By ドブフクロウ
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。
先週末には2回目のリーグ・ウィークエンドが開催されていました。世界最高峰の24名のプロプレイヤーが集まるMPL(マジック・プロリーグ)と、その2部リーグであるMRL(ライバルズ・リーグ)のリーグ戦です。字面も似ていて少しややこしいのですが、MPLとMRLの関係はJリーグで例えるならJ1(MPL)とJ2(MRL)みたいなものですかね。
【#MTGLeagueWeekend】DAY2終了時の日本人成績一覧はこちら!
今回プロリーグでは緑単フードを選択した行弘選手が単独で最多勝利を記録、ライバルズリーグではティムール・ランプを使用した石村選手が最上位ラインに肩を並べる結果となりました!⬇イベント詳細https://t.co/qUyA1ALI1P #mtgjp pic.twitter.com/3bAhbaT2Uv
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) November 9, 2020
【#MTGLeagueWeekend】2回のリーグ・ウィークエンドにおける合計勝利数一覧はこちら!
プロリーグではパウロ選手と佐藤選手が、ライバルズリーグではルイス選手が首位に!ここから来月のセットチャンピオンシップでどう順位が動くのか、お見逃しなく!⬇イベント詳細https://t.co/qUyA1Au7ah #mtgjp https://t.co/zhf8E3YC9y
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) November 9, 2020
MPL、MRLともに日本人選手が活躍しており、世界の強豪たちを相手にまったく引けを取ることなく勝利を収めています。特にMPLでは佐藤 レイ選手が”PV”ことパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ選手/Paulo Vitor Damo Da Rosaと並んで首位タイ、MRLではデッキビルダーとして名高い石村 信太朗選手が5位タイと健闘しています。
プロのトーナメントを観戦することで得られる経験値は少なくありません。マジックのさらなるステップアップを目指しているという方は、公式の放送などもチェックしていくとよいでしょう。
さて、今週はそんなMRLの上位デッキリストをご紹介していきたいと思います。
MRLリーグウィークエンド
先ほども軽くご紹介しましたが、MRLのリーグ戦では日本人選手の石村 信太朗選手が最強マジック集団『Channel Fireball』の”総帥”ルイス・スコット・ヴァーガス選手/Luis Scott-Vargasなどと並んで9勝の好成績を残しています。石村選手は過去にもプロツアー・パリ2011などでトップ8に入賞した経験もある強豪です。あと僕は石村選手と同郷なので個人的に応援しています。
そんな石村選手が今大会で使用していたデッキは「ティムール・ランプ」デッキでした。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《創造の座、オムナス》といった主力カードが禁止され、さらに《幸運のクローバー》や《僻境への脱出》などの「アドベンチャー」軸のカードも禁止されてしまったデッキですが、さらに姿を変えて環境に復権の兆しを見せています。
さて、新生ティムールはどのようなデッキになっているのでしょうか? さっそくリストを見ていきましょう!
ティムールランプ(使用者:石村 信太朗選手) | |
---|---|
枚数 | カード名(メインボード) |
4 | 《岩山被りの小道》 |
2 | 《寓話の小道》 |
6 | 《森》 |
3 | 《島》 |
2 | 《山》 |
2 | 《河川滑りの小道》 |
4 | 《ケトリアのトライオーム》 |
4 | 《豆の木の巨人》 |
4 | 《精霊龍、ウギン》 |
2 | 《髑髏砕きの一撃》 |
4 | 《耕作》 |
4 | 《発生の根本原理》 |
3 | 《移動経路》 |
4 | 《サメ台風》 |
4 | 《火の予言》 |
1 | 《垣間見た自由》 |
1 | 《神秘の論争》 |
2 | 《乱動への突入》 |
4 | 《ジュワー島の撹乱》 |
枚数 | カード名(サイドボード) |
2 | 《砕骨の巨人》 |
1 | 《垣間見た自由》 |
3 | 《運命の神、クローティス》 |
3 | 《神秘の論争》 |
1 | 《否認》 |
2 | 《アゴナスの雄牛》 |
2 | 《焦熱の竜火》 |
1 | 《アクロス戦争》 |
「現行スタンダードの最強デッキは?」と聞かれれば、10人中7~8人は「グルールアドベンチャー」と答えるでしょう。先々週の記事でもお伝えしたとおり、佐藤 レイ選手が使用していたこのアグロ・ミッドレンジデッキはスタンダードのメタゲームの頂点に君臨し、高い使用率と安定した勝率を誇っています。
そんなグルールの天下がしばらく続き、現在ではグルールの牙城を突き崩すべく様々なデッキが生まれています。この「ティムールランプ」はそんなアンチ・グルールデッキの一つと言えそうです。
現行環境で最強のカードの一つである《精霊龍、ウギン》。その点数で見たマナ・コストは8マナと非常に重いですが、一度戦場に出てしまえば圧倒的なパワーで盤面を薙ぎ払っていきます。《発生の根本原理》も《ウギン》と相性の良いカードで、こちらもコストは重いですが唱えることができれば莫大なアドバンテージを稼ぎ出します。
マジック、というよりコストの概念が存在するTCGの不文律として、「コストの重いカードは強い」というものがあります(あくまで傾向として、ですが)。グルールのようにマナ・カーブの頂点がやや低めに設定されているデッキに対しては、そうしたコストの重いカードを“プレイできれば”優位に立つことができるでしょう。
もちろんそうした高いコストを支払うには工夫が必要になってくるわけですが、現行スタンダードにはそうしたコストを蓄える術がたくさん用意されています。《豆の木の巨人》や《移動経路》はゲーム後半になってもフィニッシャーやサイクリングによるドローカードとしての使い道があり、非常に便利なカードです。
また、少し変わったカードを挙げると『ゼンディカーの夜明け』に収録されている新カード《ジュワー島の撹乱》も目を引きます。土地としてもプレイできる《魔力の乱れ》で、妨害カードとしてはやや腐りやすいという欠点を単体で補完しているナイスカードです。また、ランプデッキから《ジュワー島の撹乱》が飛んでくることは予想しづらいので、計算外の動きで対戦相手を撹乱できそうです。
総じて非常に完成度の高いデッキで、石村選手のデッキビルダーとしての実力が感ぜられます。この週末に大会に出る予定があるという方は、このデッキを練習してみてはいかがでしょうか?
ライター:ドブフクロウ 青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。 MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。
『ドブフクロウのMtGブレイキングアカデミー』バックナンバーは次のページをチェック!!