By まつがん
12月18日(金) に発売予定の十王篇第4弾「百王×邪王 鬼レヴォリューション!!!」に収録される新カード、《終の鬼術 死刀露》。このカードを使ってどんなデッキを組むべきか。
これについてまず私が考えたのは、《蝕王の晩餐》との差別化をどのようにして図るのかという点だった。
《終の鬼術 死刀露》は普通に使うと、5マナになった《蝕王の晩餐》とほとんど変わらないバリューしか得ることができない。
したがって《蝕王の晩餐》ではなく《終の鬼術 死刀露》をあえてデッキに入れるというならば、そこにはどうしても《終の鬼術 死刀露》でなくてはならないという必然性が必要となってくる。
その必然性をどこに求めるのか。これについて私はまず第1に、「鬼タイムで2倍の効果が得られる点」に求めた。
その結果できあがったのが、《ラ・ズーネヨマ・パンツァー/逆転のオーロラ》でシールドをマナとして活用しつつ、《クイーン・アマテラス》を《襲来、鬼札王国!》で釣り上げることで、山札から《終の鬼術 死刀露》を唱えて10コストの大型クリーチャーにつなげるデッキだ。
『サンプルデッキA』
《ダーク・ライフ》 | |
1 | 《次元の霊峰》 |
《天災 デドダム》 | |
4 | 《ラ・ズーネヨマ・パンツァー/逆転のオーロラ》 |
《逆転のオーロラ》 | |
4 | 《不死 ゾンビーバー》 |
3 | 《終の鬼術 死刀露》 |
4 | 《襲来、鬼札王国!》 |
4 | 《クイーン・アマテラス》 |
4 | 《混沌紳士 トリックスタァ》 |
4 | 《古代楽園モアイランド》 |
だが、このデッキには多くの構造的な問題が立ちはだかった。
その代表的なものとしては、墓地肥やしが十分にできない問題と、《逆転のオーロラ》からめくれると信頼できるだけのアンタップインの火マナを十分に用意できないという問題があげられる。
《終の鬼術 死刀露》を鬼タイムで運用するためには、1. 破壊元となるクリーチャーを盤面に用意し、2. 蘇生先となる異なるマナコストのクリーチャー2種を墓地に用意し、3. 鬼タイムを達成、という3つのハードルを越える必要がある。
これら3つのハードルを、さらにデッキが回せる範囲内の多色カードの割合で達成するというのは、現状ほぼほぼ不可能というのが私が出した結論だった。
さて、ならばと次に考えたのは、「《蝕王の晩餐》との差別化はあえて図らず、追加の5~8枚目として運用する」というものだった。
《記憶の紡ぎ 重音》や《魔法特区 クジルマギカ》といったNEOクリーチャーたちは、コスト5以下の呪文を踏み倒すことができる。
この能力によって《蝕王の晩餐》 or 《終の鬼術 死刀露》を踏み倒すことで、安定して4~6マナ域のクリーチャーの登場時効果を使用し続けることができないだろうか。
『サンプルデッキB』
《エマージェンシー・タイフーン》 | |
4 | 《ブラッディ・タイフーン》 |
《サイバー・チューン》 | |
4 | 《蝕王の晩餐》 |
《エヴォ・ルピア》 | |
4 | 《記憶の紡ぎ 重音》 |
4 | 《Wave ウェイブ》 |
4 | 《終の鬼術 死刀露》 |
4 | 《魔法特区 クジルマギカ》 |
4 | 《不敵怪人アンダケイン》 |
超GRゾーンは略 |
《エヴォ・ルピア》を《記憶の紡ぎ 重音》に進化させ、攻撃時の《蝕王の晩餐》 or 《終の鬼術 死刀露》から《Wave ウェイブ》を挟んで《不敵怪人アンダケイン》を出し、そこからまた《エヴォ・ルピア》へ……というのが理想の動きである。
鬼タイムに入るのが難しいなら、呪文を踏み倒せるクリーチャーを使って無理矢理マナコストの一段飛ばしを実現してしまえばいいというコンセプトだったが、やはりこのデッキにも構造上の問題があった。
パーツが多すぎて全然揃わないしそもそも全部を墓地に落とせないのだ。
それに冷静に考えて、もしこれが本当に強力なルートであるならば、たとえ《蝕王の晩餐》が4枚しか使えなかったとしても誰かが既に話題にしていたはずである。それがないということは、《終の鬼術 死刀露》の登場で《蝕王の晩餐》が8枚になったところで実現する価値は低いと言わざるをえない。
「鬼タイム」による差別化は不可能、かといって《蝕王の晩餐》の5~8枚目という扱いもうまくいかない。
ここにきてついに私は、《終の鬼術 死刀露》を主軸にしたデッキを組むことを諦めかけていた。
冒頭でも述べたとおり、《蝕王の晩餐》との差別化ができない限り、わざわざ《終の鬼術 死刀露》を使う意味はない。
しかし、「鬼タイム」の他に《終の鬼術 死刀露》が《蝕王の晩餐》と異なる点など……。
いや。あるではないか。
スピードアタッカー付与?違う、それくらいでは2マナも重くなるハンデを吸収できない。
もっと目に見える、わかりやすい違いだ。
そう。
《終の鬼術 死刀露》が多色の《蝕王の晩餐》であるという点に独自の価値を見出すことはできないだろうか?
すなわち。
多色てんこ盛りデッキに《友情の誓い》と一緒に突っ込めばいいのでは???🤔🤔🤔
これなら《蝕王の晩餐》では成しえなかった役割を《終の鬼術 死刀露》が担うことができる。
しかし、ここまではまだ結論を先取りしただけに過ぎない。肝心なのは「《友情の誓い》と《終の鬼術 死刀露》が同居するコンセプトが存在するかどうか」……すなわち、多色てんこ盛りで成立するコンセプトを見出す必要がある。
では、デッキ内のほとんどが多色である必然性があるカードといえば何か。
そう、《Mの悪魔龍 リンネビーナス》だ。マナ武装達成のためには、多色カードの枚数が多いに越したことはない。
コンセプトは見つけた。ならば、あとは多色のカードで噛み合いが良いものを探して残りのスロットを埋めていくだけだ。
デュエル・マスターズ2.0 (※都合の悪い確率を無視できる超!エキサイティン理論) により《友情の誓い》は必ず初手に来ることになっている (?) ので、《終断α ドルーター》は常に能力を発動できる。
火闇というカラーリング特有のマナカーブの悪さも、《リロード・チャージャー》で墓地を肥やしながら解消することが可能だ。
あとはお馴染みの《鬼ヶ大王 ジャオウガ》からの《百鬼の邪王門》で鬼タイム・鬼エンドを達成しながら《Mの悪魔龍 リンネビーナス》を釣り上げ、クリーチャーを連鎖させていけばいい。
とはいえこれだけだと「《終の鬼術 死刀露》って必要?」と思われるかもしれない。だが、攻撃の起点が必ず《鬼ヶ大王 ジャオウガ》からの《百鬼の邪王門》になる一方で、《友情の誓い》で初期手札が減っているため、《鬼ヶ大王 ジャオウガ》と《百鬼の邪王門》の両方を手札にキープするのはかなり難しい。
そこで《終の鬼術 死刀露》を採用することで、《鬼ヶ大王 ジャオウガ》を墓地から蘇生するプランをデッキに組み込むことが可能となるのである。
《終の鬼術 死刀露》で《鬼ヶ大王 ジャオウガ》を蘇生するためには4コストのクリーチャーをバトルゾーンに用意する必要がある。そこで重宝するのが《堕魔 ヴォガイガ》で、墓地を肥やしながら《百鬼の邪王門》を回収できるスーパーカードである。
もう一種類は《「忍」の鬼 ジライヤ齋》で、《Mの悪魔龍 リンネビーナス》との組み合わせの可能性はvol.23-4の「ジライヤ・ビーナス」で示したとおりである。
《禁断 ~封印されしX~》を入れてもよかったが、《堕魔 ヴォガイガ》と《百鬼の邪王門》で山札が高速で削れるため、ライブラリーアウトをケアして不採用とした。
最後に、余ったスロットに《百鬼の邪王門》と噛み合いのいい《バーンメア・ザ・シルバー/オラオラ・スラッシュ》を入れて完成だ。
というわけで、できあがったのがこちらの「友情・デストロイ」だ!
『友情・デストロイ』
《友情の誓い》 | |
4 | 《終断α ドルーター》 |
《リロード・チャージャー》 | |
4 | 《堕魔 ヴォガイガ》 |
《「忍」の鬼 ジライヤ齋》 | |
4 | 《終の鬼術 死刀露》 |
4 | 《鬼ヶ大王 ジャオウガ》 |
4 | 《Mの悪魔龍 リンネビーナス》 |
4 | 《バーンメア・ザ・シルバー/オラオラ・スラッシュ》 |
4 | 《百鬼の邪王門》 |
超GRゾーン | |
2 | 《”魔神轟怒”ブランド》 |
2 | 《無限合体 ダンダルダBB》 |
2 | 《せんすいカンちゃん》 |
2 | 《ジェイ-SHOCKER》 |
2 | 《全能ゼンノー》 |
2 | 《ヨモツ 丁-三式》 |
「鬼タイム」下で《終の鬼術 死刀露》を唱えることはまずないし、スピードアタッカー付与も《鬼ヶ大王 ジャオウガ》を蘇生するので全くの無意味……という点は美しくないが、それでも《終の鬼術 死刀露》が多色であることだけには必然性があるので、このあたりが落としどころだろう。
ちなみにここまでの経緯を見ればわかるように、今回はデッキ作りでかなり迷走した。それは主に「ついでに新カードの《エヴォ・ルピア》でなんかうまくやろう」という欲が働いたせいだが、そのおかげでまた別の様々な可能性に触れることができたので、これもデッキ作りの副産物ということになるのかもしれない。
なお、新カード紹介後の回で恒例となっている対戦動画だが、現下の情勢では撮影が難しいため、今回もなしである。ご了承いただけると幸いだ。
さて、いかがだっただろうか。
《終の鬼術 死刀露》が収録されている十王篇第4弾「百王×邪王 鬼レヴォリューション!!!」は、12月18日(金) に発売予定だ。
また、コロコロコミック1月号ではデュエル・マスターズの原作コミックが読めるほか、デュエマに関する激アツな最新情報も色々と掲載されているので、ぜひとも手に取ってみていただきたい。
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
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