コロコロコミックは、2019年11月15日発売号で創刊500号を達成!! それを記念して、現10代目編集長までのリレーインタビューで約40年にわたるコロコロの歴史を振り返るぞ!
第6回は、ホビーやゲームで社会現象とも言われるブームを起こしていたコロコロに「漫画回帰」を掲げた6代目編集長の横田清さんだ!! 『でんぢゃらすじーさん』『ケシカスくん』『コロッケ!』など、今も本誌やアニキで大人気のオリジナル作品が生まれる土壌をつくりあげた張本人に、当時のマル秘エピソードをたっぷり話してもらったぜ!!! 「コロコロ500号記念大年表」と一緒に楽しんでくれよな!!!!
横田清(よこた・きよし)
1953年、東京都出身。コロコロコミックが創刊した1977年、小学館に入社。学年児童誌の『小学二年生』、コロコロの女の子版として誕生した『ぴょんぴょん』(※のちに少女漫画雑誌『ちゃお』と統合)編集部を経て、『ちゃお』編集長に就任。その後、99年から04年まで、コロコロコミック6代目編集長を務めた。コロコロコミック4代目編集長の黒川和彦さんとは同期入社。
『ちゃお』からコロコロの編集長に就任!
——当時、ホビーやゲームが席巻していたコロコロコミックに「漫画回帰」という旗を掲げたのが横田さんです。結果、編集長時代の1999年から07年の間に、『でんぢゃらすじーさん』シリーズ(曽山一寿先生)、『ケシカスくん』(村瀬範行先生)、『コロッケ!』(樫本学ヴ先生)など、オリジナルの人気漫画作品がいくつも生まれていますね!
コロコロ本誌だと、『でんぢゃらすじーさん』と『ケシカスくん』が続いているんですよね? すごいね。じーさんを初めて読んだ時は、本当にぶったまげました。衝撃的だったね。大人目線の「子どもにはこれくらいかな?」という遠慮がなくて、突き抜けていくタイプの作品だなと思いました。一方で、『ケシカスくん』は地道に、地道に、子どもたちの世界に浸透していった。そこの違いは、担当編集者のキャラが出た部分でもあるかもしれないな。もちろん、先生方の個性もあるけどね。
個性というか経歴だけど、曽山先生は漫画家になる前に劇団員をやっていたじゃない?
——『コロコロコミックのひみつ 公式ファンブック』(キクチ師範代+コロコロ公式ファンブック制作チーム)の曽山先生のインタビューに、そのエピソードが載っていますね!
そうなんだよ。小学校の体育館とか公民館でやる劇があるでしょう。その劇団員として、全国を回っていたんだよね。毎日のように開かれる公演を通じて、曽山先生は「何が子どもたちにウケるのか」ということを肌で感じていた。それが、ぜーんぶ漫画に入ってる。だから、じーさんでも、間の取り方とか天才的でしょう? どうしたら子どもが「ギャハハハハ!!!!」って笑うのか、漫画家になる前から染み付いていたんだと思いますよ。
——そもそも、横田さんはどうして「漫画回帰」が必要だと感じたのでしょうか。
これはね、順を追って説明させてください。
まず、自分が編集長としてできることが、漫画しかなかったわけ。なぜなら、自分はコロコロ叩き上げの編集長ではなくて、『ちゃお』(=小学館が発行する少女漫画雑誌)の編集長だったから。要は、コロコロコミックを経ずにコロコロの編集長になったから、男児向けホビーやゲームのことが、さっぱりわからない。じゃあ、この人事異動(※会社から「この編集部に行ってね」と言われること!)の意味はなんだろうと考えると、漫画に力を入れるということなんじゃないかな、と思ったんだね。
それと、ホビーっていうのはさ、社会現象になるじゃない。それこそ、日本中でわあっと盛り上がる。当時のコロコロは社会現象そのものでしたよ。僕の前の編集長(=三浦卓嗣/5代目編集長)の時代に、200万部を達成していますから。ホビーというコンテンツの持つ力を目の当たりにしてきた当時のコロコロ編集部が、もっと言うなら一人ひとりの編集者が、そこで一発当てたいという気持ちを持つのは当たり前だと思うわけ。
——雑誌の部数がわかりやすく伸びますしね。
そう。それと比べると漫画ってさ、いい作品でも、ホビー同様にドカンと部数やアンケートが伸びるっていうのは、めずらしいでしょう。さらに言えば、ホビーと比べてメーカーさんから設定やら何やらを提供していただけるわけでもなく、漫画家の先生方とゼロからつくっていく分、時間も労力もケタ違い。
——そうなると、横田さんが掲げる方針に反発する編集者もいたのではないですか?
それはね、本当にありがたいことにいなかったんだよ。「ホビーをなくして漫画雑誌にする!」と言ったわけではなくて、「漫画にも、もっと力を入れよう!」という主張でしたから。何より、コロコロコミックは『ドラえもん』という一つの漫画から始まった雑誌だということを、たぶん、みんなが理解していたんだね。
何より、危機感はみんなが持っていたはず。だって、コロコロの歴史をさかのぼればわかるけど、当たるホビーのある時期とない時期がハッキリしているから。社会現象にまでなるホビーやゲームが途切れなく続けばいいんだけど、ブームって必ず終わりが来るじゃない。じゃあ、そんな時に何がコロコロを支えてくれるのかと言ったら、やっぱり漫画なんだよね。
——おお……!!
あと、これはホビーやゲームのすごいところなんだけど、年々進化していくでしょう。誌面で紹介する“新しいホビー”というのは、同じ小学生でも高学年がよろこぶものになっていきがちなんだよね。なので、ホビーに軸足を置いてしまうと、男子小学生を対象にしたコロコロの読者層が上がってしまう恐れがある。「漫画回帰」は、そのバランスを取る意味合いもありました。
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