コロコロコミック500号記念企画!! 歴代編集長リレーインタビュー第3回【1987〜1991】創刊メンバー・3代目編集長/平山隆

「ジャンプ研究会」「ファックス禁止」漫画づくりへの情熱!


 
——そういえば、コロコロの編集者はどうして「記者」と呼ばれているのでしょう!? コロコロ第2号の編集後記を読むと、すでに「記者」という表現がされていますが……。
 
かつて、小学館に入社すると、編集者の肩書きが「記者」だったんですよ。今はもう違うけどね。編集者が実際に取材して記事を書いていましたから。文字通り「記者」だったんです。
 
——その名残なんですね! 創刊初期から連載していた『ゲームセンターあらし』のすがやみつる先生とのエピソードで、何か印象深いことはありますか?
 
すがやみつる先生は最新機器が好きで、連載陣の先生のなかで最初にファックスを導入したんです。で、ある日、ファックスでネームが送られてきた。そしたらね……僕は覚えていないんだけど、すぐに、すがや先生のところに電話をして、怒ってたって言うんですね。
 
「顔も見ないでファックスなんかでやりとりしていたら、いい漫画ができないよ。編集者と漫画家の直球のコミュニケーションが大事なんだ。ファックスなんか使っちゃダメだよ!」って。
 
それから少し経って、千葉県の奥のほうにいる漫画家さんが、すがやさんに「ファックスを入れたいんだけど、どうしたらいい?」と相談したみたいなんです。すがや先生は「コロコロはファックスダメだよ」と言うけど、その漫画家さんは「え、でも、平山さんがファックス入れろって……」と。
 
——(笑)。
 
千葉の山奥と東京じゃ、話は別でしょうって(笑)。
 

▲1980年の増刊号表紙より。ド迫力のあらしが描かれている!

——でも、「おもしろい漫画をつくるんだ」という熱を感じるエピソードですね。
 
漫画というのは、子どもたちの大きな楽しみですからね。一方で、コロコロコミックを創刊した当時は、漫画が読まれなくなった時代とも言われていました。でも、千葉さんは「漫画が読まれなくなったんじゃない。読む漫画がなくなったんだ。だったら、子どもたちが読みたくなる漫画をつくろうじゃないか」と言っていましたね。
 
——コロコロアニキで連載中の『コロコロ創刊伝説』(のむらしんぼ先生)では、平山さんが新人漫画家の先生たちをスカウトしていく様子が描かれていますね! どのようにして、先生方を誘っていたのでしょうか。
 
「一緒にやりませんか?」という言い方をしていたように思います。編集側がアイデアを出すという意味ではなくてね。つまり、漫画家さんというのは、一人で漫画を描いているわけでしょう。そこに、「この人と仕事をしたら、何かあるかもしれない」と思わせるような存在でありたいと思っていました。
 
僕はコロコロで初めて漫画編集をすることになったんですけれど、実際、先生たちと一緒に漫画をつくっていくのはこんなにも楽しくて、同時にしんどいことなのかと思ったものです。喫茶店を何軒もはしごしながら打ち合わせをしてね。
 
——そういった編集者と漫画家の先生たちの努力の結果、いくつものヒット作品が生まれたのですね。当時、ライバル視していたのは、どの漫画誌でしたか?
 
『週刊少年ジャンプ』(集英社)です。週刊というパワーがあり、漫画がおもしろく読者層も広い。とてつもないライバルでした。コロコロ編集部の有志で、ジャンプを研究する会をつくっていたほどです。
 

▲『コロコロ創刊伝説』でのシーン(※コロコロアニキ2019春号より)

どのようなことをしていたかと言うと、たとえば『ドラゴンボール』(鳥山明/集英社)や『魁!!男塾』(宮下あきら/集英社)など、人気漫画にそれぞれ担当を付ける。そして、次週のストーリー展開を独自に考えていました。それで、次の月曜日に再びジャンプを買って、比べてみるんですね。よく「そう来たか!」と膝を叩いていました。自分が作者になったつもりで作品を見ることで、本家本元のすごさがわかる。漫画編集者としての、具体的ないい勉強になりました。
 
担当者になって『ドラえもん』を見直すと、本当にすごいですよ。ストーリーだけでなく、絵一つとっても、表情がすごく丁寧に描き分けられていますから。1ページの中に同じ顔のドラえもんがいないですからね。
 


 
……と、話を聞き終わり、写真撮影をするタイミングで、「コンコン」と扉をノックする音。扉を開けると、なんと、そこには、偶然にも打ち合わせで小学館に訪れていた、のむらしんぼ先生の姿が!!!!
 

▲のむらしんぼ先生が登場! なんという偶然!! これが編集者と作家のきずなが起こすミラクルだ!!!! 

『つるピカハゲ丸』などで知られるのむら先生は、約40年前、平山さんにスカウトされて漫画家デビューした旧知の仲! さらに、のむら先生がコロコロアニキで連載中の『コロコロ創刊伝説』のシナリオは、平山さんの証言をもとに組み立てられているのだ!!
 
のむら先生:平山さん、どもども。お疲れさまです。びっくりしました。さっき、石井さん(※『コロコロ創刊伝説』担当編集者/同作にも登場!)から、取材で訪れていると聞いて。
 

 
「せっかくなのでお二人で写真を」とお願いしたところ、ポーズをお願いするでもなく、肩を組んでのツーショット。くぅ〜〜〜、二人の信頼関係が伝わってくるぜ!! 平山さん、のむらしんぼ先生、本当にありがとうございました!!

コロコロ500号カウントダウン特集記事はこちら!!

商品概要
『月刊コロコロコミック12月号』
発売日:11月15日(金)ごろ
特別定価:600円(税込)