『ケシカスくん』誕生秘話!
——ここで村瀬先生が登場ですね!! 『ケシカスくん』の前には、どんな漫画を描いていたのか知りたい読者も多いと思います!!!!
SCEから2001年に発売されたゲーム『ジャック×ダクスター』のコミカライズとして、『ジャック×ダクスター イタチで悪いか!!』というギャグ漫画の連載を別コロで1年間しました。次は、ベイブレードが流行っていたので、別冊でタイトルだけいただいて『爆転!!さるまわし カリスマくん』っていうサルが主人公の漫画を01年から03年まで連載したり。
正直言うと、それらの作品は突き抜けた順位ではなかったけど、また次にチャンスをもらえて。彼の人柄なのか作風なのか、当時から、みんなに好かれていましたね。
——担当編集者である秋本さんは、村瀬さんのどんな部分を買っていたんですか?
他の人にはないシュールさというのかな。最初の頃、彼はセリフのない“サイレント”の漫画を描きたいと言っていて。実際、デビュー作の『ケイ&ロー』はサイレントものでした。
でも、「“セリフという武器”をなぜ使わないのか」と聞いたら、「『トムとジェリー』が大好きなんです」と言うんだよね。おれも『トムとジェリー』が大好きで。広島では、夕方に『トムとジェリー』が再放送していて、外で遊びまくったあと、親が帰ってくるまでよく見ていたんです。だから、好きなもののベースが近いというのは大きかったかもしれない。
——『ケシカスくん』の誕生秘話も、ぜひ教えてください!!
当時、おれは『ドラベース』(むぎわらしんたろう先生)の担当で、愛知県での「次世代ワールドホビーフェア」での先生のサイン会に同行していました。村瀬先生は愛知県在住だから、そのタイミングで、次の読み切りの打ち合わせをしようと。……が、サイン会の前に話をしてみると、まったくのノーアイデアだったんです。
思わず、「せっかく読み切りの枠が取れたのに! ほかの人に渡すのか!?」と怒ったんですね。サイン会の時間が迫って、「おれ、もう行くから」って、野球選手が試合前に通るバックヤードをつかつか歩いて。その後ろをさ、村瀬先生がついてくるの。
その時、彼が控え室で小さくなりながら、無言で打ち合わせノートを何度も描き直している姿がフラッシュバックしたんです。テーブルの上を消しかすだらけにしている、村瀬先生の姿が。
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