コロコロコミックで絶賛連載中の『怪盗少年ジョーカーズ』最新第4巻が、8月28日(水)発売!
新刊発売を記念して、コロコロオンラインでは作者であるたかはしひでやす先生へ行った直撃インタビューを全3回で掲載!!
記念すべき第1回では、たかはし先生がまんが家を志したきっかけや、影響を受けた作品、さらに”ライバルだと思っている先生”などについて聞いてみたぞ!!
少年時代からコロコロデビューまでの道のり
――たかはし先生がまんが家を志したきっかけについて教えてください。
たかはし:僕らは子どもの頃、『ドラえもん』や『オバケのQ太郎』『パーマン』など藤子・F・不二雄先生のまんがが大流行した世代なので、よくそれらの作品のキャラクターを真似して描いていました。街のお祭りで子どものイラストを貼る企画みたいなのがあるじゃないですか。そこでもまんがの絵ばっかり真似して描いていて、それが結構褒められたのが嬉しかったんですよ。そこからまんがを描くようになりました。
――藤子・F・不二雄先生の作品でもっとも影響を受けたのは?
たかはし:『大長編ドラえもん』です。たしか初めて買ってもらったまんが本が『大長編ドラえもん のび太の海底鬼岩城』でした。『ドラえもん』自体はアニメや単行本で触れていましたが、大長編はとにかくスケールが大きくて、それが子どもの僕の琴線にピーンと来たんです。
あと、『藤子不二雄少年SF短編集』に収録されていた『流血鬼』という作品も大きいですね。大人向けの作品ということもあり、ちょっとショッキングな内容なんですが、最後のどんでん返しがとにかく印象的で。そういう作品を初めて読んだものだから、色々とショックが大きかったです。
――子どもの頃から児童向けまんかを描かれていたんですか?
たかはし:たしかに小学生の頃は、まんがイラストクラブなどでコロコロっぽい作品ばかりを描いていました。でも、中学・高校になると次第にまんが自体を描かなくなって、デザイン系の専門学校へ行ったんです。
そこから、ある夏休みにちょっと大人向けの作品を描いてみようとしたんですが、どうしても上手くできない。そこで久々にコロコロらしいギャグまんがを描いてみたら、スラスラ楽しくできたんです。「ああ、自分はやっぱりそっち方向に向いているんだな」と自覚してから、すぐに応募してみたら運良く一次選考に残って、勝手に有頂天になっちゃったわけです。そして「これはいけるのでは!?」というテンションのまま、上京して編集部に作品を持ち込むようになったという感じです。今思うと、盛大な勘違いでした(笑)。でも、そのおかげで今があると思っています。
――勢いは大切ですからね! そこからコロコロでの活動が始まるわけですね。
たかはし:新しい作品を描いて持ち込んでいるうちに、当時コロコロで連載されてた『爆球連発!!スーパービーダマン』の今賀俊先生をご紹介して頂き、アシスタントになりました。初めてプロまんが家の現場を知り、しごかれながらもまんがの描き方を覚えて、やっと賞を取れるようになりました。ただ、賞を取った後が続かなくて……。新人まんが家さんにありがちなんですが、1作品目が掲載されたあと、若手とプロのクオリティの大きな差にショックを受けて、1年くらい打ち合わせにも行かないという良くないパターンに嵌ってしまったんです。
――大海を知ってしまったと。
たかはし:はい。結局、休んでいた間に当時お世話になった担当さんが移動になり、1からやり直しになりました。でも、再び持ち込んだ作品を当時の副編集長・村上さんに見てもらったとき、転機が訪れたんです。それまで自分はギャグまんがばかり描いていましたが、村上さんから「スポーツまんがを描いてみよう!」と言われたんですね。「スポーツまんがのノウハウを覚えれば、コロコロでいうホビー系まんがのバトル感、魅力的なライバル、仲間との熱い友情、ピンチからの逆転などが描けるようになるから」と。実際に、そこからサッカーやドッジボールの作品を描いてみると、少しずつ掲載されるようになってきたんです。
そして、新担当の西巻さんから、「たかはし君はアシスタント経験が長いから、背景が目立つようなまんがが向いているんじゃない? 怪盗まんがだと色んな場所を描かなきゃいけないから合ってるかも」と言われました。なぜか相撲まんがも勧められましたが、怪盗まんがの方が人気が出そうだと思ったので、そっちを描くことにして『怪盗ジョーカー』が生まれました。
――たかはし先生の作風と怪盗がうまくマッチしたんですね。ちなみに、コロコロ作品以外で影響を受けた作品はありますか?
たかはし:そうですね……数限りありませんが、『ジョジョの奇妙な冒険』が大好きで、今まで自分の描いたまんがにも似たようなネタを持ってくることはありました。例えば、磁石人間同士がくっつく話や、おもちゃの兵隊に人間が襲われる話とか。
ほかにも、大好きな作家さんという意味では『吼えろペン』の島本和彦さん。やり過ぎなくらいのテンションとビシッと立っているキャラ同士のセリフの掛け合いは本当に面白いです。あと、曽田正人さんの『シャカリキ!』『め組の大吾』『昴』などを読んでいると、すごくテンションが上ってやる気が貰えますね。
――まんが以外から影響を受けていることはありますか?
たかはし:『ジョーカー』の連載が上手くいく、いかないの境目の部分で影響を受けたのが演劇と落語で、とくに演劇は大きな衝撃を受けました。それまでは小説や映画が好きだったんですが、演劇は舞台上で役者が観客に向かって喋るじゃないですか。”今、自分はこう思っている”ということを、すごく直接的にぶつけてくる感じが、とてもコロコロっぽいなと思ったんです。例えるなら、少年誌の作品はストーリーに寄り添う落ち着いた自然な演技、コロコロの作品はインパクトを与えるために正面に向かって叫ぶ力強い演技という感じですね。このことに気付いてから意識がガラッと変わって、重要なシーンでは主人公が大見得を切るという魅せ方ができるようになりました。
――コロコロで10年以上連載を続けてこられたたかはし先生が”ライバルだと思っている先生”はいらっしゃいますか?
たかはし:ライバル意識とは少し違いかもしれませんが、作品を読んでいつも「やられた」とか「羨ましい」と思うのが、吉もと誠先生(代表作『ウソツキ!ゴクオーくん』)ですね。自分が思うコロコロでストーリーまんがを描くとしたら、こういうことができたら凄く良い、羨ましい、素敵だって思えることを出力できる方。自分が出来ない、足りない部分だからこそ、作品を見るたびに「いいなぁ」と思っています。
自分よりも先輩だと、それこそ松本しげのぶ先生(代表作『デュエル・マスターズ』)や曽山一寿先生(代表作『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』)たちの作品は、読むたびに「これは良い!」と思いますね。
――今もコロコロで活躍されている先生たちですね。なかでも吉もと先生の名前を挙げられたのは……?
たかはし:松本先生や曽山先生は自分よりも遥か前から連載されている方なので、すんなり納得がいくんですよ。でも、吉もと先生は後輩なんだけども自分よりも良いものを持っているから、羨ましくてしょうがないんですよ! 作品にキャラの味というか、キャラらしさが凄く出ている部分とか特に。自分はいつも1話完結でストーリーをまとめるために、割とキャラを薄味なまま終わっちゃう時があるので……。本当に羨ましい!
次回は『怪盗ジョーカー』の制作秘話を中心に、キャラクターの魅力、アニメ化の話などをお届け! お楽しみに!!
作品概要
『怪盗少年 ジョーカーズ 4』
■作者:たかはしひでやす
■定価:454円+税
■発売日:2019年8月28日
■判型:新書判
■頁:192頁
■詳細:https://comics.shogakukan.co.jp/book?isbn=9784091430496