ドブフクロウのMtGブレイキングアカデミー vol.76 ~ローテーション後の注目デッキ、アゾリウスコントロール~

By ドブフクロウ
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。
 
例年秋頃に発売される統率者戦関係の特殊セット『統率者レジェンズ』の情報が出始めましたね。
 

本連載で統率者戦についてきちんと取り上げたことはありませんでした。統率者戦とは、もしかすると現在のマジック界で最もプレイ人口の多いフォーマット(!?)かもしれないカジュアルフォーマットです。
 
「マジックは統率者戦しかプレイしていない」「統率者戦からマジックに入って、他のルールでは遊んだことがない」といった方も少なくない現代のマジック事情を鑑みると、いかにカジュアル志向の特殊セットといえど、『統率者レジェンズ』がコミュニティにもたらすインパクトが絶大であることは想像に難くありません。
 
まだマジックを遊んだことがないという方は、この機会に統率者戦からマジックを始めてみるるというのもおもしろいかもしれませんよ。最近ではWizards of the Coast公式も、統率者戦を初心者向けにリブランディングしているようですし……(※元々はかなりマジック玄人向けの遊び方でした)。
 
さて、『統率者レジェンズ』の新情報も気になるところですが、ローテーションを1ヶ月後に控えたスタンダードも今なお変化を続けています。今回も最新のデッキを見ていきましょう。
 

Red Bull Untapped

先週から引き続き、今週も「Red Bull Untapped予選」のデッキを見ていきます。
 
毎週末実施されている本大会ですが、店舗やマジックフェスト会場に集まってのトーナメント参加が難しい事情を鑑みるに、こうしてオンライン上でコンスタントに開催されているトーナメントの存在は貴重です。
 
今回取り上げるのは、パベル・セミョーノフ選手/Pavel Semenovの使用していた「アゾリウス・コントロール」です。
 

アゾリウスコントロール(使用者:パベル・セミョーノフ選手)
枚数 カード名(メインボード)
8 《島》
5 《平地》
4 《神聖なる泉》
4 《啓蒙の神殿》
2 《アーデンベイル城》
2 《ヴァントレス城》
1 《寓話の小道》
2 《老いたる者、ガドウィック》
2 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
1 《夢さらい》
1 《厚かましい借り手》
3 《覆いを割く者、ナーセット》
2 《ガラスの棺》
1 《魂標ランタン》
4 《海の神のお告げ》
2 《サメ台風》
2 《メレティス誕生》
2 《エルズペス、死に打ち勝つ》
1 《太陽の神のお告げ》
3 《空の粉砕》
3 《旋風のごとき否定》
3 《吸収》
2 《ドビンの拒否権》
枚数 カード名(サイドボード)
3 《霊気の疾風》
2 《神秘の論争》
2 《太陽の恵みの執政官》
2 《敬虔な命令》
2 《本質の散乱》
1 《サメ台風》
1 《エルズペス、死に打ち勝つ》
1 《有事の力》
1 《墓掘りの檻》

 
こちらは白青の2色で構築された純正アゾリウスコントロール。バントやスゥルタイといったシミック系デッキがトップメタだった環境では、アゾリウスカラーでデッキを組むよりも緑を足した方が柔軟性が増す上に強力なカードを多数採用できるというメリットがありましたが、《荒野の再生》や《成長のらせん》が禁止されてしまった現環境では純正の青白2色で組めるようです。

▲《夢さらい》
▲《エルズペス、死に打ち勝つ》

2色で組まれているため、《夢さらい》のような色高速の強いカードも採用できるようになりました。6マナとやや重めではありますが、戦場に出た際の支配力は環境でもトップクラス。《荒野の再生》が禁止されたことで実質的に環境から打ち消し呪文が減ったことも追い風で、このデッキでは《夢さらい》以外にも《エルズペス、死に打ち勝つ》や《老いたる者、ガドウィック》といった、やや重めのカードが多数採用されています。小回りの効くカードよりも、遅いゲームレンジを見越してしっかりとアドバンテージを取れるカードが優先して採用されている印象です。
 
こうした青白コントロールは『テーロス還魂記』環境でこそ一時的に見られましたが、すぐに「ティムール再生」や「ジェスカイファイアーズ」に押されて環境から姿を消してしまいました。しかし、現在ではそうした目の上のたんこぶ(?)的なデッキが軒並み禁止されたことで、再び天下に返り咲くことができたようです。

▲《神聖なる泉》
▲《覆いを割く者、ナーセット》

また、このデッキはローテーション後もほとんどカードがなくならないのもポイント。優秀な2色土地であるギルドランド(《神聖なる泉》)がなくなってしまうのは若干痛手ですが、それは他のデッキにとっても同じこと。アドバンテージ源兼対戦相手のドローを抑制してくれる《覆いを割く者、ナーセット》もいなくなりますが、このデッキにとってはスゥルタイ系デッキのフィニッシャーである《世界を揺るがす者、ニッサ》や《ハイドロイド混成体》がいなくなるメリットの方が大きいです。
 
果たしてアゾリウスコントロールは現環境、そして次環境の覇者となることができるのか? 向こう数ヶ月の動向も楽しみなデッキです。
 

 

ライター:ドブフクロウ   
 
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。 MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。

 

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