圧倒的なこだわりで、『ゾイドワイルド』のホビーは生まれた!!
前回は2人のクリエイターから『ゾイドワイルド』の骨格へのこだわりなど開発秘話についてうかがった。
今回はさらに深い部分の話を訊いていくぞ!!
——前回に引き続き、ホビーのお話を伺いたいのですが。
徳山:
僕らとしてはコロコロのユーザーの方に上手く刺激を与えて、みんなに作ってもらえたらと思っています。そういった面では、今回は簡単に組み立てられて、あとは自分なりのカスタマイズが楽しめるんじゃないかと。
片山:
今までニッパーを使って組むっていうのが普通だったので、子供には少し敷居が高いんじゃないか? みたいな所があると思うので、そこを何とかするっていうのが最初の改善点でした。
——そこでランナーパーツを無くすという発想にたどり着いたと?
片山:
そうですね。
徳山:
あとやっぱりデザインとか我々の持ってるコンセプトとか世界観みたいなものが恐竜に根ざしていて、今回は発掘っていうことに重点を置きましたね。
片山:
そうですね。今回のゾイドは発掘、復元されて地上に蘇って動き出すっていうのが元々あったので、ランナーが付いてたら“どういうこと?”みたいな感じになっちゃうので。
——確かに世界観的にはそうですよね。
徳山:
博物館なんかに展示されているもののイメージだと、子供たちもマニアの方も刷り込まれてると思うんで。バラけた状態の骨は。
——たしかにそうですね。
徳山:
実際、発掘現場みたいなものが博物館とかミュージアムに併設されてたりとか、そういった刷り込みもあるので、そういった面では時期的にも追体験が出来るっていうコンセプトになったかもしれませんね。
——なるほど。
徳山:
あとは僕らが一番大事にしたいのは、マニアの方は自分なりの遊び方もマスターしているんで、さっき言ったように色んなゾイドを作れちゃうので。どちらかというと子供を意識して開発をしました。
今の子供たちはゾイドっていうのは知らなかったりするので、そういった面ではユーザーに対して再スタートする時には1番そこにゾイドの魅力を伝えていきたいと思いましたね。コロコロコミックのまんがや、アニメをきっかけにゾイドの世界に入ってもらいたいですね。
——1番は子供に向けてなんですね。
徳山:
とは言っても、もちろんマニアの方にも納得してもらえるよう、自分たちの世界を作れる素材としてはいいものが出来ていると思います。
——なるほど。大人も子供も楽しめるものになっていると。
徳山:
はい。ただ1番難しいのは、プラモデルのようなものに触れてきていない子供たちにどうやってこれを面白く作らせられるかっていうことですね。それをどうクリアするかっていうことで、みんなのアイディアの中では結構早い段階でランナーでは無い方向でっていうのは固まっていました。
——割と早い段階だったんですね!
徳山:
ランナー無し、バラバラのパーツっていうのは他社でもブロック的なものではあるんですけど、ゾイドの場合はもっとホビー的な機構で、自由度っていうよりはあるモチーフに向かって完成させていくっていう形で、ランナー無しを実現しました。
もう1つ注目してほしいのはマニュアルがカラー版恐竜図鑑というところですね。
——それはめずらしいですね!
徳山:
たぶんプラモデルでは初めてかもしれない。我々はこのホビーをリアルムービングキットって名付けているんですけど、そういった面では新しい仕様になってると思います。
片山:
組み立てるのが簡単というのと、組み立てるときからワクワクするような世界観がこだわりのポイントです。マニュアルは科学者が復元する際の見取り図をモチーフにしています。
——このこだわり…なかなかに大変そうですね。
片山:
パーツをバラけさせているのと、マニュアルのカラーはコスト的にもなかなか…(笑)。
——そっちの苦労もありましたか(笑)。
片山:
小さいことなんですけど、マニュアルの左のページで常に全体の見取り図を確認しながら、右ページで組み立てる工程を追えるというのもこだわりました。
徳山:
本当に分かりやすく、組み立てについては非常に好評でして、そういった面では手を尽くして良かったなと思いますね。
——組み上がりもカッコイイですしね。
片山:
そうですね。あと組み立てる段階で、この骨状態が一回組み上がってしっかりここで動くっていう中間ポイントを作りました。
——中間ポイントですか?
片山:
まず骨や全体が完成して一個感動があって、次に動くっていうので1つ、さらにワイルドブラストっていう、製作の過程で3回ピークがある設計です。
——段階的に感動が味わえると。
片山:
はい。最後まで飽きさせないというところを考えました。
——今回、世界観にだわりがあると思うんですけど、子供たちにはどういう反応だったんですか?
片山:
次世代ワールドホビーフェアとかでも組み立て体験をして、私も見させてもらったんですけど、中には「やった! 出来た!」とかいう子もいて、今まで体験したことがない自分で作り上げたことへの感動なのかなと思ったりしています。
徳山:
昔のゾイドだとゴールっていうのが、完成をしてスイッチを入れて動かすっていうのがポイントだったと思うんですけど、今回組み立てること自体に1つの遊びがあります。
——このこだわりの世界観ですね。
徳山:
ええ。発掘して、復元させて、骨にアーマーを掛けます。それでフィギュアを乗せた所で完成。それでプラス、アニメと同じように、ワイルドブラストを追体験が出来るみたいな所があるので、楽しみが相乗であると思っています。
片山:
一巡しちゃっているので、自分は過渡期っていうか昔の2期目とかしか知らないんですけど、初めてゾイドを知る子供にとってどういう訴え方がいいかなっていうのを考えた末、1番いい形になったのかなっていうのはありますね。
世界観を大事にした『ゾイドワイルド』。大人にも子供にも楽しんでもらえるよう、様々な工夫がなされていたのだ!
次回はどんな話が飛び出すのか、期待して待っててね!!
第4回に続く
徳山 光俊(とくやま みつとし)
『ゾイド』立ち上げに携わったスタッフのひとり。『ゾイドワイルド』ではゾイドの
デザイン原案を担当。溢れんばかりの『ゾイド』愛を若い世代に伝えるべく奮闘中。片山 周(かたやま しゅう)
『ゾイドワイルド』から開発に携わる若手の第3世代。これまでになかった新世代のゾイドの数々をデザインしている。サソリなどの不気味なモチーフのデザインが得意だとか。