また、別れのときが
ひさしぶりに案内所のしずえがやる気を出して、10月になってから早くも3回、キャンプサイトに客を呼んだという話を書いた。
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しかし、どのどうぶつも……惜しいというかヒット性のファールというかカスっているというかカスっていないというか(どっちだ)……とにかく、現在の厳選されたルナステラ島の住人と交換で招聘するまでに至らず、
「あらぁ、お客さん^^ いい時計してはりまんなぁ^^」
と、京都風にやんわりと(※京都訳:いい時計してる=時間見ろ=早く帰れコラ、の意らしい)お引き取り願ったのである。
しかし。
じつはこのキャンプサイトの客人ラッシュは、俺があまりにも、
「住民を入れ替えたいなぁ……。ぼちぼち新風を吹き込みたいなぁ……」
と、ことあるごとに喧伝していたことに対するゲーム側の“答え”だったのであはるまいか。なぜなら……キャンプサイトはあくまでも“お試し”もしくは“露払い”みたいなもので、本当の事件は別に起こったから。
ある日--。
朝から冷たい雨が降り、空気もどこかどんよりとしていた早朝のこと。
「ちょっとでも花を引っこ抜いて、地表を整理しないとなぁ……」
なんて思いながらスコップを持ってウロついていたところ……ルナステラ島のご意見番のひとり、狼(もしくは犬)のヴァネッサが歩いている姿が見えた。
「あ、ヴァネッサだ」
話し掛けようと思って接近すると……。
薄暗い竹やぶの向こうにある崖の突端で、深刻そうなフキダシを出して歩いている……。これは、どっからどう見ても……!
「由々しき事態きたぁぁぁあああ!!!」
火曜サスペンス劇場とか土曜ワイド劇場の、いたずらに不安を掻き立てるオープニングが頭をよぎる。この流れでもっともネガティブな話の展開こそ“引っ越しの打診”なのだが、ドキドキするこっちの心模様を裏切って、
「語尾を変えようと思って^^」
「あなたのあだ名を考えたの^^」
「ゴマダラカミキリがどうしても捕まえられない!」
そんなことを言ってきたのが『あつ森』の住人たちなのだ。なので俺は今回も、
「悩ましい顔しちゃってぇwww じつは“懸賞で当たって余ってるから、コレもらってよ”とか言うんだろ?w わかってんねん。ちってんねんwww」
なんて、軽薄に思いながらヴァネッサに話し掛けると……。
思いっきり引っ越しの打診じゃねえか!!!!www
決断のとき
なるほどなるほど、そうきたか……。
リアル世界でも、たいがいの企業が下期に入る10月は人事異動が多いけど、そんな世間の動きすら反映させているとは、『あつ森』は本当に侮れん(ホントかよ)。
いやしかし……。そうか、ヴァネッサか……。
話を続けると、ルナステラ島のご意見番はこんなことを言ってきた。
くぅぅぅぅぅぅ!!!w さすがお姉さん狼!!! 刺さることを言うなぁ!!!><
これ、マジメに仕事をしてきた30代後半から40代前半くらいのサラリーマンが聞いて、もっともグサグサと突き刺さるセリフなんだわ(苦笑)。
仕事を覚え、責任ある立場にもなり、使えるお金の規模も大きくなりつつあるこのタイミングでこそ、
「あなたの才能を、もっと活かせる企業に転職できますよ! それとも、一国一城の主になる夢をかなえるため、起業しませんか!?」
なんて話が舞い込んでくるんだよなチクショウ!!><
……このへんの記述、やたらと感情がこもっているように読めてしまうかもしれませんが、まあ気にせずに読み進めてくだされw
そう、ヴァネッサはまさに、脂がのり切ったキャリアウーマンそのもののセリフを発しているのだ。
自分だったら、もっと飛躍できるのかもしれない--。
でもここに留まれば、安定した収入と生活が確保されている--!
こういうとき、なかなか自分ひとりの判断では動けないものだ。背中を押してくれる仲間や、1歩を踏み出せる外的要因があって初めて決断できるものなのである。
……このへんの記述、やたらと感情が(以下略)。
ヴァネッサにとっての外的要因がまさに、俺のひと言なのだろう。
島民代表の俺がチョンと後押ししたその瞬間に、島を出ていく決断を下すのだ。
でも……ヴァネッサかぁ……。
決して目立つ住人ではなかったが、落ち着きがある彼女の存在は完全に“島のおねえさん”で、ルナステラ島にはなくてはならない住人のひとりなんだよなぁ。
でも……!
やっぱりここは……背中を押そう! いつまでも同じ編集長が居座っていては、編集部も凝り固まって斬新な企画とかがやりにくくなるしな!(何言ってんだ)
ヴァネッサの相談に、俺は「Yes!」と返しました。
その瞬間にこみ上げてきた、
「うわああああ!!>< やっちゃったぁぁあああ!!><」
という感情も……いつか笑い話にできるに違いない。
これで2ヵ月ぶりに、住民が動くことになる。
でも、ヴァネッサが引っ越すまでの1日は、思い出に浸っていようと思いました。
続く。
大塚角満の『あつ森』おもしろガイドも更新中
大塚 角満
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。
『あつまれ どうぶつの森』公式サイト:
https://www.nintendo.co.jp/switch/acbaa/index.html
※ゲーム画面はNintendo Swicthソフト『あつまれ どうぶつの森』のものです。
© 2020 Nintendo
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