コロコロコミック500号記念企画!! コロコロコミック歴代編集長インタビュー 第9回【2015-2019】9代目編集長/和田誠(まこ殿様)

“小学生”は子どもが子どもらしくいられる貴重な時間

——和田さんは1994年に小学館に入社しています。コロコロは和田さんが小学生の頃に創刊されて愛読していたそうですが、入社当時は学年誌を希望していたと聞いています。どうしてですか?
 
三浦さん(=三浦卓嗣/コロコロの5代目編集長)のインタビューにも載っていますが、三浦さんが『小学6年生』の副編集長をしていた頃って、編集部からゴルバチョフに手紙を出すなど、ジャーナリステッィクなことをしていて。とがった雑誌だったんですね。雑誌業界全体で見ても、おもしろい雑誌でした。それで学年誌を希望したんです。
 

▲まこ殿様の笑顔がデカデカと載ったコロツアーのページ

——入社後は『幼稚園』など、いくつかの児童雑誌を経て『小学1年生』の編集部へと配属されていますね。コロコロとの関わりはありましたか?
 
「次世代ワールドホビーフェア」では、コスプレをして司会進行していた時期があります。地方のイベント会場での帰りだったかな。たまたま、佐上さん(=佐上靖之/コロコロ7代目編集長)が隣の席で、「お疲れさま」って言ってビールをおごってくれたんです。その時に、「そろそろコロコロに来るか?」と、突然誘われて。「ああ、おれはこのビールで買われるんだ」と(笑)。
 
それから4・5年、『小学1年生』の編集部にいたんですけど、編集者生活10年目に差し掛かるタイミングで「仕事としておもしろい雑誌はなんだろう」と考えた時に思い浮かんだのがコロコロでした。入社当時は、読者視点でおもしろいと思った学年誌を志望しましたが、編集者としてコロコロに携わってみたいという気持ちになったんです。
 
——コロコロを魅力的に感じたポイントは、どういうところだったのでしょうか。
 
僕が入社して3年ほど経った頃、コロコロは200万部を突破しました。ミニ四駆があって、ポケモンがあって、ハイパーヨーヨーがあって、……。その後もベイブレードなど、ブームの変遷の数々を同じ会社の人間として目の当たりにして、自分も子どもを熱狂させる仕事にチャレンジしてみたいと思ったのが大きいです。
 

▲ミニ四駆・ポケモン・ハイパーヨーヨーがそろい踏みした表紙だ!

——学年誌での経験が、コロコロ編集長になって生きた点があれば教えてください。
 
「雑誌は、情報が雑多であるほうがいい」という考え方です。三浦さん時代の『小学6年生』のように、何か新しいことをやってみたいという思いもありました。
 
——それは、コロコロでモンハンを取り上げたことにも通じそうですね。近年では、『けだまのゴンじろー』(ながとしやすなり先生)と『Bラッパーズ ストリート』(コーヘー先生)ではソニーグループ、『まんがで!にゃんこ大戦争』(萬屋不死身之介先生)ではポノス、『チコちゃんに叱られる!』(住吉リョウ先生)ではNHKなど、和田さんの編集長時代はお付き合いするメーカーさんとの広がりも感じられます。
 
ゲームメーカーさんやホビーメーカーさんと組んでヒット作を生み出していくのが従来のやり方ですが、小学生が好きそうなものがあれば、お付き合いのなかった会社さんだろうと関係ないですからね。ラップで言えば、小学生との関わりは一見薄いように感じるかもしれませんが、韻を踏むという点に着目すると、ダジャレに通ずる部分もあるのかなと思ったんです。
 

▲『まんがで!にゃんこ大戦争』『けだまのゴンじろー』などが表紙を飾る2019年4月号の表紙だ!

——最後に、読者である男の子にとっての小学生時代は、人生におけるどのような時間だと思いますか?
 
小学生……つまり、コロコロを読んでいる時期っていうのは、子どもが子どもらしくいられる貴重な時期だと思います。人って、小学生に入って初めて社会性を身に付け始めますよね。そして、高学年になるにつれて、大人と同じような思考に成長していく。
 
なので、そういう心の成長に差し掛かったら、コロコロコミックはおもしろくなくなるというか、必要のないものになってしまうと思うんですよね。そこに至るまでの本当に短い、そして貴重な時間に読んでもらうものなのだろうと。
 
でもね、同時に「大人になる」っていうことを拒み続けてもいいんじゃないか、とも思っていて。普通の大人に比べたら、その部分を拒んでいる割合の大きい人たちが、漫画やホビーやゲームをつくっているのかなというのは、日頃、いろいろな会社の人に会っていて感じることです。
 
まだ何色にも染まっていない少年時代に、何を読み、何を聴き、何を知るかが、その後の人生の豊かさにつながっていくはず。そんな子どもたちに読んでもらう雑誌をつくっているんだという意識を、常に持ちながら校了していました。
 

▲まこ殿様の百点満点のスマイルは今も健在!!

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