By まつがん
王道W第1弾「邪神vs邪神 ~ソウル・オブ・ジ・アビス~」には、遊びがいのあるカードが数多く収録されている。
そんな中で、一見地味ながらもその秘めたスペックの高さに驚かされた1枚がこれだ。

《貴布人 テブルカッケ=エディ》。ターン1回とはいえ無条件かつ常在で墓地からクリーチャーを召喚できるということは、墓地が手札になるのとほぼ同義だ。そんな強力なシステムクリーチャーが自前で墓地を肥やせる上に「スレイヤー」と「超魂X」まで兼ね備えているというのだから、3コスト墓地肥やしクリーチャーの常識を塗り替えた1枚と言っても過言ではないだろう。
さて、では《貴布人 テブルカッケ=エディ》でどのようなデッキを組むべきか?
それにあたっては、例によって《貴布人 テブルカッケ=エディ》が持つ「唯一無二性」に着目すべきだ。
だが、問題は《貴布人 テブルカッケ=エディ》が「どこかで見たことがあるような能力の組み合わせ」でできたカードであるという点にある。こうした場合、「唯一無二性」をどういった部分に見出せばいいのだろうか?
答えは簡単だ。既存カードに近い能力を持った新規カードの「唯一無二性」を見出したい場合には、既存カードとの比較によってわずかな「唯一無二性」を浮き彫りにしてあげればいいのだ。


《貴布人 テブルカッケ=エディ》の主な能力を分解すると、「登場時墓地肥やし」と「(実質)墓地回収」であると言える。これに近い能力を持つカードとしては、《フォーク=フォック》や《龍装鬼 オブザ08号/終焉の開闢》があげられるだろう。
《フォーク=フォック》と比較してみよう。まず《貴布人 テブルカッケ=エディ》はアビス以外も墓地から召喚できる上に、肥やした墓地がすべて選択肢になるという点において、《王来英雄 モモキングRX》のように手札にキープしたい特別な事情がない限りほぼ上位互換の性能を持っている。また、墓地に置いたまま回収をしないので墓地の枚数も1枚多いという点は特筆すべきだろう。
では《龍装鬼 オブザ08号/終焉の開闢》との比較ではどうか。こちらは墓地の枚数は「+3」で一緒だが、3コストのクリーチャーという点で違いあるのと、それに加えてアビスである点も違いがあると言えよう。

このように考えると、《貴布人 テブルカッケ=エディ》の「唯一無二性」は墓地枚数を参照するデッキで、さらにできればアビスという側面を生かすために《ヴァイナル=ヴィランド》を運用できるデッキだと特に際立つだろう、という結論に至ってくる。
それでは、そのようなデッキに入りそうなカードといえば何があるだろうか?
私が導き出した答えは、これだ。


《百万超邪 クロスファイア》に《我我我ガイアール・ブランド》を乗せればいいのでは???🤔🤔🤔
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『エディ我我我』
1 | 《一なる部隊 イワシン》 | 4 | 《貴布人 テブルカッケ=エディ》 | 4 | 《フォーク=フォック》 | 4 | 《虚∞龍 ゲンムエンペラー》 | 4 | 《カーペット=ガペット/「ふむ、君の希望を踏まえよう」》 | 4 | 《ヴァイナル=ヴィランド》 | 1 | 《盗掘人形モールス》 | 4 | 《イード=ミード/「奈落を見たいか?」》 | 4 | 《百万超邪 クロスファイア》 | 4 | 《深淵の憤髄 ファウン=テイン》 | 3 | 《卍 デ・ルパンサー 卍/葬爪》 | 4 | 《我我我ガイアール・ブランド》 |
火マナが全然安定して出せん!!!😡😡😡
そう、それは《貴布人 テブルカッケ=エディ》の弱点がまさしく浮き彫りになった瞬間であった。墓地のクリーチャーを手札のように扱えるとはいっても実際に手札には加えないので、2色以上のデッキにおいてマナトラブルを補正できないのだ。
だが、一つのデッキが失敗したからといってめげる必要はない。何が失敗だったのかを分析することで、成功に近づくことができる。
今回の失敗は、《貴布人 テブルカッケ=エディ》は「G・ゼロ」を持つ《百万超邪 クロスファイア》との相性は悪くないけれども、召喚のためにマナに闇文明以外の特定の文明のマナを要求する《我我我ガイアール・ブランド》のようなカードとは相性が悪いという部分にあった。
ならば、墓地枚数を参照する、同じ闇文明のフィニッシャーを使えばいいのではないか?
そう、すなわち。


《超神星DOOM・ドラゲリオン》を使えばいいのでは???🤔🤔🤔
これならば、マナゾーンの文明の心配は必要ない。ただその代わり、《貴布人 テブルカッケ=エディ》を出した次のターンに《超神星DOOM・ドラゲリオン》につなげるのはさすがに無理がある。2ターン目に3枚、3ターン目に3枚墓地を肥やせたとして、4ターン目開始時点の墓地は6枚。1枚《ヴァイナル=ヴィランド》が絡んだとしても7枚で、マナチャージして4マナではギリギリ召喚できない。
そこで《貴布人 テブルカッケ=エディ》と相補性を持つ《深淵の憤髄 ファウン=テイン》を中継ぎにすることで、4ターン目の4マナのうち2マナをさらなる墓地肥やしにあて、《超神星DOOM・ドラゲリオン》のコストを追加で軽減することができる。
ただしこれには、厳密な「ファウンテイン算」が必要となる。目標は、「手札内容がどのような組み合わせでも4ターン目開始時点で《深淵の憤髄 ファウン=テイン》が召喚可能になっていること」だ。
その要件は2つ。「墓地枚数を6枚以上にできること」「墓地に落ちた《深淵の憤髄 ファウン=テイン》を(回収して、もしくは直接)召喚可能であること」だ。そう考えると、それ自体を後から《深淵の憤髄 ファウン=テイン》で釣り上げることも含めて、《貴布人 テブルカッケ=エディ》のような「墓地肥やしと回収を兼ねた闇の3コストクリーチャー」が必要であることがわかる。


そのようなものとしては《邪眼の始祖 ロマノフ・アルファ》があげられる。だが「ファウンテイン算」においてはこのカードは進化元を墓地から食ってしまう関係で実は「+2」であり、2ターン目の「+3」と3ターン目の「+3」で6枚達成を目指すこのデッキにおいては不適格となってしまう。しかもアビスではないので《ヴァイナル=ヴィランド》に期待することもできない。
では《邪侵入》で《貴布人 テブルカッケ=エディ》自体の枚数を実質的に増やしてしまおう、というアイデアも考えられる。しかしこの場合、普通に《貴布人 テブルカッケ=エディ》を素引きして召喚した場合に《邪侵入》が墓地に落ちて「+2」になってしまうリスクもある。また《邪侵入》で《貴布人 テブルカッケ=エディ》を拾えるかどうかも確実ではない(《ヴァイナル=ヴィランド》を出すことで《深淵の憤髄 ファウン=テイン》を挟まずに《超神星DOOM・ドラゲリオン》につなげられるのは魅力だが)。


こうした思索の果てに私が《貴布人 テブルカッケ=エディ》の2枠目として採用したのは《虚∞龍 ゲンムエンペラー》だった。このカードならば「+3」以上は保証されているし、《深淵の憤髄 ファウン=テイン》から蘇生して《超神星DOOM・ドラゲリオン》を拾いにいけるというメリットもある。
ただもちろん《虚∞龍 ゲンムエンペラー》だと《深淵の憤髄 ファウン=テイン》そのものには全くアクセスできない。そこで2ターン目の「+3」を《ハニー=マーガニー / 「こっちは甘いぞー」》に担わせることで、《深淵の憤髄 ファウン=テイン》を手札に抱えるプランをとることが可能となる。


そのためには自然文明のカードを採用する必要があるが、《天災 デドダム》は《深淵の憤髄 ファウン=テイン》から蘇生できる闇の3コストクリーチャーの中で最上級のスペックであり、《超神星DOOM・ドラゲリオン》やその蘇生先を探しにいくのに最適だ。
また、《ハニー=マーガニー / 「こっちは甘いぞー」》を採用したことで《超神星DOOM・ドラゲリオン》の蘇生先が自然文明である方が望ましいという要請が生まれたところ、《禁断竜王 Vol-Val-8》はまさしくそのようなデッキにピッタリのフィニッシャーである。バトルゾーンには《貴布人 テブルカッケ=エディ》をはじめとして《深淵の憤髄 ファウン=テイン》で蘇生した小型クリーチャーなどが並んでいるはずなので、追加ターンをとることも容易だろう。
というわけで、できあがったのがこちらの「エディ墓地ソース」だ!
『エディ墓地ソース』
4 | 《ハニー=マーガニー/「こっちは甘いぞー」》 | 4 | 《ベル=ゲルエール》 | 3 | 《オペラグラス=ドクラス》 | 1 | 《一なる部隊 イワシン》 | 4 | 《虚∞龍 ゲンムエンペラー》 | 4 | 《貴布人 テブルカッケ=エディ》 | 4 | 《天災 デドダム》 | 4 | 《ヴァイナル=ヴィランド》 | 1 | 《陰陽の舞》 | 1 | 《暗黒鎧 ダースシスK》 | 4 | 《深淵の憤髄 ファウン=テイン》 | 3 | 《禁断竜王 Vol-Val-8》 | 3 | 《超神星DOOM・ドラゲリオン》 |
まつがん「よし、このデッキで勝負だ!デッドマン!!」
デッドマン「いいですよ!では《デュエマの鬼!キクチ師範代》を出します」

(誌面で)いつもお世話になっております!!!😡😡😡
次回はデッドマンが持ってきてくれた新カードを紹介予定!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
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