By まつがん
1. 呼び声ダッカル
vol.22-1ではダッカルパラノーマルの派生形を、vol.22-2では《裁キノ聖堂 レ・リョーカク》を生かしたパワー系メタクリデッキを、vol.22-4では軽量ギャラクシールドを生かしたデッキを、それぞれ取り扱ってきた。
vol.22のテーマは「シールドを使ったギミック」だ (というと毎回テーマが必ずあるように聞こえるかもしれないが、ないときもある)。ならば番外編とはいえvol.22-5のナンバリングを冠した今回も、シールドを使ったギミックのデッキを作るべきだろう。
さて、vol.22-1でも述べたように、私は光水ベースのダッカルパラノーマルというデッキに対して不満があった。
そこに《進軍する巨砲 クロムウェル》《U・S・A・BRELLA》というスパイスを加えたことで「ダッカル・ファミリエ」というデッキができあがったわけだが、後から冷静に考えてみた結果《緑知銀 ダッカル》と《裁キノ聖堂 ラ・ファミリエ》とのシナジーはともかく、《GOOOSOKU・ザボンバ》がデッキにあまり噛み合っていないという欠点が発覚してしまったのである。
マジボンバーとギャラクシールドという、十王篇のチームギミック同士を横断させたデッキを組みたいという建前を優先するあまり、実際の機能を度外視してしまった部分はあるにせよ、これでは片手落ちと言われても仕方がない。
ならば、他のアプローチは存在しないだろうか?
たとえば相方の文明を変えるというのはどうだろう。《緑知銀 ダッカル》の光は確定として、水は既存のダッカルパラノーマルで研究されている。火は既に通過した。ならば闇か自然か。
ここで、私は光水のダッカルパラノーマルが抱えていた課題を思い出した。それは《緑知銀 ダッカル》に依存しすぎているという点だ。
「ダッカル・ファミリエ」では《GOOOSOKU・ザボンバ》を5~8枚目の《緑知銀 ダッカル》として扱うことで課題の解決を図ったわけだが、ここでは改めて根本的な部分に立ち返ることにしたい。
すなわち、もし《緑知銀 ダッカル》をサーチすることができたなら?
《ディメンジョン・ゲート》や《五郎丸コミュニケーション》を使えば、《緑知銀 ダッカル》をサーチしてくることは可能である。これを生かし、自然文明を相方にしたダッカルパラノーマルを組むことはできないだろうか。
だが、一つ問題が生じる。《緑知銀 ダッカル》を素引きした場合に比べ、《ディメンジョン・ゲート》を経由したパターンはさすがに動きが弱すぎるのだ。
また、《緑知銀 ダッカル》着地後は《ディメンジョン・ゲート》がランダムに表向きのシールドを増やすだけの呪文と化してしまう点も懸念材料だった。これが《シナプス・キューブ》や《ブレイン・ストーム》なら、《凄惨なる牙 パラノーマル》を積み込むことも可能かもしれないところなのだが……。
何か……そう、たとえば山札の上に好きなクリーチャーを積めるような、そんな呪文があれば……。
あった。
《魂の呼び声》。
このカードのすごい点は、「メタリカ」を宣言することで単に弱い《ディメンジョン・ゲート》として《緑知銀 ダッカル》を探してこれるというだけでなく、《緑知銀 ダッカル》着地時に《「絶対の楯騎士」》がめくれることまでも保証してくれる点にある。
また、《緑知銀 ダッカル》着地後は「アウトレイジ」を宣言することで《凄惨なる牙 パラノーマル》をトップに積み、《緑知銀 ダッカル》の効果でそのまま表向きの楯にできる。まさに至れり尽くせりだ。
かくして自然文明を相方にしたダッカルパラノーマルという方針は定まった。しかし《魂の呼び声》を唱えるためには、最低でもあと2スロットほどは自然文明のカードを搭載する必要がある。
しかし相方を水文明にしている場合と違って、自然文明にはドロー操作がかなり少ない。ゆえにこのデッキにおいて自然文明が持つべき役割は、必然的に初動とメタカードということになる。
そう……「ダッカル・ファミリエ」では、ドッカンデイヤーと戦うのに欠かせないという理由で《U・S・A・BRELLA》を採用した。
ならば当然。
《リツイーギョ #桜 #満開》。このカードを採用できることは光自然のダッカルパラノーマルにおけるメリットの一つと言えるだろう。
もちろん《凄惨なる牙 パラノーマル》さえシールドに設置できるならGRクリーチャーなど恐れるに足りないが、そこまでたどり着くのには時間がかかる。その時間を2ターン目の《リツイーギョ #桜 #満開》が稼ぎ出してくれるならば言うことなしだ。
また、ドロー操作ではないがカードを山札の上に積み込める異色のカードとして、《摩破目 ナトゥーラ・トプス/ストンピング・ウィード》がある。これを使えば序盤にマナ置きした《凄惨なる牙 パラノーマル》や《「絶対の楯騎士」》も、《緑知銀 ダッカル》着地後に有効活用できるだろう。
さて、このあたりでデッキは大体固まってきたので、あとは何か必殺技が欲しいところだ。
ここで私はvol.22-4で採用した《煌世主 サッヴァーク†》のギミックに思い至った。
ただ、もちろんこれだけでもvol.22の総決算としてのデッキにふさわしい必殺技だが、「シールド・ゴー」持ちのカードにはまだ未知の可能性が眠っていたのだ。
そう。
《守護すぎる守護 鋼鉄》で《煌世主 サッヴァーク†》にシールド・セイバーを持たせたら無敵では????
バトルゾーンを離れない状態の《煌世主 サッヴァーク†》がシールド・セイバーを持ったなら、相手はもはや二度とシールドを割ることができなくなる。そう、それはいわば《煌世主 サッヴァーク†》の究極形態。すなわち、《煌世主 サッヴァーク†》の鋼の腹筋がすべての攻撃を跳ね返すのだ。
というわけで (?)、vol.22の集大成としてできあがったのがこちらの「呼び声ダッカル」だ!
『呼び声守護すぎダッカル』
《リツイーギョ #桜 #満開》 | |
《ヘブンズ・フォース》 | |
4 | 《魂の呼び声》 |
《摩破目 ナトゥーラ・トプス/ストンピング・ウィード》 | |
4 | 《緑知銀 ダッカル》 |
4 | 《♪君は煌銀河の正義を見たか?》 |
4 | 《凄惨なる牙 パラノーマル》 |
4 | 《「絶対の楯騎士」》 |
2 | 《守護すぎる守護 鋼鉄》 |
2 | 《煌世主 サッヴァーク†》 |
1 | 《Dの牢閣 メメント守神宮》 |
1 | 《光牙忍ハヤブサマル》 |
1 | 《超次元ホワイトグリーン・ホール》 |
1 | 《フェアリー・ギフト》 |
超次元ゾーン | |
1 | 《勝利のプリンプリン 》 |
1 | 《その先の未来へ、カミヤ・ミキ・ユア・ナルハ》 |
1 | 《愛しい場所、マイカ・月ノ・ハルナ》 |
1 | 《道玄坂マングース、ココ・ユユ・ドクソン》 |
1 | 《イオの伝道師ガガ・パックン》 |
1 | 《シルバー・ヴォルグ》 |
1 | 《激相撲!ツッパリキシ 》 |
1 | 《STARSCREAM -ALT MODE-》 |
超GRゾーン | |
2 | 《煌銀河 サヴァクティス》 |
2 | 《防護の意志 ランジェス》 |
2 | 《破邪の意志 ティツィ》 |
2 | 《浄界の意志 ダリファント》 |
2 | 《続召の意志 マーチス》 |
2 | 《威光の意志 ティントレ》 |
1枚のホワグリのためにデッキリストがハチャメチャに長くなってしまっているが、唯一の多色だし抜いてしまっても問題はないだろう。
相方を自然にするとS・トリガーが弱くなってしまうのが玉に瑕だが、《魂の呼び声》がもたらす安定性がそれ以上だと見るならば、検討する価値は十分あるものと思われる。
2. おまけ:再現性と戦う墳墓ハンデス
現代デュエル・マスターズには強力なデッキが溢れている。
では、その強さを支えているのは何か。一騎当千のスーパーレアか。ひとたび発動すれば決して止まることのない頑強なループか。
否。強者を強者たらしめているのは、vol.4-1でも述べた「再現性」だ。
上位60%の手札が来たときに強い動きができることは当然である。むしろ下位40%の手札が来たとしてもそれなりの動きができることが、デッキのポテンシャル、いわば地力を決定づける。
では、そうした再現性が高いデッキと戦うにはどうすればいいのだろうか?
再現性の高さはコンセプトの強さ以上に埋めようのない差を作る。ならば再現性がそこまで高くないデッキはそもそも太刀打ちしようがないのではないか……と、思われるかもしれない。
だが、デュエル・マスターズというカードゲームは長い歴史の中で、再現性そのものと戦う手段をもきちんと用意していたのだ。
《天使と悪魔の墳墓》。
このカードは、相手のデッキに4枚積みのカードが多ければ多いほど効果を発揮する。すなわち、再現性を高めたデッキであればあるほど甚大な被害を被るのだ。
とはいえ、2020年にもなって《天使と悪魔の墳墓》でマナゾーンを吹っ飛ばされるようなプレイヤーはnoobと罵られても仕方のないところかもしれない。気を付けてさえいれば、致命的な被害を受けないようなマナの置き方をすることも可能だからだ。
ならばどうするか。
手札を破壊してやればいい。
《傀儡将ボルギーズ/ジェニコの知らない世界》や《ゲオルグ・バーボシュタイン/ゴースト・タッチ》といったランダムな手札破壊は対戦相手のマナチャージの選択肢を狭めることができるので、《天使と悪魔の墳墓》とはありきたりだが絶好の相性を誇る。
そうなると《ブレイン・タッチ》も入れたくなるところだが、3色はマナベースに負担がかかるしドロマーハンデスはメジャーなので、ここは光闇の2色のみで組む道を模索したい。
しかし《ブレイン・タッチ》に代わるアドバンテージ確保手段となると光闇の2色ではそう簡単に見つかるはずも……。
あった。
《天雷の導士アヴァラルド公》は呪文ベースのデッキなら3マナ3ドローも狙えるカードとなる。
また、《改造治療院》は8枚のツインパクト手札破壊からつなげれば実質《ブレイン・タッチ》と言っても過言ではない。
水を抜くと《テック団の波壊Go!》が入れられなくなるが、《九番目の旧王》の登場は光闇2色での構築を正当化してくれる。
というわけでできあがったのがこちらの「再現性と戦う墳墓ハンデス」だ!
『再現性と戦う墳墓ハンデス』
《天使と悪魔の墳墓》 | |
《傀儡将ボルギーズ/ジェニコの知らない世界》 | |
4 | 《ゲオルグ・バーボシュタイン/ゴースト・タッチ》 |
《天雷の導士アヴァラルド公》 | |
4 | 《改造治療院》 |
3 | 《オリオティス・ジャッジ》 |
3 | 《超次元リバイヴ・ホール》 |
3 | 《九番目の旧王》 |
2 | 《黙示護聖ファル・ピエロ》 |
2 | 《マッド・デーモン閣下 /デーモン・ハンド》 |
2 | 《無双の縛り 達閃/パシフィック・スパーク》 |
1 | 《超次元サプライズ・ホール》 |
1 | 《緑知銀 グィムショウ》 |
1 | 《光牙忍ハヤブサマル》 |
1 | 《青守銀 シルト/解体事変》 |
1 | 《魔天降臨》 |
超次元ゾーン | |
1 | 《勝利のガイアール・カイザー》 |
1 | 《勝利のリュウセイ・カイザー》 |
1 | 《勝利のプリンプリン》 |
1 | 《その先の未来へ、カミヤ・ミキ・ユア・ナルハ》 |
1 | 《愛しい場所、マイカ・月ノ・ハルナ》 |
1 | 《道玄坂マングース、ココ・ユユ・ドクソン》 |
1 | 《イオの伝道師ガガ・パックン》 |
1 | 《激天下!シャチホコ・カイザー》 |
見てのとおり十王篇のカードは一切入っていないし、別にこのデッキがすごく強いとかそういうわけでもない。
じゃあ何でこのデッキを作ったのかというと、《天使と悪魔の墳墓》というカードはデュエマの他のカードでは決してできない角度から圧倒的なアドバンテージをとる可能性を秘めているので、こうして「《天使と悪魔の墳墓》で対戦相手の裏をかきたい欲」をあらかじめ発散しておかないと、「はっ!今こそ《天使と悪魔の墳墓》がソリューションなのでは!?」と無駄に勘違いをしてしまいがちだからである。
現実にはこんな陰キャデッキを使っていると《音奏 プーンギ》とか《奇天烈 シャッフ》とかに右ストレートでぶっ飛ばされること請け合い(それ以前に明確な勝ち手段がないので時間切れ楯差で死にそう)だろうが、メタゲーム次第ではチャンスが巡ってくることもあるかもしれない。
ではまた次回!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。