ」をケアし、手札に加える選択肢となってくれる。
つまりデッキ構築やプレイの選択肢が広がったという点で、ツインパクトは従来から存在するサーチカードの価値を強める働きをしていると言えるのである。
この性質を利用した例として、《ロジック・サークル》で《ヘブンズ・フォース》と《Q.Q.QX./終葬 5.S.D.》の両面受けを作るというシークエンス (手順) があげられる。1ターン目に《ロジック・サークル》で手札にない方を持ってくることで、かなりの確率で2ターン目《ヘブンズ・フォース》からの《Q.Q.QX./終葬 5.S.D.》という動きが再現できるのだ。
デュエマの長い歴史の中で、これまで様々なサーチカードが印刷されてきた。その中にはツインパクトの登場によって思いもよらないシークエンスが可能となったカードが、まだまだ存在していることだろう。
vol.3-4で使用した《フォーチュン・スロット》なども、ツインパクトをクリーチャーと呪文のいずれとしてもカウントできるという点で、その一例と言える。古くからのサーチカードを振り返ってみると、新たなデッキの可能性が眠っているかもしれない。
ツインパクトの恩恵その2. マナコスト参照カードの価値がアップ
ツインパクトはバトルゾーンに出ていない限り、「2種類のマナコストを持っている」。
この事実がもたらす恩恵は言わずもがな明白だろう。ツインパクトの存在によって、マナコストを参照するカードの価値が上がっているのだ。
《ガチャンコ ガチロボ》は新しいツインパクトが出るごとに日増しにデッキパワーを上げているし、《勝利宣言 鬼丸「覇」》の「ガチンコ・ジャッジ」なども、ツインパクトのカードを利用して勝率の向上が狙えるようになっている。
もちろん逆に《キング・ザ・スロットン7/7777777》の呪文側でカードをめくられたときには、参照されるマナコストの種類が増えてしまうリスクも孕んでいる。が、基本的には利点として活用できるケースが多いだろう。
こうした歴代のマナコスト参照系のカードも、たとえば《ミセス・アクア》のように、ツインパクトの登場によってさりげなく強化されたカードが存在しているかもしれない。昔のカードが手元にある方は、一度見直してみるといいだろう。
ツインパクトの恩恵その3. 「S・トリガー」の強さが向上
3つ目の恩恵として、厳密にはこれはツインパクトの性質に基づくものではないかもしれないが、「S・トリガーが強くなった」というものがある。
「S・トリガー」を持つカードは、このデュエマというゲームにおいてあらかじめ織り込まれた逆転の手段ではあるが、踏んだ瞬間あまりに強烈すぎるスウィングをもたらすようでは誰もシールドを割らなくなってしまうであろうことからすると、ゲームとして健全に成立するためには、デザインできる効果の大きさにも上限があると思われる。
だがその上で、次第にインフレするカードパワーに対抗できる「S・トリガー」を作るためにはどうすればいいか……その解答の一つが、ツインパクトなのである。
ツインパクトなら、片側が「S・トリガー」を持つクリーチャーや呪文であっても何ら関係なく、もう片側を通常プレイで十分なスペックを持つカードとしてデザインすることが可能となる。もちろんやりすぎれば通常の「S・トリガー」持ちのカードが形骸化してしまうだろうが、《終末の時計 ザ・クロック》など行き着くところまで行ってしまった感のある「S・トリガー」に新たな進化の可能性をもたらしたという点については、ツインパクトの功績として評価するべきだろう。
《ナ・チュラルゴ・デンジャー/ナチュラル・トラップ》や《マッド・デーモン閣下/デーモン・ハンド》のように、デッキコンセプトの中核を成しうる「攻め」のカードが「S・トリガー」も持っているというのは、デュエル・マスターズのゲームシステムにおいて革命的な変化だろうと思う。
(執筆時点での裁定で)《サイバー・I・チョイス》が「S・トリガー」で出た場合、ツインパクトの呪文側に「S・トリガー」が付いていればクリーチャー側として出せるといった裏技 (?) も存在する。「S・トリガー」持ちのツインパクトについても、既存のカードとの新たなシナジーが生まれていないか、チェックしてみると面白いかもしれない。
ほかにもまだまだあるかもしれないが、こうして見ていっただけでもツインパクトがデュエマに与えた影響がいかに大きいか実感できるだろう。
だが、デッキビルダーとしての視点から言うならば。
何よりツインパクトが登場したことにより、「一つのカードを多角的に見る習慣がついた」ことが最も大きな恩恵と言えるかもしれない。
クリーチャーであり呪文であり、2つのマナコストを持つ……そんなツインパクトの性能を初見で正確に評価するには、様々な視点が必要になる。
そして、そうした評価眼を養うことで。通常のカードに対しても、より多くの可能性を見出せるようになっているだろうからだ。
ではまた次回!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
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