By まつがん
恒例の宣伝からだが、皆さんは先日発売したコロコロコミック12月号はもう入手されただろうか?

デュエル・マスターズの原作コミックが読めるほか、デュエマに関する激アツな最新情報も色々と掲載されているので、ぜひとも手に取ってみていただきたい。
「王道vs邪道 デュエキングWDreaM 2025」は既に発売から1ヶ月以上経過しているわけだが、その秘めたポテンシャルはまだまだ計り知れない。
そんな中でも、私が特に伸びしろを感じた1枚がこれだ。

《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》。これまで環境で活躍した《CRYMAX ジャオウガ》《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》はいずれもフィニッシャータイプの能力だったが、今回は《「魂狩」の鬼 ガシャド髑髏》的な運用を標準としつつも最終的にはフィニッシャーにもなりうる能力が備わった、小回りが利く性能となっている。
とりわけ注目すべきは、《百鬼の邪王門》との相性の良さだ。

《CRYMAX ジャオウガ》や《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》は、着地した時点でシールドこそ減らすものの、「鬼札王国」のテーマである「鬼タイム」や「鬼エンド」にはそこまで寄り添ってはおらず、どちらかといえば出張性能の高さを買われて環境入りしていた。
一方《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》は「鬼タイム」で全体SA付与、「鬼エンド」で攻撃時に唱えた《百鬼の邪王門》を回収しながら後続を展開と、あくまで「鬼札王国」のための能力となっている部分が主張点となっている。唱えた《百鬼の邪王門》を回収できるということは、《百鬼の邪王門》を1枚以上持っているという条件においては、追加の《百鬼の邪王門》として機能するからだ。
「鬼札王国」の攻撃力は、事実上《百鬼の邪王門》を引いた枚数に依存する。とはいえ1種4枚しかないカードを2枚も3枚も引くことは、シールド全回収が基本ムーブとはいえ、ドローが弱い火闇という文明においてはなかなかにハードルが高い。そんな中で「4C邪王門」における《龍素記号wD サイクルペディア》のような役割を火闇という文明だけで、しかも《カンゴク入道》のような継続シールド回収を持つカードが行えるというのは、カードの見た目以上に強力な効果なのだ。
だが、他方でこのカードには避けられない問題もあった。実際にデッキを回してみればわかることだが、《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》が機能する場面を想像してみて欲しい。《カンゴク入道》と《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》と《「貪」の鬼 バクロ法師》がいて、自分のシールドは0枚。手札には《百鬼の邪王門》が1枚あるとしよう。《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》の攻撃時に《百鬼の邪王門》を唱えたとして……一体何を出したら確定勝ちになるのだろうか?


最初に思いつくのは《単騎連射 マグナム》だろう。これで大部分のS・トリガーを封殺できる……だが、本当だろうか?唱えた《百鬼の邪王門》は手札に戻せるが、既に攻撃している《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》はこれからW・ブレイクしようとしている。呪文のS・トリガーで《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》がやられてしまったら、あるいはスパーク系のトリガーでクリーチャーがすべてタップされてしまったら?そもそも、殿堂カードの《単騎連射 マグナム》を、たった1回の《百鬼の邪王門》で都合よく見つけられるだろうか?
ならばと今度は《お騒がせチューザ》を出すことを考えてみたとして、《忍蛇の聖沌 c0br4》を踏んでしまったら目も当てられない。しかも攻撃中の《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》によるW・ブレイクの時点では《お騒がせチューザ》がタップしていないため普通にあらゆるトリガーを食らってしまうし、かといって次に《お騒がせチューザ》で攻撃してしまうとせっかく回収した《百鬼の邪王門》が唱えられなくなってしまう。
それでいてさらに大きな問題は、自分のシールドが0枚であるという点だ。《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》の「鬼エンド」が発動している状況は、強力な能力を発動させて相手を追い詰めているようでいて、相手を仕留められなかった瞬間に自分の敗北が確定する危険な状況でもある。そんな状況で、《百鬼の邪王門》なんていう運任せなカードを、しかもいちいち自分のクリーチャーのシールドブレイクを挟みながら唱える余裕がはたしてあるのだろうか?
そう、《百鬼の邪王門》を1枚しか引かないと仮定した場合、その《百鬼の邪王門》は《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》で水増しできるにしても、《龍素記号wD サイクルペディア》と違って唱えた瞬間にもう一度唱えられるわけではないため、1回の攻撃につき1枚しか効果が解決しないのである。
「鬼エンド」という極限のリスクを負っているのに、どんなクリーチャーが落ちるかも、どんなS・トリガーを踏むのかも全部運任せではさすがにやってられない。だがこの現象は、《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》と《百鬼の邪王門》というカードを合わせて運用しようとした場合に生じる当然の事象なのだ。一体どのようにすれば解決できるというのだろうか?
ここで私は考えた。《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》にはまだ使っていない効果があるではないか、と。
攻撃時に宣言した《百鬼の邪王門》を解決後に回収することを前提とするならば、「火か闇の4コスト以下のクリーチャーを手札から出す」効果が残っている。これを使って、問題を解決することはできないだろうか?


とはいえ、火か闇の4コスト以下のクリーチャーとなると、できることは限られている。
《カダブランプー》などで《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》をアンタップする……挙動は面白いが問題は解決しない。
《凶鬼57号 ゴーチン》で《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》を守る……悪くはないがS・トリガーのうちのごく一部をケアしたに過ぎない。
何か、何かないのか。《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》と《百鬼の邪王門》の組み合わせが抱える問題を、1枚で解決できるような画期的なアイデアが……。
……そう、アンタップするのではなく、もしも《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》を「出し直す」ような挙動をとれる火か闇の4コスト以下のクリーチャーがいたなら……。
私は必死にカードを探し。そして、そのカードに辿り着いたのである。
そう、すなわち。


《凶鬼33号 ブスート》を出せばいいのでは???🤔🤔🤔
《凶鬼33号 ブスート》を《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》の能力で手札から出して《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》を破壊し出し直せば、W・ブレイクすることなく攻撃をキャンセルすることができる。ということは、《百鬼の邪王門》が1枚しかなくても、1度のブレイクに対し2枚の《百鬼の邪王門》が唱えられるようになるのだ。
とはいえ《凶鬼33号 ブスート》の能力は踏み倒しでも発動するとはいえ「手札から」の着地時限定であり、《百鬼の邪王門》から出すとハズレになってしまうため手札に抱える必要があり制約が厳しいところ、《悪縁 ガクブッチ=リッチーモア》も合わせて採用することで、《百鬼の邪王門》などで墓地に落ちた《凶鬼33号 ブスート》を回収して改めて手札から出し直すことが可能となる。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『途中経過』
| 4 | 《カンゴク入道》 | 4 | 《ルピア&ガ:ナテハ》 | 3 | 《サーイ=サイクル》 | 4 | 《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》 | 4 | 《凶鬼33号 ブスート》 | 3 | 《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》 | 1 | 《単騎連射 マグナム》 | 2 | 《お騒がせチューザ》 | 2 | 《アーテル・ゴルギーニ》 | 3 | 《悪縁 ガクブッチ=リッチーモア》 | 2 | 《轟く邪道 レッドゾーン》 | 1 | 《ダブル・リボルバードラゴン》 | 3 | 《秩序の意志》 | 4 | 《百鬼の邪王門》 |
シールド減るまでぼーっとしすぎ!!!😡😡😡
そう、それは「火闇邪王門」というアーキタイプが抱える構造的な欠陥だった。火闇という文明において「シールドを減らす」行動は「シールドを墓地に置く」と「シールドを手札に加える」の2種に大別されるが、前者は当然それ自体明らかなデメリットであるため、《無慈悲な取り立て》や《ボルカニック・アロー》など、「対戦相手への干渉」と紐づいている。
だが他方で「シールドを手札に加える」行動は手札補充とも解されるため、「対戦相手への干渉」が付随しない。この結果何が起こるかというと、手札を減らさずにシールドを減らそうとすると自動的に棒立ちサンドバッグ状態になってしまうのである。たとえば相手がループデッキだったなら、このテンポロスは致命的だ。といって通常のビートダウンならば「より早く攻める」ギアを持たせることでこの問題を解決するところ、《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》の「鬼エンド」に構造的に頼らざるをえない「火闇邪王門」では、攻めきるには自分のシールドをなくす必要があるため、そのギアを持たせられないのである。
また、「S・トリガー」ケアの確実性も気になった。呪文ケアとして《お騒がせチューザ》を採用しているが、このカードは《凶鬼33号 ブスート》が尽きて《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》でW・ブレイクしなければならないタイミングで着地してもその時点ではタップしていないため呪文トリガーのケアにはならない。しかし当然、そのズレは致命傷となりうる。
つまりここにきて、《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》が抱える2つの問題が明らかとなった。「自分のシールドを0枚にしないと真価を発揮しないのに、シールドを減らす過程があまりにも虚無」「シールドを0枚にして突っ込んでるのに確勝ちを作るのがムズすぎる」……これらの問題を解決しない限り、《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》のデッキでブレイクスルーは起こせない。


前者を解決する手段としては、《魔王と天使のカナシミ》に白羽の矢が立った。単色2コストのランダムハンデスに実質1ドローが付いた超強力な呪文だが、1種4枚しか積めないのと、クリーチャーではないため《百鬼の邪王門》との相性がそれほど良くない、というのがあった。
だが「王道vs邪道 デュエキングWDreaM 2025」はしっかりと解答を用意していた。《青寂の精霊龍 カーネル / サイレント・ジェラシー》の登場により、2種8枚までは積めるようになったのだ。これはいわば《カンゴク入道》と《ルピア&ガ:ナテハ》まで揃っているのと同義である。とはいえ火闇のクリーチャーではないため《百鬼の邪王門》との相性は依然良くないままだが、どうせ《カンゴク入道》や《ルピア&ガ:ナテハ》がめくれてもそれほど嬉しくないため、いっそ誤差として切り捨ててしまっても問題はないだろう。
また、《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》自体が継続シールド回収能力を持っているため、《カンゴク入道》と《ルピア&ガ:ナテハ》の継続シールド回収(※厳密には《ルピア&ガ:ナテハ》は違うけれども)自体が余分になってきているというのもあった。
だが、「シールドを減らす過程があまりにも虚無」という問題はこれで解決できたとしても、「確勝ち」をどうやって作ればいいだろうか?
そもそも「クリーチャーのトリガー封殺」と「呪文のトリガー封殺」でバラバラに要求しているのが原因かもしれない。火か闇で、《百鬼の邪王門》から出せるクリーチャーで、着地しただけで相手の「S・トリガー」すべてを無効化できるような、そんな存在がいれば。
しかしそんなカードが存在するはずも……。
あった。


《石像男》を使えばいいのでは???🤔🤔🤔
《石像男》は自分のバトルゾーンにすべての文明が揃っていれば相手の「S・トリガー」をクリーチャーだろうと呪文だろうとタマシードだろうとすべて封殺できる。それでいて《百鬼の邪王門》で出せるということで、要求をすべて満たしている。
だが火闇のデッキですべての文明を揃えるなど到底不可能……というところで《虹速 ザ・ヴェルデ》の存在に思い至った。このカードはバトルゾーンか墓地にあればすべての文明を持つので、カードを一度墓地に落とす《百鬼の邪王門》で出せるのだ。また、《単騎連射 マグナム》や《お騒がせチューザ》などと違い、素引きした場合にも自身をマナに埋めて自身を自然マナとしてタップすることによりマナゾーンから召喚し、パワー4000の無料「マッハファイター」として運用できる点も優れている。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『途中経過2』
| 4 | 《カンゴク入道》 | 4 | 《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》 | 3 | 《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》 | 3 | 《凶鬼33号 ブスート》 | 3 | 《虹速 ザ・ヴェルデ》 | 1 | 《「忍」の鬼 ジライヤ齋》 | 2 | 《ダンマ=ダンマダン》 | 2 | 《青寂の精霊龍 カーネル / サイレント・ジェラシー》 | 3 | 《石像男》 | 2 | 《轟く邪道 レッドゾーン》 | 2 | 《悪縁 ガクブッチ=リッチーモア》 | 4 | 《魔王と天使のカナシミ》 | 3 | 《秩序の意志》 | 4 | 《百鬼の邪王門》 |
役割のないカードがスロット食いすぎ!!!😡😡😡
《石像男》と《虹速 ザ・ヴェルデ》は《単騎連射 マグナム》などとは異なり、単体ではそれぞれ一切のトリガーケアにはならず2つ揃ってはじめて効果を発揮するため、《百鬼の邪王門》から落とさないと出ない(※《虹速 ザ・ヴェルデ》は手札では自然のクリーチャーのため、《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》の能力では出せない)これらを毎ゲーム揃えるためには、それぞれちゃんとした枚数をとらなければならないという点がネックとなった。また、確かに《虹速 ザ・ヴェルデ》は単体でマッハファイターとして一応機能するとはいえ、4マナ払ってやる行動とは言えない。
それにせっかく《魔王と天使のカナシミ》が8枚使えるのに、《石像男》も《虹速 ザ・ヴェルデ》も火を含まないせいで火文明のカードの要求が上がりすぎてしまい、《カンゴク入道》が残ってしまっている点も不満だった。《秩序の意志》を打ちたい局面で《カンゴク入道》拾ったら己の愚かさを呪いながら憤死することが確定してしまう。
こうした山積する問題点に対しては、抜本的な一手での解決を求めてしまうのが私の悪い癖だ。
《虹速 ザ・ヴェルデ》の召喚が4マナ払ってやる行動ではないというのなら。
それ以上のバリューを与えてやればいいのだ。
そう、すなわち。


《血貴き侵略 ブラッドゾーン》を使えばいいのでは???🤔🤔🤔
「マッハファイター」と《血貴き侵略 ブラッドゾーン》との組み合わせがいかに強力かは改めて説明するまでもないだろう。
となればもちろん「侵略」元も追加で必要となるが、《無敵魔誕カースペイン》が単体でもアドバンテージがとれる性能となっており、文明の組み合わせ的にもピッタリだ。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『途中経過3』
| 4 | 《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》 | 4 | 《無敵魔誕カースペイン》 | 3 | 《凶鬼33号 ブスート》 | 4 | 《虹速 ザ・ヴェルデ》 | 4 | 《血貴き侵略 ブラッドゾーン》 | 3 | 《轟く邪道 レッドゾーン》 | 3 | 《石像男》 | 2 | 《悪縁 ガクブッチ=リッチーモア》 | 4 | 《魔王と天使のカナシミ》 | 1 | 《次元の霊峰》 | 4 | 《秩序の意志》 | 4 | 《百鬼の邪王門》 |
自分のシールドが一向に減らない!!!😡😡😡
そう、それはリストを見れば一瞬でわかる矛盾だった。《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》は2枚以上シールドを減らせる。《血貴き侵略 ブラッドゾーン》は2枚シールドを減らせる。《魔王と天使のカナシミ》は1枚。他にシールドを減らすカードはない。つまり、全部引かないと0枚にならないのである。
ここまで来れば一目瞭然だった。「トリガーをケアしたい」→「《石像男》+《虹速 ザ・ヴェルデ》を(珍しいので)使いたい」→「《虹速 ザ・ヴェルデ》のコマンドがもったいないから『侵略』したい」……という風に、すべてのスロットに対してスペック以上に働いて欲しく思ってしまうブラック経営者精神によって創業目的を見失い、会社(デッキ)を崩壊させてしまったのである。
とはいえ、《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》のスペックを生かせるこれ以上のアイデアも思いつかない。
私は『途中経過2』のデッキで妥協しようとしていた。これくらいの完成度でも、記事にするには十分だろうと。
しかしそこで、奇跡を見たのである。
それは10月下旬に開催されたDMGP2025-2nd DAY2でのこと。何と《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》入りの「火闇邪王門」がチーム戦で優勝していたのだ。
その構築思想は私のそれとは異なるものだったが、一番の収穫は、実戦的なトリガーケア思想を知れたことだった。
そう、すなわち。

《ギガボルバ》で大体ケアできるのでは???🤔🤔🤔
現代デュエル・マスターズにおいては、「トリガー回数」ではなく「トリガー効用」が重視される。すなわち、S・トリガーは何でもかんでもデッキに入るわけではなく、厳選された1~2種しか採用されない。そして前提として、S・トリガーが発動するのはトリガーケアをせずシールドを割ってくる相手に対してだけだ。
では現在の環境でトリガーケアをせずシールドを割ってくる「クリーチャー」は何が挙げられるだろうか?あるいは、そのシチュエーションは具体的にどのようなものだろうか?
代表的なのは「火闇自然レッドゾーン」か「ボルシャック」だ。前者であれば、《魔誕の封殺ディアス Z》が想定される。そして後者であれば、《地封龍 ギャイア》を添えた《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》が想定される。ではそれと戦うデッキはどんなS・トリガーを採用するだろうか?当然、この両者を解決できるものしか採用しない、ということになる。
そしてそんな無茶に応えてくれるS・トリガーは《R・R・R》に代表されるように、ほとんどが光文明なのだ。
《終末の時計 ザ・クロック》がケアできないから、《終止の時計 ザ・ミュート》がケアできないから……などと幻影のS・トリガーを恐れ、《石像男》と《虹速 ザ・ヴェルデ》にまで行き着いてしまったのはやりすぎだった。すべてのS・トリガーをケアする必要はない。合理的に採用されたS・トリガーだけを乗り越えられればいい……それはまさしく「メタゲーム」だった。
そうとわかれば、トリガーケアに6枠も割く必要はない。《ギガボルバ》2枚に任せ、あとの枠は最大限デッキの強度を高めるのに使うだけだ。


《魔王と天使のカナシミ》《青寂の精霊龍 カーネル / サイレント・ジェラシー》軸のメリットは、《秩序の意志》を運用しやすいことだ。だが、火単のカードが4枚以上入ったデッキでは肝心な場面で「S・バック」に失敗する可能性がある。《カンゴク入道》はそれがネックだった。ならばと《ルピア&ガ:ナテハ》にするのも手だが、そもそもせっかく《魔王と天使のカナシミ》軸で「マッハファイター」の当たり先を作らない構造なのに下ブレを作りたくはない。
また、他方で《魔王と天使のカナシミ》軸だと《凶鬼33号 ブスート》《ギガボルバ》《秩序の意志》などで闇単のカードが多くなりすぎてしまう。《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》と《百鬼の邪王門》は2枚引かない限りなるべくマナに置きたくはないことを考えると、《魔王と天使のカナシミ》《青寂の精霊龍 カーネル / サイレント・ジェラシー》に続く追加の2コスト帯は火闇多色の非クリーチャーであるべきという結論に至る。
それに加え、デッキ全体に一定数のシールド回収カードがないと『途中経過3』のようなデッキになってしまう。「火闇多色の非クリーチャーでシールド回収できるもの」という要請に完璧に合致するのは《鬼寄せの術》のみで、デッキにそれほど噛み合っているわけではないが《轟く邪道 レッドゾーン》や《悪縁 ガクブッチ=リッチーモア》を素出しするオプションなどもとれるため、数枚の採用ならば許容できるだろう。
次に、《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》は強力だが、上記と同様に闇単が多すぎる問題が発生する。一方《魔王と天使のカナシミ》軸だと序盤に置けるクリーチャーがおらず、《PP-「P」》は見たら必ず倒さなければならないため、「火闇多色の《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》」という要請が発生する。そのような条件を満たすのは《魔誕翔天マルピア》で、除去を選択した場合はシールド回収ができないものの、最低限の役割は果たしてくれるものと言えよう。


《ギガボルバ》で大体のトリガーはケアしているとはいえ、《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》を除去されるとSA付与を失って即負けというのはデッキ強度の観点からは難がある。そこで《邪龍 ジャジーブラッド》を採用することで、そうした不安を払拭できる。《青寂の精霊龍 カーネル / サイレント・ジェラシー》をマナに置けば水マナも捻出できるため、まれに素出しも可能なのが頼もしい。
《滅界の魔将バフォロメア》はフリースロットだが、《百鬼の邪王門》を唱える構造上デッキ内に《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》と《凶鬼33号 ブスート》以外で一定枚数の非進化クリーチャーが必要であり、かつ《異端流し オニカマス》を対処できるものが望ましいため、今回は採用に至った。
というわけで、できあがったのがこちらの「ブスート・ジャオウガ」だ!
『ブスート・ジャオウガ』
| 1 | 《うしおこまる》 | 4 | 《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》 | 3 | 《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》 | 3 | 《凶鬼33号 ブスート》 | 2 | 《魔誕翔天マルピア》 | 2 | 《ギガボルバ》 | 1 | 《「忍」の鬼 ジライヤ齋》 | 1 | 《邪龍 ジャジーブラッド》 | 4 | 《青寂の精霊龍 カーネル / サイレント・ジェラシー》 | 1 | 《滅界の魔将バフォロメア》 | 1 | 《一王二命三眼槍》 | 2 | 《轟く邪道 レッドゾーン》 | 2 | 《悪縁 ガクブッチ=リッチーモア》 | 4 | 《魔王と天使のカナシミ》 | 2 | 《鬼寄せの術》 | 3 | 《秩序の意志》 | 4 | 《百鬼の邪王門》 |
なお、このデッキは先日ウィザーズを退社したバイク仙人コバとの追い出しデュエマに使用し、彼の使用する「火闇自然レッドゾーン」を初見殺しとはいえ後手から倒したことで、その強度をある程度証明することができた。当初はそのために作ったデッキではなかったが、コバとの対戦が決まったことで「半端なデッキは持ち込めない」とデッキ改善のモチベーションにつながったことは事実である。コバのデュエル・マスターズへの長年の貢献に敬意を表するとともに、ここで感謝を述べさせていただく。
コバ、ありがとう。
ではまた次回!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
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デュエマ妄想構築録 vol.88-1 ~あえての4以下!メタチェンジ・ジョーカーズ!!~ |
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