By まつがん
にじさんじコラボパック「異次元の超獣使い」は、2文明ずつの組み合わせ10種類それぞれごとに得意な戦略を設定し、強化したパックとなった。
だが10種類の組み合わせの間においても、強さ・人気度などにおいて格差があったことは否めない。とりわけ不遇だとされてきたのは光自然の組み合わせである。スピードアタッカーがない上に、「パワー」や「バトル」がテーマに設定されることが多く、対戦相手の各リソースへの干渉手段も乏しいからだ。
そして、今回の光自然の切り札といえば……。

《聖霊龍王 メルヴェイユ》だ。実際、前評判を見ても、「このカードの使い道がよくわからない」という声が他の切り札よりも多かった印象だ。
だが、マナからの召喚やシールド化だけならばともかく、自軍全体を+6000するというのは過去に類を見ない能力であることは間違いないはずなのである。
新デッキの種となるのは、新カードの唯一無二性だ。ならばこの唯一無二性を生かして、何らかの新たなデッキが組めないだろうか?
さて、それにはまず、《聖霊龍王 メルヴェイユ》とのシナジーがあるカードAを探す必要がある。そして、「自軍全体を+6000」というテキストに着目するならば、Aはパワーに関連した能力を持っている可能性が高い。
そう考えたとき、パワーが一定ライン以上のクリーチャーに対して何か特殊な能力を付与するクリーチャーはいないのだろうか?という疑問が浮かんでくるはずだ。
実際に探してみよう。タカラトミー公式のカード検索サイトで「テキスト」にチェックを入れ、and検索に設定。条件は「パワー」と「以上のクリーチャー」あたりだろうか。

すると、数多くのグランセクトが引っかかる。ジョー編でのグランセクトは、パワー12000以上マターのカードが数多く存在した。なかでも《龍装者 ジスタジオ》は自分のパワー12000以上のクリーチャーをほとんど離れなくさせられるので、デュエパーティーなどでも強力なカードである。
だが、これと《聖霊龍王 メルヴェイユ》を組み合わせようと思うと、《聖霊龍王 メルヴェイユ》本体は離れなくはなるものの、他のクリーチャーは元のパワーが6000以上でないと効果がない。そして6コストの《聖霊龍王 メルヴェイユ》と8コストの《龍装者 ジスタジオ》を出した上で他にもパワー6000以上のクリーチャーが1~2体いるような状況は、使用しているマナの量を概算しても、他のありとあらゆる手段でもっと簡単に勝てそうと想像がつくはずだ。
では、《龍装者 ジスタジオ》よりももっと出しやすい、パワーを参照するクリーチャーはいないのだろうか?
そう思って検索結果を遡っていったところ……運命の出会いを果たしたのである。
そう、すなわち。

《巡霊者アテルイ》を使えばいいのでは???
デュエパの「《爆龍皇 ダイナボルト》パートナー」でもお世話になることが多いこのカードだが、《聖霊龍王 メルヴェイユ》との関係ではたとえ元のパワーが1000だろうと6000以上になるため、自軍全体を選ばれなくできるという強烈なシナジーを発揮するのだ。
そして相手に選ばれないということは、相手ターン中の除去やバウンスが当たらないだけでなく、「G・ストライク」はもちろん《デーモン・ハンド》や《アクア・サーファー》などの大部分のS・トリガーを無効化できるということを意味している。
もともと《聖霊龍王 メルヴェイユ》は、進化クリーチャーとはいえ盤面に3体のクリーチャーがいる状況で召喚できるなら必ずジャスキルが作れるという、打点形成能力においては群を抜いたスペックのカードだった。それでも「使い道がわからない」と評されていたのは、「ただ過剰打点を作るということに関しては《我我我ガイアール・ブランド》が最も早く・軽い到達点として既に存在してしまっているからである。
だが、「S・トリガーをケアした過剰打点」となれば、話は全く別だ。事によれば環境デッキとしてすら目にしうるほどのアイデアとなるかもしれない。
とはいえ、このアイデアにはまだ解決しなければならない難題が残されていた。
それは、どうやって《巡霊者アテルイ》と《聖霊龍王 メルヴェイユ》を同一ターンに出すのか?というものだ。
《巡霊者アテルイ》も《聖霊龍王 メルヴェイユ》も、それ自体は除去耐性のないバニラに過ぎない。しかも5コストと6コストという隙の大きなマナ域である。ただ「召喚してターンエンド」とでも言おうものなら、容易に対処されてしまうことだろう。
しかし、5コストと6コストを同時にバトルゾーンに並べることなど、そう簡単にできるはずも……。
あった。


《蒼き王道 ドギラゴン超》を使えばいいのだ。
《蒼き王道 ドギラゴン超》は「ハイパー化」すると、多色クリーチャーの攻撃時にそれより小さいコストのクリーチャーをマナから出せる。《蒼き王道 ドギラゴン超》は6コストなので、これ自体が《巡霊者アテルイ》を出すことができる。あとは《蒼き王道 ドギラゴン超》と同一ターンに出せる、7コスト以上で多色のSA持ちクリーチャーを探せばいい。
そんな狭い要求がまさか通るはずも……と思いきや、答えは案外近くにあった。同じ「異次元の超獣使い」に収録されている《ミリオンブレイブ・カイザー》ならば、条件を完璧に満たしてくれる。これで《巡霊者アテルイ》と《聖霊龍王 メルヴェイユ》を同一ターンにバトルゾーンに揃えることが可能となるわけだ。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『ミリオン・メルヴェイユ』
4 | 《桜風妖精ステップル》 |
4 | 《天体妖精エスメル/「お茶はいかがですか?」》 |
4 | 《空奏力 ナイン》 |
4 | 《ヨビニオン・フレイムバーン》 |
4 | 《ヨビニオン・マルル》 |
1 | 《ヨビニオン・トライブ》 |
4 | 《巡霊者アテルイ》 |
4 | 《聖霊龍王 メルヴェイユ》 |
4 | 《蒼き王道 ドギラゴン超》 |
4 | 《ミリオンブレイブ・カイザー》 |
1 | 《弾丸超邪 クロスファイア》 |
2 | 《ジャスミンの地版》 |
多色2枚ちょうど抱えてトップをマナチャージする縛りだと、トップが多色だったら詰むじゃねーか!!!
そう、それは《ミリオンブレイブ・カイザー》の「G・G・G」条件がもたらした弊害だった。《蒼き王道 ドギラゴン超》と《ミリオンブレイブ・カイザー》を同一ターンに召喚しようとするなら、必然多色2枚の手札でターンエンドせざるをえなくなり、次のターンのマナチャージが運ゲーになるのである。
当然それは《蒼き王道 ドギラゴン超》《ミリオンブレイブ・カイザー》《聖霊龍王 メルヴェイユ》と最低でも12枚の多色カードが積まれるデッキで許容できるリスクではない。
だが、《蒼き王道 ドギラゴン超》と使った上で《ミリオンブレイブ・カイザー》を使わずにマナゾーンから《聖霊龍王 メルヴェイユ》を呼び出せる方法など、他に存在するというのだろうか?
……この難題にも、私はどうにか答えることができたのだ。
そう、すなわち。

《蒼龍秘伝ファイナル・レボリューション》を使えばいいのでは???
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『ファイナル・メルヴェイユ』
4 | 《桜風妖精ステップル》 |
4 | 《極楽鳥》 |
4 | 《ヨビニオン・マルル》 |
4 | 《無頼妖精ワイルド・リリィ》 |
4 | 《王道の革命 ドギラゴン》 |
4 | 《巡霊者アテルイ》 |
1 | 《陰陽の舞》 |
4 | 《聖霊龍王 メルヴェイユ》 |
4 | 《蒼き王道 ドギラゴン超》 |
4 | 《蒼龍秘伝ファイナル・レボリューション》 |
3 | 《ジャスミンの地版》 |
多色多すぎてそもそもの要求値が高すぎる!!!
求めている要求としては、「おおよそ4ターン目に《巡霊者アテルイ》+《聖霊龍王 メルヴェイユ》の盤面を作ること」が目標だと仮定すると、「『ハイパー化』の種を残しながら2→4→6で動いた上で」「手札に《蒼き王道 ドギラゴン超》《蒼龍秘伝ファイナル・レボリューション》の2枚を抱えながら」「マナに《巡霊者アテルイ》と《聖霊龍王 メルヴェイユ》を用意」しなければならない。冷静に考えて、全人類が東京湾から一斉にスタートして太平洋をアメリカまで泳ぎきる人の確率くらい無謀なチャレンジであった。
だが、《蒼き王道 ドギラゴン超》を使う以外で、《巡霊者アテルイ》と《聖霊龍王 メルヴェイユ》を同一ターンに並べる手段が他にあるのだろうか?
《蒼き王道 ドギラゴン超》の弱点は多色の6コストととにかく重いことにあった。より軽いコストで《聖霊龍王 メルヴェイユ》を出せる手段はないのだろうか?

ここで想起されたのは当連載の準レギュラー、《葉鳴妖精ハキリ》だった。これならマナに6マナ用意だけすれば、《巡霊者アテルイ》召喚→《葉鳴妖精ハキリ》攻撃時に《聖霊龍王 メルヴェイユ》を乗せることで同一ターン着地が達成できる。
しかし、アドバンテージをとらない《葉鳴妖精ハキリ》を2~3ターン目に召喚した上4ターン目に6マナを用意するというのはこれまた要求値が高かった。もし仮に、マナゾーンの枚数に依存しない《葉鳴妖精ハキリ》がいれば……。
いたのだ。

《獲銀月 ペトローバ》では???
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『ペトローバ・メルヴェイユ』
4 | 《桜風妖精ステップル》 |
4 | 《光器アメリア》 |
4 | 《白緑の面 トライオン》 |
4 | 《獲銀月 ペトローバ》 |
4 | 《BIRIBIRIII・ビリー》 |
4 | 《魔誕妖精スイセン》 |
4 | 《巡霊者アテルイ》 |
4 | 《太陽の精霊龍 ルルフェンズ》 |
4 | 《聖霊龍王 メルヴェイユ》 |
4 | 《ガガガン・ジョーカーズ》 |
クリーチャーの展開が全然追いつかん!!!
進化クリーチャーである《聖霊龍王 メルヴェイユ》の進化元として1体。さらに《獲銀月 ペトローバ》の「ハイパー化」用にあらかじめ1体。加えて《巡霊者アテルイ》は普通に召喚しなければならないので、2ターン目にマナ加速クリーチャーを出せないと4ターン目の召喚が不可能になってしまう。
また、《獲銀月 ペトローバ》の裏選択肢 (5~8枚目) として採用されがちな《BIRIBIRIII・ビリー》も、今回ばかりは力不足に思えた。なんとなれば、踏み倒したいのは6コストの《聖霊龍王 メルヴェイユ》であり、《獲銀月 ペトローバ》と《BIRIBIRIII・ビリー》との力の差を浮き彫りにしてしまうマナ域だからだ。


もちろんそれを解消するために《太陽の精霊龍 ルルフェンズ》はしっかり採用したわけだが、これだと多色でマナ召喚が可能なためいの一番にマナチャージしたいはずの《聖霊龍王 メルヴェイユ》を、必死に手札に抱えることになってしまう。理論上回る構造でも、実際にプレイしてみると破綻している……デッキ製作においてよくやりがちな、理論と実践との矛盾というやつである。
だが、ここで逆に考えよう。実践的には、引いた《聖霊龍王 メルヴェイユ》は必ずマナチャージする。ならば、もし《BIRIBIRIII・ビリー》がマナの《聖霊龍王 メルヴェイユ》を出せたとしたならばどうだろうか?
「5コストのクリーチャーでマナの《聖霊龍王 メルヴェイユ》を出せる」、そんな都合の良いクリーチャーがまさか存在……。
していたのだ。

《グラスパー <チェインレック.Star>》では???
これなら、単色の《グラスパー <チェインレック.Star>》を抱えているだけで《BIRIBIRIII・ビリー》も《獲銀月 ペトローバ》も等しくマナの《聖霊龍王 メルヴェイユ》を引っ張り出せる。《BIRIBIRIII・ビリー》と《獲銀月 ペトローバ》の攻撃で先にシールドブレイクしてしまうのと、進化先が《グラスパー <チェインレック.Star>》に限定されてしまう点はご愛敬だ。
あとは「ペトローバ・メルヴェイユ」の反省を踏まえ、より軽いマナカーブで先んじてクリーチャーを展開していくことを意識すればいい。


「ハイパー化」や《BIRIBIRIII・ビリー》の3体条件、さらには進化も活用するとなると、クリーチャーの用途には事欠かない。《哀樹 コシン》はまさしくそのようなデッキにおいて光り輝くカードであり、デッキを実質36枚にすることで《巡霊者アテルイ》や《聖霊龍王 メルヴェイユ》へのアクセス率を高めることにも貢献してくれる。
また、《グラスパー <チェインレック.Star>》は登場時のマナ加速があるとはいえ基本的にはマナの進化クリーチャーに依存したカードだが、進化クリーチャー側である《聖霊龍王 メルヴェイユ》は《獲銀月 ペトローバ》からの素出しもあるため《グラスパー <チェインレック.Star>》への依存度はそこまででもない。こうした関係の場合、《グラスパー <チェインレック.Star>》が有用なシチュエーションを少し増やしてあげると、それぞれが手札に来た場合の活躍率のバランスがとれる。
そう考えたとき、単体でゲームを支配するスペックを持つ《アルカディアス・モモキング》は《グラスパー <チェインレック.Star>》で呼び出すのにうってつけだ。多色を増やすのはリスクだが、2ターン目をマナ加速クリーチャーの召喚にあてていれば、1ターン目に加えて3ターン目も《獲銀月 ペトローバ》や《BIRIBIRIII・ビリー》を召喚しながらのタップイン処理にあてられるので、数枚程度の採用ならば問題ないだろう。
というわけで、できあがったのがこちらの「アテルイ・メルヴェイユ」だ!
『アテルイ・メルヴェイユ』
4 | 《哀樹 コシン》 |
4 | 《ベイB セガーレ》 |
4 | 《桜風妖精ステップル》 |
4 | 《極楽鳥》 |
4 | 《獲銀月 ペトローバ》 |
4 | 《BIRIBIRIII・ビリー》 |
4 | 《巡霊者アテルイ》 |
4 | 《グラスパー <チェインレック.Star>》 |
4 | 《聖霊龍王 メルヴェイユ》 |
2 | 《アルカディアス・モモキング》 |
2 | 《ガガガン・ジョーカーズ》 |
まつがん「よし、このデッキで勝負だ!デッドマン!!」
デッドマン「いいですよ!では《死神覇王 ブラックXENARCH》を出します」

破壊するクリーチャーを選んだのは……俺俺
俺俺俺俺
Ahh~↑↑↑
真夏
のJamboree〜〜〜〜
レゲエ
砂浜
Big Wave
次回はデッドマンが持ってきてくれた新カードを紹介予定!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
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デュエマ妄想構築録 vol.80-1 ~サイクル全盛りニンニクヤサイマシマシアブラカラメ!トゥエンティ・魔誕!!~ |
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デュエマ妄想構築録 vol.81-1 ~ハイパーエナジーに感謝を!カサブランカ・チェイン!!~ |
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デュエマ妄想構築録 vol.81-2 ~絶対無敵軍団!アテルイ・メルヴェイユ!!~ |