『ポケモン』シリーズのゲームフリークが贈る完全新作RPG『リトルタウンヒーロー』が、2019年10月17日(木)発売!
本作のディレクターは、『ソリティ馬』の田谷正夫氏! さらに音楽を『ポケモン』シリーズの佐藤仁美氏と『UNDERTALE』のTobyFox氏が担当するという、超豪華スタッフが集結した期待の作品となっている。
<リトルタウンヒーロー/STORY>
物語の舞台は小さな村。
危険な外の世界に通じる道は「お城」が守っているため、村人が外の世界に出ることは出来ません。
ほとんどの村人は、そのことを不満にも思わずに暮らしていますが、主人公の少年は、それでも何とか「外の世界」を見てみたいと思う変わり者です。
そんなある日、おとぎ話の中にしか存在しないと思われていた「マモノ」が村に現れます。
村の炭鉱で拾った不思議な「赤い石」のおかげで並外れた力を手に入れた少年は、「マモノ」を退治しているうちに、「石」や「マモノ」の秘密を解き明かしていくことになります。
果たして少年の願いは叶うのでしょうか?
ついに配信まで後3時間と迫った”ヒラメキを力に変えるRPG”『リトルタウンヒーロー』。
コロコロオンラインでは、本作の魅力や発売に至るまでの経緯、開発の苦労話などをディレクターの田谷氏に独占インタビュー! 前・後編の2回に分けて、読み応えたっぷりの内容でお届けする!
■人物紹介
株式会社ゲームフリーク
開発本部 プログラマー
田谷正夫氏
気軽に遊べるRPGを目指して
――『ポケットモンスター』シリーズを長年手がけられているゲームフリークさんが、”完全オリジナル作品のRPGを制作する”ということに対する思いについてお聞かせ下さい。
僕は『ポケットモンスター ルビー・サファイア』の頃から関わっていて、開発側としてはもちろん、いちファンとしもすごく好きな作品です。発売されたら必ず買ってプレイしていますからね(笑)。
でも、考えてみるとそれ以外のRPG作品に手を出すことが、年々少なくなっていることに気付いたんです。RPGは、どうしてもプレイ時間がかかるし、行き詰ったらレベル上げをしないといけない。そういったことが億劫になってきて、仕事の忙しさと比例するように、昔は大好きだったRPGのプレイ時間が減っていったんです。
――たしかに大人になると、腰を据えてRPGを楽しむことが少なくなりがちですね。
そのことを弊社スタッフと、お酒飲みながら談笑している時、あるアイディアを話しました。舞台は世界全体ではなく、ひとつの村という狭い範囲で完結させる。煩わしいレベル上げなどの要素をなくして、気軽にプレイしやすくする。ただし、敵とのバトルは1戦1戦が手に汗握るゲーム性に。そして、やり終えたら満足感が得られるような作品を出したいと。
また、プレイ時間に関しても何百時間必要なボリュームではなく、大人が1日1時間ほど遊んで約1~2週間でクリアできるものを作れば、わりと喜んでくれるユーザーがいるんじゃないかって話をしたんです。
――そこから話が発展していったんですね。まさかの飲み会だとは。
その飲み会は、”ギアプロジェクト制度(※)”について色々と話そうか、ってことで、自分も含めて3人だったんですが、そのメンバーが結局そのまま『リトルタウンヒーロー』チームになりました。
(※有志がチームを組んで企画を提出し、社内審査を経て正式にプロジェクト化されると商品化を前提に開発に取り組む、ゲームフリークの社内制度。これまで『リズムハンターハーモナイト』や『ソリティ馬』『TEMBO THE BADASS ELEPHANT』『GIGA WRECKER』『ポケモンクエスト』などの作品が、本制度から生まれた。)
僕自身がギアプロジェクト制度で『ソリティ馬』というゲームを出して、ありがたいことにそれなりの評価を頂きました。それで、ギアで何かやりたいけど、まだはっきり内容が固まっていない感じだった2人の話を聞くみたいな感じで始まった飲み会だったんですが、さきほどお話したようなRPGを作りたいと伝えたところ、すんなり「じゃあ、それやろう!」という話になり、そのまま企画書を作って会社に提案したというのがキッカケです。それが3年くらい前かな。
――3人から始まり、徐々に人を集めて開発されていったと。
いつの間にか人が集まっていた――というのが理想なんですが、実は上手くはいきません。やはり弊社のマンパワーの大部分はポケモン開発に割かざるを得ません。開発が落ち着いた頃を見計らえば可能かも知れませんが、大体いつも忙しいので(笑)。
なので、こちらから有志スタッフを募集して、プロジェクトが実際に走ったら色んな人を誘っていくことが多いです。
小さな世界を守ることの大切さ
――先程、”物語はひとつの村で完結する”と仰っていましたが、その理由や意図を詳しく教えて下さい。
企画の立ち上げ時に言ったような”コンパクトなRPG”を作るためです。もし、ある程度の広さの世界やマップを用意した場合、結局はイベントやダンジョンを沢山作って、弱い敵を何度も倒してレベルを上げるというスタイルのほうがマッチします。
そうなるんだったら、舞台をもっと小さく”村”だけに焦点を合わせることで、プレイヤーに”自分の住んでいる村”として愛着を持ってほしい。そして、その大切な場所を敵から守るという形のほうが、今回のゲーム内容には合うと思ったのが一番の理由です。
あと、これは僕の感情的な部分ですが、子どもの頃は”世界を旅して強大な悪を討つ勇者の話”が面白く、感情移入してプレイしていました。でも、人生を重ねるうちに、スーパースターが世界を救うという感じじゃなくても、平凡だけど自分の目や手の届く範囲できっちり頑張って、その小さい世界を幸せに保つって、物凄く価値があると思うようになりました。
だから、『リトルタウンヒーロー』の舞台は”小さな村”であり、そのムラの平和をしっかり守れたら素敵なことだよね、というお話にしたかった、というのもあります。
デザインがゲームをさらに奥深くする
――ストーリー全体はどれくらいのボリュームなのでしょうか?
章仕立てになっていて、全9章用意しています。序盤、おとぎ話の中にしか存在しないと思われていた”マモノ”が突然現れ、戦う流れになるんですが、舞台となる村は外の世界と隔絶されていて外部から侵入できません。
唯一、外の世界と繋がる道がある場所はお城が建っている。じゃあ、一体マモノはどこから現れたのか。それを探っていく展開になります。
――謎を追う物語になるんですね。次に、キャラクターやマモノのビジュアルが大変魅力的ですが、どなたが担当されたのでしょうか?
デザインは、キャラクターとマモノで分かれています。キャラのほうは、本作のアートディレクターである栃木が全部デザインしてくれました。
マモノのほうは、栃木が前職で務めていた会社で繋がりのあった方ですね。栃木とその方が相談しつつ、マモノや村に関するイメージボードをいっぱい描いて頂いて、それを元にマップも作りました。
――ふたりが描いたイラストからイメージを得て、マップに落とし込んだんですね。ちなみにデザインに関して、田谷さんはどのような指示を出されたのでしょうか?
じつは僕からはほぼ何も言っていません。自分の近所のように愛着が湧くような安心できる場所にしたいと、ぼんやり願望だけ伝えていたら、栃木があっという間に作ってくれました。だからデザイン面は本当におまかせでした。
――上がってきた村のデザインを見て、どう思いましたか?
「おぉ、すげぇ! これだよこれ!」という感じでした。なので、修正指示は特にしていません。
――今、公開されているデザインが、ほぼ最初から上がってきたとは……。田谷さんがキャラクター面で指示されたことはありますか?
キャラクターの造形に関してもほぼ指示は出していませんが、主人公・ピッケルの自称ライバルであるマトックの追加は、僕からお願いしました。ストーリーを考えたとき、ピッケルに突っかかって邪魔してくる奴がいた方が上手く話が回りそうだと、そう伝えたら、すぐに描きあげてくれた感じです。
▲平和な村に暮らす主人公・ピッケル。
明日(10月17日)19時公開の後編では、サウンドを担当する『UNDERTALE』のTobyFox氏との出会いが明らかに! 乞うご期待!!
作品概要
『リトルタウンヒーロー』
■ハード:Nintendo Switch
■発売日:2019年10月17日
■価格:2500円+税
■ジャンル:RPG
■プレイ人数:1人
■公式HP:https://www.gamefreak.co.jp/town/