【大塚角満のゲームを語る】第26回 『Book of Demons』にハマる

欲張りなゲーム

当サイトで『マインクラフト ダンジョンズ』のプレイ日記を連載していることからもわかる通り、俺は“ハック&スラッシュ”とか“ダンジョンクロウル”と呼ばれるジャンルのゲームが大好物である。
 
加えて言うなら、前回の『世界のアソビ大全51』のコラムでも書いたけどボードゲームやカードゲームにも目がなく、夜な夜な集まっては夜通しゲームに興じるクラブを主宰するほどに“その手の”遊びも大好きだ。
 
キーワードは、ハクスラ、ダンジョンクロウル、ボードゲーム、カードゲーム……。
 
「これらをいっぺんに楽しめるモノが存在するなら、俺的には“究極のゲーム”に位置づけてもいいかもしれない!!」
 
そんなことまで考えていた。
 
しかし、要素を盛り込めば盛り込むほどひとつのゲームとして成り立たせることは困難となり、強引にまとめようとしてバランス崩壊したものがたくさん存在することをゲームファンはよく知っている。
 
そう、難しいのだ。
 
欲張りに要素をたくさん盛り込んで、ゲームとしてバランスさせることは。
 
ハクスラもカードゲームもボードゲームも、それ1本でゲームが成り立つ頑強なジャンルだからな。
 
そういった事実が厳然とある中で、あえて上記のキーワードをすべて盛り込んだタイトルがリリースされた。
 
先行で2018年12月にリリースされたSteam版で高い評価を受け、4月30日に満を持して家庭用ゲーム機(Nintendo Switch、プレイステーション4、XboxOne)に移植された“デッキビルディング・ペーパークラフト・ハック&スラッシュ”。その名は、
 
『Book of Demons(ブック・オブ・デーモンズ)』

 
俺、これのNintendo Switch版を遊んでいるんだけど……地味だけど、シミジミとおもしろいわ。なんか、一生味が出続けるスルメを食ってる感じw
 

派手ではない。でも楽しい!

『Book of Demons』は前述の通り、ハクスラとダンジョンクロウルとカードゲームとデッキビルディングとボードゲームと、えーっとそれから……あと、絵本(!)の要素が組み合わさったゲーム……と思ってもらって間違いない。
 
「どんだけ欲張り屋さん!!!」
 
と思った方が大勢いると思うし、俺もそのひとりだったんだけど、やってみたらこれが……いい感じにそれぞれの要素を摘まんでまとめてあって、キチンと遊び込める内容になっているのである。
 
ゲームの中身は、『ディアブロ』ライクなハクスラそのもの。
 

 
絵本のような世界でペーパークラフト風のキャラを動かし、敵を倒してカード(魔法の効果とかいろいろある)を集め、それをもとにデッキを作って再度ダンジョンへ……という流れだ。
 

 
おもしろいのが、キチンとボードゲーム風のアレンジがされているところだ。
 
ダンジョン内でのプレイヤーキャラは、まるでボードゲームのコマを動かすように“道”のあるところにしか移動することができない。
 

 
攻撃をするのも、敵から距離を取るのも、通路の範囲内に限定される。その中で、カードを駆使して敵と対峙し、状況を打開して、ダンジョンの奥へ奥へと進軍していく。
 
現れる敵も、いかにもボードゲーム風の味付けだ。
 
盾を壊さないとダメージを与えられないものや、下手に倒すと毒をバラ撒いて被害を被る敵も。
 

 
ここでも、敵との距離感と使うカードが重要になる。アイテム収集の楽しさに加え、ボードゲーム風ならではの頭脳戦が随所に散りばめられていて、なんとも脳ミソを刺激してくれるのだ。
 

 
決して、派手なゲームではない。
 
見た通り画面構成は地味だし、ダンジョン内の表現も、誤解を恐れずに言うなら“ひと昔前”のゲームのようである。
 
それでも、『Book of Demons』は楽しい。
 

 
見た目の豪華さやインパクトなんて端から捨て、ゲーム性と楽しさのみに振ったこういうゲームこそ、多くの人に遊んでほしいと思いました。
 

『Book of Demons』
各プラットフォーム ダウンロード購入ページ:

Nintendo Swich/■Play Station4/■Steam/■Xbox One

 

大塚(おおつか) 角満(かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。

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