コロコロアニキで激推し中の『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』のNintendo Switch版が3月14日(木)に発売。テンション上がりまくり中のアニキ編集部スタッフが、発売直前で慌ただしい最中のメーカーMAGES.(メージス)に突撃インタビューを敢行! プロデューサーの浅田氏と開発の外崎氏、さらに特別ゲストの高橋名人が応対してくれたぞ!! 怒涛の1万字インタビューを読みふけりすぎて、ゲームソフトを買いに行くのを忘れないようにね。アニキとの約束だぜ!
~今度の『YU-NO』は一番初めに買った人が一番得する!~
アニキ:
今回、リメイクされたNintendo Switch版『YU-NO』注目ポイントを教えていただけますか?
浅田誠(以下、浅田):
PS4やPS Vitaで出した後に改善点が見えてきたので、遊びやすくするのと演出を強化するというのが大きなポイントになってます。意外とアドベンチャーゲームってボタンを押しているだけで、お話を読み進めていくイメージが強いと思うのですが、『YU-NO』はそれ以外にも色々盛り込まれているんですよね。そのせいか、クリアできないという声を結構耳にしまして…。
なので、今回はヒント機能をつけて、初めてプレイする人も遊びやすいと思ってもらえるように調整いたしました。
あと注目ポイントというのではないのですが、今ゲームソフトがなかなか売れづらくなってきている中で、ゲームソフトを店頭で売るだけではなくてダウンロード販売も増えてきています。実は今回『YU-NO』を期間限定(19年3月21日まで)ではありますが、33%オフでダウンロード版を事前購入できるようにしてあります。一番初めに買ってくれるお客様が損をしない売り方を今後、MAGES.でしていきたいなとゲーム事業部全体で考えていて、今回その新しい試みとして『YU-NO』を一番初めに買った人が一番得するようにしました。名人ならわかると思うのですが、ゲームの価格が上がったのと値下がり率とかすごいじゃないですか。
アニキ:
セールで50%オフとかありますよね。
高橋名人(以下、名人):
1994年くらいにゲームの市場への出荷を大きく変えたじゃないですか。それまでは問屋さんがいて、製造もあるし、PCエンジンのCD-ROMの出荷も一か月後にしかできませんでした。
でも94年には「月曜に注文をもらえれば木曜に出荷しますよ」みたいな体制を工場で作っちゃったんですよ。そうなると品切れになっても翌週にまた入荷できるという状態になって、店が過剰在庫を持たなくなりました。それで、今の営業さんに求められるのは「8本売れるんだったら8本売る。10本入れる必要はない」という風になっているので、「このソフトは売れるんじゃないかな?」という予想で仕入れてくれるところが少なくなりました。もしソフトが余っちゃうとそれはもう失敗で。8本仕入れて7本しか売れなかったら失敗なんですって。
浅田:
お店の利益がソフト1本についてそんなにないですものね。大きい家電量販店さんとかは、ゲームが売っているということで家族が来てくれて買い物をしてくれるという、ゲームで利益を出すのではなく買い物の動機付けにしているんですよね。でも今は、それすら厳しいという話を聞きます。
アニキ:
今は店に行かずに通販で買う人も多いですからね。
浅田:
今のところそこそこの数の事前ダウンロード購入があったので、うまくいってるのかなぁと思います。まぁ6800円のものがいきなり4000円になっているので、かなりお得かなと。
アニキ:
どうせ買うんだったら安いうちに買った方がいいですからね。
浅田:
やはりお客様にとって5000円、6000円はそんなに安いものではないですからね。先ほどお話しましたが今回の『YU-NO』に関しては新しい販売方法にチャレンジしています。
アニキ:
これで新しく購入してくれる人が増えればということですね。
浅田:
ちょうどアニメも同じ時期に放映されるというのもあるので、いい機会かなと思っています。
~原作のPC版との違い~
アニキ:
PS4版もそうですけど、PC-98版(※1)との違いを教えていただけますか?
浅田:
以前はイベントCGで口パクしていないところがあったのですが、それを追加してイベントでは最大限演出できるようにしました。それほど手をいれてあります。
アニキ:
Nintendo Switch版ではPS4版に比べて演出が強化されていると。
浅田:
今回、演出を強化できたのも海外版の制作も行なっていたからという事があったからかもしれません。こちらは今年の夏前には全世界に向けて販売できればと思っていて、アニメの放送中にやれることはやっていこうと。なので、この機会に出来るだけ、やり残しがないようにしました。
アニキ:
アニキ世代が気になっている原作のPC-98版との違い、進化した部分はありますか?
浅田:
やはりプレイヤーさんが遊びやすくする部分ですね。PC-98版はコマンド選択式で、カーソルを動かして…今やるとやりづらいんですよね。なので、今回は全部マウスっぽい操作で全編楽しめるようにしてあります。突然入力方式が変わるのは遊びづらいので、Nintendo Switch版は携帯モードでも遊びやすいかなと思っています。
アニキ:
PC-98版ではシャワー室がどこかわからなくて、画面中をクリックしてまわったりしましたよね。今回はそれもわかりやすくなっているのがありがたいです。当時、ネットが無かった時は、みんな苦労したのではないかと思います。コマンドを総当たりで選んだり…。
外崎剛(以下、外崎):
リメイクするにあたって、PC-98版を解析してわかったことが結構ありました。同じ場所でコマンドを9回以上(だったかな?)行なって移動するとフラグが立つという仕組みがあったと思います(笑)
さらに必要回数をこなす前に移動してしまうとそれまでのコマンド回数がクリアされるという…(一同笑)
アニキ:
それは当時も解析されてたのですかね?
外崎:
序盤のシーンだったと思うので、当時のユーザーさんは知らずにフラグを立てていたと思います。
アニキ:
ふつうは同じコマンドを9回も選ばないですよね。
外崎:
リメイク版では細かい箇所を調整してあります。PS4版を制作するときに「このままでいいの?」みたいな話になって(笑)
浅田:
昔はそういった理不尽なゲームとか多かったですからね(笑) それこそちょっと名人がいるから文句言いますけど『高橋名人の冒険島(※2)』とか、あれクリアさせるように作ってないんじゃないですか? 何だったら『Bugってハニー(※3)』だってクリアできてないよ!(笑)
名人:
『Bugってハニー』は俺の知らないところで作ってたからね!(一同笑) テストプレイしたら、なんで「ブロック崩しが入ってんだよ~!?」とかさ。
浅田:
名人知らなかったんですか!? アニメにもなってたのに!
名人:
あれ不思議なんだよ。ゲームの世界からアニメを作ったのに、それをまたゲームにしてるじゃん。『Bugってハニー』だからアクションゲームなんだろうなぁと思ってて、完成間近で見せてもらったら「なんだこれ!?」って。85~86年あたりのファミコンの頃から解析はされてたと思いますよ。そうでないとあんなに裏技を発見できないですって。
浅田:
昔のユーザーは必死でしたからね。
名人:
当時のユーザーはマシン語を逆アセンブルできる人がいっぱいいたから。9回選ぶとかすぐ解析できたんじゃないかな?
浅田:
PC-98版『YU-NO』が出た時は今のインターネットのwikiで調べるとかはなくて、草の根BBSとかの時代ですしねぇ。
名人:
みんな執念だよね、当時はね(笑) パソコン通信ですよ当時は。だからそこで『YU-NO』攻略掲示板とかがあったんじゃないかな?
浅田:
攻略雑誌とかみんな見てる時代でしたよね。
アニキ:
リメイク時の解析で、原作の菅野ひろゆき氏やプログラマーさんの作りこみとかは手が込んでいた感じですか?
浅田:
ソースコードなどの中身を見ていると、結構急いで作っている感じがしましたね。たぶん時間がなかったんだろうなと。コードが無茶苦茶な部分があったり…菅野さんは元々プログラマーなので、自分でシナリオを書きながらプログラムを組んで、けっこう間違えているところもあって…。「これバグだよね?」みたいな。
まぁ名人の時代でしたら5~6人でゲームを作っているチームがあったと思うんですけど。
名人:
90年代は…あることはあったね。
浅田:
多分、シューティングゲームとかチーム少ないでしょ?
名人:
シューティングゲームは4~5人だね。
と、今日はここまで。明日15日はPC-98版『YU-NO』の当時の制作秘話を聞いていくぞ。そして、『YU-NO』のゲーム移植の㊙話も大公開! このサイトを9回クリックしながら待つべし!
浅田誠 |
高橋名人 |
タイトル:この世の果てで恋を唄う少女YU-NO |
※1…『YU-NO』はPC-9801用ソフトとしてエルフから1996年に発売された。
※2…1986年にハドソンから発売された、けっこう難しいファミコンのアクションゲーム。
※3…1897年ハドソンより発売。ゲームとアニメが連動している、今でいうメディアミックスの先駆け的なファミコンのアクションゲーム。なおゲームの出来は…。