TVアニメ『イナズマイレブン オリオンの刻印』、そして、まんが『イナズマイレブン アレスの天秤』もいよいよクライマックス!!
コロコロオンラインでは、ファンからの注目が集まる両作品を爆盛り上げるため、9月11日(水)~30日(月)まで特別特集「イナイレ杯」を実施!
今回は、『イナズマイレブン アレスの天秤』の作者・おおばあつし先生と、サンデーうぇぶりで連載されていた『イナズマイレブン~ペンギンを継ぐ者~』こと『イナペン』の作者・やぶのてんや先生による、超スペシャル対談記事(全4回)をリバイバル連載!
ここでしか聞けない、ファン必見の内容をもう一度チェックだ!!
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星章から雷門へ…灰崎の旅立ち
――「イナペン」のラストで、せっかく打ち解けた星章学園から灰崎が旅立つのは、少し寂しくも感じました。やぶの先生はどんな気持ちで描かれたのでしょうか?
やぶの:僕としては、あまり抵抗はなかったですね。仲良くなってるからこそ、寂しいけどちゃんと送り出せるんじゃないかなと。ただ、自分の思い入れが強すぎて、最初のネームはキャラ達の物分かりが良くなりすぎちゃったので修正しました。ああ、灰崎って不器用なヤツだったな…とか。
おおば:灰崎を見送るコマで、涙で滲んでいくような演出がありましたよね。あれいいな~!と思いました。
↑「イナペン」灰崎旅立ち編「告白②」の巻(コミックス3巻収録) 水神矢は、男らしい態度で灰崎を見送るが…。
↑「イナペン」灰崎旅立ち編「告白②」の巻(コミックス3巻収録) 灰崎の後ろ姿を見つめる視界がぼやける…。
やぶの:歌謡曲的な表現ですよね(笑)。歌といえば、旅立ち編は谷村新司さんの「昴」という曲をイメージして描いていました。”昴”というのは星が群れを成している星団なんですが、その“昴”から離れていく男の歌なんですよ。すごくハマるなと思って…。
――確かに「星章学園」というチームにぴったりですね!
やぶの:以前ちらっとツイッターでも呟いたんですが、その時は全然反応なかったんです。多分世代が違いすぎて…(笑)。
おおば:僕もちょっと世代が違うから、わかんなかったってことにしておこっと(笑)。
――そんな灰崎の編入については、これから「アレスの天秤」でも描かれるかと思います。「イナペン」を読まれて、何か影響は…?
おおば:影響は大いにありますね! 今日、この対談の前にやぶの先生と話してたんですけど…。やっぱり僕らは、アニメに対して負けたくないって思いがあって。
やぶの:僕そんなこと言ってないよ(笑)。
おおば:ええ~!? 言ってましたよ!(笑) まあ、灰崎の迎えに行き方をアニメと全く同じ演出にはしない…という気持ちです。「イナペン」を読んで、こういう流れもあるんだなと感じて。こちらの漫画では、灰崎が雷門に来るドラマを、また新たな形でやろうと思います。
やぶの:「イナペン」は、スピンオフという形でアニメと歩調を合わせる漫画ですが、僕もコロコロで描いていた時は、コミカライズというか、読者層を男の子に絞って、熱くわかりやすく翻訳しようという意識で描いていたので、その方向でいいと思いますよ。
おおば:恐縮です! 当時、円堂の描き方もアニメと漫画で違いましたよね。アニメの方が大人しくて。明日人はもっと大人しいから、もしアニメを観てないコロコロ読者がアニメを観たら驚くかも(笑)。
やぶの:コロコロでは、読者目線のギャグも大事ですしね。
おおば:はい。ギャグは主人公である明日人にお願いしてる面が大きいです。
やぶの先生とおおば先生の運命的な絆!?
おおば:そういえば、さっきの見開きコマの話なんですが…。特徴的なシーンで塗り方やトーンを変えるっていうのは、やぶの先生の影響を受けてるんです。
やぶの:おおっ!
おおば:やぶの先生、大ゴマをえんぴつの線で描かれてることがありましたよね。それが本当に好きで、僕も印象的なシーンでは普段と違う効果を狙ってるんです。
↑「イナズマイレブン」第19話 円堂の感情が溢れる激熱のシーン。えんぴつ線で描かれている!
やぶの:嬉しいなあ~。超嬉しい。
おおば:僕もさっきの明日人ページは、デジタル作画ですが、えんぴつツールで描いてます。その上からホワイトのカケアミで息の演出をするのも、やぶの先生の影響ですね。キャラに一気に生命が吹きこまれる感覚があるんですよ!
↑「アレスの天秤」第12話(コミックス3巻収録予定!) 明日人の口元に注目。ホワイトのカケアミで息が表現されている!
――おおば先生からやぶの先生に、画風が継承されてるわけですね!
やぶの:他誌の話になりますが…。おおば先生、昔読み切りのドッジボール漫画でも、こういう表現使われてましたよね(笑)。あの時、コロコロ編集部から「あの漫画、やぶのが描いてるんじゃないの?」って言われたんです。結構真顔で(笑)。
おおば:その節は知らぬところでご迷惑をおかけしてたようで…(笑)。その時から、やぶの先生の影響はガッツリ出てましたね。もともと僕が小学校高学年か中学生くらいの時、初めて漫画の原稿用紙とペンで模写したのが、他誌で連載されてたやぶの先生の漫画だったんですよ。当時、あの頭身でスポーツやってるのは異色で…。
やぶの:はい。コロコロっぽい絵だって散々言われてました(笑)。
おおば:僕はそれがドストライクの絵で、大好きだったんです! そこから何年も経って、やぶの先生がコロコロでサッカー漫画を描かれてると聞いて、慌てて買いに行ったのが「イナズマイレブン」で。僕が児童向け漫画にシフトするのも、コロコロに来るきっかけもやぶの先生…。そんな僕が、コロコロで「イナズマイレブン」シリーズを描くなんて、出来すぎた話でちょっと怖かったですね(笑)。
やぶの:いい話すぎてね!(笑) これ聞くといつもリアクションに困るんですよ(笑)。
おおば:でも全部本当なんですよ!(笑) 運命とか偶然とか、言葉にするのが難しいような状況なんですが、幸せに感じながら漫画を描いてます。こうして対談させてもらうのも夢のようで。
やぶの:おおばさんとは以前から知り合いだったので、新しい「イナズマイレブン」をおおばさんが描かれると決まった時は、とても嬉しかったですね。
――やぶの先生は、おおば先生の「イナズマイレブン アレスの天秤」を読まれて、いかがでしたか?
やぶの:「アレスの天秤」第1話を読んだ時は、まだ今回のイナズマに携わることが決まってなかったんです。自分の中では「イナズマイレブン」の物語はもう描き切ったつもりだったので…。あっこういう風に描くんだ!と、純粋に楽しませて頂きましたね。今となっては、おおば先生の影響を受けて、またアツいの描けたらいいな!って想いも。
おおば:嬉しいです。あと、これはすごい偶然なんですけど、僕の自画像って「イナズマイレブン」が始まるより全然昔のデビュー当時から、皇帝ペンギンのひななんです。
――確かに、これはまさに「ひなペン」!
おおば:昔、僕の地元に近い名古屋水族館で売っていた皇帝ペンギンのひなのぬいぐるみがすごくかわいくて。子供の時はこんなにかわいいのに、成長するとゴツイ身体になるんだ! 僕も将来デッカくなれたらいいな、って気持ちで、自画像にしたんです。まあ、ペンギンは大空へ羽ばたいたりできないですが…(笑)。
やぶの:でも、イナズマイレブンのペンギンは飛びますから!!(笑)
おおば:アニメだと明日人達も追いかけてましたね(笑)。あれは、漫画でやるとボケになっちゃうので、取り入れられず…。
やぶの:さじ加減が難しいですよねえ。
⇒続いて、おおば先生の「アレスの天秤」を描く想いと、「イナペン」3巻に秘められた裏テーマが明らかに!!!