By ドブフクロウ
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。
はい、そんなわけでタイトルにもある通り(?)、スタンダードで《創造の座、オムナス》が禁止されました。ついでにアドベンチャーデッキのキーカードである《幸運のクローバー》と《僻境への脱出》も禁止になっています。
【お知らせ】 2020年10月12日発表の、禁止・制限カードの告知をお伝えいたします。スタンダード・ヒストリック・ブロールに変更があります。変更の内容と理由について記事にてご説明いたします。 https://t.co/r73Qojhtil #mtgjp
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) October 12, 2020
《オムナス》に関しては発売から17日で禁止されました(MTGアリーナやMagic Onlineは紙のカードより1週間早くリリースされているので24日)。これは『ウルザズ・レガシー』の伝説のカード《記憶の壺》の最速禁止記録だった45日を大幅に上回ります。
名誉なんだか不名誉なんだか分かりませんが、この17日間にマジックをプレイしていたというみなさんは伝説的な瞬間の証人になったと言えるでしょう。デジタルカードゲームならば能力の下方修正(ナーフ)なんかで対応できたのかもしれませんが、マジックは紙のカードも存在する以上、そうした対応は取りにくいです(とはいえ最近では「相棒」ルールのエラッタ変更がありましたが)。こればかりは媒体の都合上仕方ありませんね。
かくして《オムナス》は環境からいなくなりましたが、次にスタンダードで活躍するデッキはどのようなデッキでしょうか?実はすでにコミュニティでは“あるデッキ”がにわかに注目されています。どのようなデッキなのか、さっそくリストを見ていきましょう!!
Red Bull Untappedフランス予選
この連載では頻出トーナメントの『Red Bull Untapped』。そのフランス予選では、新機軸のデッキが活躍していました。その名も「ラクドス・ミッドレンジ」です。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が禁止され、スタンダードに残された「脱出」持ちの構築級のフィニッシャーは《死の飢えのタイタン、クロクサ》のみとなっています。もともと「脱出」というメカニズム自体がアドバンテージ面で優れており、かつ《クロクサ》もまた《ウーロ》同様に強力なアドバンテージ獲得能力を持っているため、《オムナス》や《ウーロ》といったミッドレンジの覇者がいなくなった現行スタンダードでは相対的にカードパワーが高く、注目のカードとなっています。
前環境で強力だった「ラクドス・サクリファイス」はキーカードが軒並み禁止されてしまったりローテーションにより姿を消すことになりましたが、この「ラクドス・ミッドレンジ」のリストにはどのような戦略が込められているのでしょうか?
ラクドスミッドレンジ(使用者:Noham Maubert選手) | |
---|---|
枚数 | カード名(メインボード) |
6 | 《沼》 |
4 | 《悪意の神殿》 |
4 | 《寓話の小道》 |
4 | 《山》 |
1 | 《ロークスワイン城》 |
4 | 《マグマの媒介者》 |
4 | 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 |
4 | 《ぬかるみのトリトン》 |
4 | 《砕骨の巨人》 |
2 | 《峰の恐怖》 |
2 | 《残忍な騎士》 |
2 | 《悪ふざけの名人、ランクル》 |
1 | 《死者を目覚めさせる者、リリアナ》 |
4 | 《ティマレット、死者を呼び出す》 |
3 | 《髑髏砕きの一撃》 |
3 | 《血の長の渇き》 |
1 | 《アガディームの覚醒》 |
2 | 《棘平原の危険》 |
2 | 《ハグラの噛み殺し》 |
2 | 《無情な行動》 |
1 | 《切り裂かれた帆》 |
枚数 | カード名(サイドボード) |
3 | 《夜鷲のあさり屋》 |
3 | 《苦悶の悔恨》 |
3 | 《スカイクレイブの影》 |
2 | 《切り裂かれた帆》 |
1 | 《塵へのしがみつき》 |
1 | 《エンバレスの盾割り》 |
1 | 《アゴナスの雄牛》 |
1 | 《魂標ランタン》 |
「ラクドス・ミッドレンジ」は除去多めのミッドレンジデッキです。自分自身のリソースを拡大させていくというよりは、対戦相手と確実に1対1交換を繰り返し、消耗戦に持ち込んで《死の飢えのタイタン、クロクサ》や《悪ふざけの名人、ランクル》で蓋をするといったゴールを目指します。
もともとクリーチャー除去は赤と黒の十八番です。赤単などのアグロデッキや、先週お伝えした「ディミーア・ローグ」など、クリーチャーによるクロックでしか勝ち手段がないデッキは、この「ラクドス・ミッドレンジ」との相性は最悪と言えるでしょう。逆にラクドス目線では、除去しても除去してもアドバンテージを稼がれる「4色オムナス」とのマッチアップが非常に苦しかったですが、《オムナス》亡き今となっては我が世の春を謳歌できることでしょう。
また、このデッキの注目カードとしては《マグマの媒介者》が挙げられます。『ゼンディカーの夜明け』の新カードで、序盤は2マナ1/3とパッとしないサイズですが、中盤以降、墓地にインスタントやソーサリーが4枚以上あるときは4/4の中堅クリーチャーとして盤面を築いてくれます。また、起動型能力の疑似ルーティング能力によって手札にダブついた土地や余った除去を他のカードに変えることができるため、事故防止などにも役立ってくれます。ライブラリーの上2枚をめくって1枚を使えるようになる、というのはこれまでにない変則的な能力ですが、無駄牌がめくれて手札を無駄にしてしまうリスクを軽減できるため、地味ながら非常に便利です。
ただし、《死の飢えのタイタン、クロクサ》の「脱出」能力が《マグマの媒介者》と相性が悪いのはご愛嬌。基本的には《クロクサ》の「脱出」を優先した方が盤面は強くなりますが、相手が除去を構えていたりするとテンポ面で損をした上で《マグマの媒介者》のサイズも下がってしまうので、対戦相手の盤面をよく見てプレイしたいところですね。
《オムナス》の禁止により、今後は《オムナス》に抑圧されていたミッドレンジ~コントロールなどの遅いゲームレンジのデッキが活躍することになりそうです。今後のスタンダード環境も楽しみですね。
ライター:ドブフクロウ
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。 MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。
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