コロコロコミック500号記念企画!! コロコロコミック歴代編集長インタビュー 第7回【2004-2011】7代目編集長/佐上靖之(サガミネーター)

小学生男子を夢中にさせる3大要素

——長年コロコロ編集部にいて感じた、“子どもを夢中にさせる要素”とは、どのようなものでしょうか。
 
語られ尽くされていると思うけど、男の子がよろこぶものには「カスタム」「勝負」「コレクション」の要素がそろっている。ミニ四駆もポケモンもベイ(ブレード)もそうでしょ? そのまま遊んでも楽しいんだけど、子どもたちなりの創意工夫を盛り込む余地がある。これから男の子の間で流行るホビーやゲームも、そういった要素が変わらずに入っていてほしいなと思う。
 

 
あとはね、メカニカルな要素。例をあげると「ハイパーヨーヨー」と「ゾイド」ね。ハイパーヨーヨーはさ、おれが小さい頃に遊んだヨーヨーと全くの別物に進化していて。あれさ、中にベアリングが入ったんだよね。
 
これは後付けなんだけど、ミニ四駆も軸受けにベアリングが入ってるじゃん? 一時期さ、「ベアリングを必要とする男児ホビーはウケる」って言われていたことがあるくらいなんだよ。要は、ベアリングとかギアが入ることで、男の子心をくすぐるっていう。なんかさ、大人になっても、いまだにそういうのに惹かれることってない(笑)?
 

▲キミはトリック技のポスターふろくを見て練習したか!?

——めちゃめちゃわかります! おもちゃからワンランク上になるというか。
 
そうそう! たとえばゾイドはさ、材質こそプラだけど、デザイン自体はメカニカルな部分を強調しているでしょ。あれが、「かっちょいいーーーー!」となって、男の子の心を惹きつけるんだよな。
 
そして、「ベイブレード」の2回目のブームは部数が一気に上がったから、よく覚えてる。『メタルファイト ベイブレード』(足立たかふみ先生)はさ、当初は、08年より早くスタートする予定だったんだ。でも、1回目のブームは02年頃まで続いていたから、当時を知っている小学生がまだコロコロ読者のなかにいるタイミングだった。
 
これは“男子小学生あるある”なんだけど、前のブームを知っている上級生って、つい低学年に教えたくなるもんじゃない(笑)。それはいいことでもあるんだけど、新しくベイブレードを知る世代が、まっさらな状態で楽しめない可能性があるんだよね。だから、前のブームを知る読者が卒業するタイミングで、満を持して始めようと。いざお披露目すると、前のブームを知らない子どもたちが一気に夢中になってくれたんだよね。
 

▲メタルファイトベイブレードの爆報記事だ!

いやー、話してると思い出すもんだね。今さ、ホビー関連の話が続いたけど、漫画の話もしていい? よくさ、コロコロで紹介しているホビーが社会現象になると、担当編集がビジネス誌の取材を受けるのよ。で、その時に決まって言われるのが「メディアミックス展開がすごいですね」っていう。「いや、それもあるけどさ、コロコロの漫画はどうですか?」って、心の中ではいつも思ってた。
 
だってさ、よーーーく考えてみてほしいんだよね。コロコロにあって他の少年誌にないものは何だろうって。それはさ、小学生の男の子がゲラゲラ笑えるギャグ漫画がいつの時代も載っているってことなんだよね。『つるピカハゲ丸』(のむらしんぼ先生)や『おぼっちゃまくん』(小林よしのり先生)のような、時代を代表するギャグ漫画が常にある。
 
——佐上さんが編集部にいる頃、星のように現れたのが『でんぢゃらすじーさん』の曽山一寿先生ですね。
 
そう! 作品が誕生したのは横田さん(=横田清/6代目編集長)の時代だけどさ、おれも編集長になってから校了(※記事や漫画の内容に間違いや問題がないかをチェックすることだ!)するでしょ。で、じーさんの原稿を読むじゃん? 「……あれ、どこまでOKなんだ、これ?」って頭を抱えんの(笑)。なぜなら、過去に同じようなギャグを描いている作品がなかったから。それだけ、じーさんは新しかったってことなんだよね。
 

▲バックナンバーを手にして、「いいなー、じーさん。校了しながら笑う漫画って、なかなかないからね。そういう作品が、まだちゃんと上位で頑張ってるのはすげーなって思うし、そこを突き抜けてくる若い作家の登場にも期待したいね」とコメント

『イナズマイレブン』誕生秘話

——じーさんが、校了のラインを引き上げたと言っても過言ではないかもしれないと(笑)。2004年の編集長就任以降だと、どのような漫画が印象に残っていますか?
 
『イナズマイレブン』(やぶのてんや先生)かなぁ。やっぱりさ、日本でサッカー漫画と言ったら、『キャプテン翼』(高橋陽一/集英社)じゃない。冒頭でも話したけど、おれ、サッカー好きだし、「キャプ翼は知らないけど、このサッカー漫画なら知っている」って言われるような作品をコロコロから生み出したいとは、ずっと思っていた。
 

▲『イナズマイレブン』の連載予告ページ

実際、コロコロは、過去に何回も読み切り・連載含めて、いろいろなサッカー漫画をつくってきたんだよね。でも、キャプ翼と肩を並べられるほどの作品にはならなかった。そんな時に、日野(晃博)さんが現れたんだよ。
 
——日野さんは、のちに『妖怪ウォッチ』や『スナックワールド』など、数々のヒット作を生み出した会社・レベルファイブのゲームクリエイターですね!
 
日野さんのプレゼンは、大変熱いものでした。その頃には「子どもたちって、サッカー漫画にはあまり反応しないよね」という印象さえ持っていたけど、いざフタを開けてみると、ものすごいアンケートが良かったっていう。幸せな出会いだったな、と思いますね。
 
——『イナズマイレブン』シリーズのアニメに、モブキャラクター的な立ち位置でサガミネーター(=佐上さんをモデルにしたキャラクター)が紛れ込んでいることがありますが……!?
 
「コロコロ読者なら知っているキャラクターだから、出しちゃおうか」みたいなことじゃないかな? 誰もよろこばないんじゃねーか、と思うんだけど(笑)。
 

▲金髪・サングラスがサガミネーターのトレードマーク!

——SNSで検索すると、「今、サガミネーターいたよね!?」という反応がちらほらと……(笑)。ほかにも印象に残っている漫画はありますか?
 
新井(=新井利幸/現コロコロアニキ編集長)が連載を起こす漫画は、編集会議で企画を聞くたびに「おもしろそうだな」と思ってた。『ペンギンの問題』(永井ゆうじ先生)とか『うちゅう人田中太郎』(ながとしやすなり先生)とかね。実際、連載が始まるとアンケートでもしっかり数字を取るっていう。
 
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