出版不況の最中で100万部を出せた意義
——ここからは、編集長に就任した2015年以降の話をうかがえればと思います。まず、同年にYouTubeチャンネルの「コロコロチャンネル」を、17年には本サイトの前身である「コロコロニュース」(※現「コロコロオンライン」)を開設しています。インターネットでの発信を始めた理由を教えてください。
コロコロコミック本誌への、入り口の一つになればと思って立ち上げたものです。紙のコロコロコミックを出し続けていくためにも、相互関係的に盛り上げていければと。
——「出し続けていくため」という意味では、出版不況が叫ばれるなか、2018年1月号で約2年ぶりとなる100万部の大台を突破しましたね。
実はね、その1年前の17年1月号は「絶対に100万部売れる!」と思っていたにも関わらず、販売部の人に「慎重にいきましょう」と言われて、93万部の発行となったんです。でも、1週間くらいで完売したんですね。正直、悔いが残っていたんです。次の年は絶対に100万部つくりたい、と思っていました。
ちょっとかっこつけた言い方になってしまうかもしれないですけど、コロコロコミックって、子どもたちに“熱狂”と呼べるほど興奮してもらって、笑顔になってもらうことが、創刊時代からの編集者たちの思いなんです。そのために、編集部員みんなで毎週、編集会議を開いて、いろいろな企画や付録を考えて、どうすれば子どもたちがよろこぶかなと考えていて。1年の最後に出す“1月号”は、その集大成なんですね。
だから、コロコロコミック編集部が42年間ずっと守り続けてきた、チームワークの良さを発揮できた号だと思います。日本で1番、雑誌づくりのおもしろさを味わえる編集部だと今も思っています。
雑誌が売れないであるとか、娯楽の多様化と言われる時代に、しっかり売れる雑誌をつくれたというのは、とても意義のあることだったなと。
——19年1月には、「ミライからやって来た!ミラクルなコロコロコミック創刊!!」というキャッチコピーで、ミラコロコミックを発売しました。出版不況という意味では、新しい雑誌を立ち上げるのも大変な時代ですが。
コロコロと聞くと、ホビーやゲームの印象を持つ方も多いと思いますが、コロコロ創刊のきっかけとなった『ドラえもん』のように、オリジナルの漫画があってこその雑誌なんです。むしろ、それがなければダメだと思っていて。
特に重視していたのは、ストーリー漫画です。とっつきやすいギャグ漫画と比べて、ストーリー漫画は定着しづらくて。加えて、本誌に載せられる作品の数には限りがありますから。コロコロの未来のためにも、未来の読者によろこんでもらうためにも、まずはミラコロが発表の場を担えればと立ち上げました。
19年11月号からコロコロ本誌で連載が始まった『リッチ警官キャッシュ!』(黒田さくや先生)は、ミラコロから生まれた作品です。20年の1月にはミラコロ第2号が出る予定なので、本誌とあわせてチェックしてもらえたらうれしいです。
次回更新は、秋本武英10代目編集長が登場だ!! 記念すべき500号で誌面に初登場した現編集長が、コロコロの未来を語る! さらに『ケシカスくん』初代担当編集ならではのマル秘エピソードも!! 楽しみに待っていてくれよな!!!!
みんな、ここまで読んでくれてありがとう! 次のページからは取材余話として、和田さんの雑誌づくりの源泉をたどる、新入社員時代のエピソードなどを紹介するぞ!!!!
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