By まつがん
恒例の宣伝からだが、皆さんは先日発売したコロコロコミック11月号はもう入手されただろうか?
デュエル・マスターズの原作コミックが読めるほか、デュエマに関する激アツな最新情報も色々と掲載されているので、ぜひとも手に取ってみていただきたい。
先週末に発売したばかりの「天下夢双!!デュエキングDreaM 2024」は、一年に一度のお祭りとしてすっかり定番化した「デュエキング」の流れを汲んだ、強力カードが目白押しのEXパックだ。
だがそんなパックの中には、これまでの流れから少しズレるようなカードも存在していた。
《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》。「ドリーム英雄譚デッキ」の《王道の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》から「ゴールド・オブ・ハイパーエンジェル」の《ハイパー・ザ・ジョニー》までは何となく既存のジョーカーズと噛み合うような、かつジョーカーズの枚数を要求することで他のデッキとは嚙み合わないような、いわばジョーカーズだけの切り札として一貫していたが、このカードはそうした流れからはかなり外れた能力を持っている。
何せジョーカーズに限らず「コストが異なるクリーチャーを5体並べる」だけでタダで召喚でき、さらにはその状態で即時プレイヤーに攻撃して相手のシールド5枚を「バラエティ・ブレイカー」ですべて割り切れるのだ。召喚条件は《弾丸超邪 クロスファイア》の延長線上であり、その打点も無条件の《破界秘伝ナッシング・ゼロ》を実質内蔵しているようなものということで、逆にジョーカーズ以外のアーキタイプへの出張性能に全振りしたジョニーとなっている点が異質である。
とはいえ、「コストが異なるクリーチャーを5体並べる」というのは、たとえジョーカーズの縛りの外に飛び出せるとしてもそう簡単なことではない。
まずは速度の問題がある。「コストが異なるクリーチャーを5体並べる」といって一番最初に想像するのは1~5コストのクリーチャーを毎ターン順々に並べていくことだが、これだと《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》が着地するのは5ターン目となり、現代デュエマの速度感には合っていない。
そしてそれを何らかの方法によって解決したとしても、今度はリソース量の問題がある。4ターン目までのリソースは先攻なら8枚、後攻でも9枚しかない。このうち5枚が《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》の着地条件に使われ、《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》自身もハンドキープの必要があるとなると、単純計算で先攻なら2枚、後攻でも3枚しかマナゾーンに置けないことになり、どう考えても現実的ではない。
では《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》を最も上手く使えるデッキとはどのようなものなのだろうか?
そう考えたとき、それは当然速度とリソースを併せ持つデッキということになるはずだ。
そう、すなわち。
自然単で組めばいいのでは???🤔🤔🤔
デュエマにおいて自然という文明は、相手への干渉が不得意な代わりに、速度とリソースを両立する手段に長けている。《哀樹 コシン》は1コストのクリーチャーの常識を塗り替えたし、《ヨビニオン・マルル》は単体で5体のうちの2体を供給しつつも確実にリソースを失わない、いわば「出し得」のカードと言える。
こうした「出し得」のカードばかりでデッキを固めれば、「コストが異なるクリーチャーを5体並べる」ことも造作もなく達成できるに違いない。
《完璧妖精サエポヨX》は《ヨビニオン・マルル》につなげる「2→4」を担えるほか、バトルゾーンに残っている限りマナゾーンを手札のように扱えるので、バトルゾーンに足りないマナコストのクリーチャーをマナから選んで呼び出せる点に大きな価値がある。
《原始 サンナップ》は3コストのクリーチャーの中で速度の枷をぶち破れる可能性がある唯一無二のクリーチャーだ。《哀樹 コシン》→2コストの加速スノーフェアリー→《ヨビニオン・マルル》という展開で「ヨビニオン」からめくれれば、3ターン目にして1、2、3、4コストのクリーチャーが並んだ上にさらに3マナを自由に使えることになる。その3マナで5コスト以上のクリーチャーをどうにかして召喚できれば、そのまま《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》につなげることで3ターンキルも夢ではない。
その「3マナで出せる5コスト以上のクリーチャー」といえば《ダイヤモンド・カミタイオ》。「スノーフェアリー3体」の条件は上記の理想展開だとさらにもう1体のスノーフェアリーを展開しないと満たせないが、自身でマナ回収ができるので《桜風妖精ステップル》や《天体妖精エスメル/「お茶はいかがですか?」》でマナに落とした《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》も拾えるのが魅力的だ。
そしてそんな《ダイヤモンド・カミタイオ》を、《武家類武士目 ステージュラ》ならマナから回収できる。しかも《ダイヤモンド・カミタイオ》と違ってマナがかからないので、《原始 サンナップ》が絡まずマナがフルタップとなった場合にも《完璧妖精サエポヨX》の「ハイパーモード」を起動してマナから5体目として呼び出せるのが強力だ。
《桜丸パグのすけ》は「マナ爆誕」で確定で3マナ払う必要があるものの、《光開の精霊サイフォゲート》や《忍蛇の聖沌 c0br4》といった環境の実戦的なS・トリガーが6コストに固まっているため、《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》の能力で封じるためにも1枚は並べておきたいコストだ。それらを採用するデッキは自身の動き出しが遅いことが多いため、「マナ爆誕」する余裕もあることだろう。
《飛翔龍 5000VT》は他方で8コストのS・トリガーを封じる必要性はそこまでないが、自分でクリーチャーを3体も4体も毎回並べるデッキだし、自然単とはいえマナに置ければ《完璧妖精サエポヨX》の「ハイパーモード」で自身を捻って召喚できるので、相手のメタを突破する手段として数枚は採用するべきだろう。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『途中経過』
4 | 《哀樹 コシン》 | 4 | 《完璧妖精サエポヨX》 | 4 | 《天体妖精エスメル/「お茶はいかがですか?」》 | 3 | 《桜風妖精ステップル》 | 4 | 《原始 サンナップ》 | 4 | 《ヨビニオン・マルル》 | 4 | 《ダイヤモンド・カミタイオ》 | 4 | 《桜丸パグのすけ》 | 4 | 《武家類武士目 ステージュラ》 | 4 | 《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》 | 1 | 《飛翔龍 5000VT》 |
なんか全然回らん!!!😡😡😡
それっぽいリストを作ったはずなのに一人回しだと理想通りに動かない……などというのはよくあることだ。
そうした場合、想定した動きと現実の一人回しとの間のどこにギャップがあるのかを言語化する必要がある。
とはいえ堅苦しく考えなくても、手札に引いたのに機能していないカードがあれば、そのカードに関して何らかの問題が発生していることがわかるだろう。
上記のリストを一人回しした結果、そうした違和感を私が感じたのは《ダイヤモンド・カミタイオ》と《武家類武士目 ステージュラ》の2スロットだった。これについては原因を言語化するのは簡単だ。スノーフェアリー3体条件を満たせるほどの軽量スノーフェアリーが足りていなかったのである。
だが、それ以前にそもそもこの役割に2スロットも割くこと事態が過剰ということもおぼろげながら見えてきた。
《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》が着地するシチュエーションから逆算すると、ほとんどの場合「1、2、3、4、X(5以上のどれか)」で「コストが異なるクリーチャーを5体並べる」を満たすことになるだろう。そうなると他のマナコストを出す起点となり《完璧妖精サエポヨX》でバトルゾーンにないコストを呼び出せたりもする2コストが重なるのは仕方がないにせよ、ただでさえ出しづらい上に5以上のどれであっても基本的に1種類しかお呼びでないXコストのカードは多く引いてもしょうがないという結論が導かれる。
また、3キルの上ブレパターン以外の《原始 サンナップ》の脆さも気になった。「出し得」カードで埋める構造をとると言っておいて、そもそも4枚しかない《ヨビニオン・マルル》を引かないと成立しない3キルのための必要札だけ瞬間出力だけのバニラでも構わないというのは、デッキの一貫性を著しく損なう判断と言えた。
とはいえ妨害のないデッキが、可能性が低いとはいえ3ターンキルを全く放棄するというのもできない相談であるというのはまた事実ではある。
ならば、どうするか?
《ベイB セガーレ》を入れればいいのでは???🤔🤔🤔
もともと《哀樹 コシン》だけでは1コストを安定してバトルゾーンに出せるかに不安があったところである。しかもこのデッキの弱点が《飛翔龍 5000VT》や《ブルー・インパルス/「真実を見極めよ、ジョニー!」》であることは明白。それにマナゾーンから使いまわせるために《完璧妖精サエポヨX》との相性も良いときては、このカードを採用しない合理的な理由を見出す方が逆に難しいと言えた。
妨害なしの3~4キルから妨害込みの4キルへと割り切ったことで、今度こそ「出し得」に寄せることができるようになった。あとは残りのスロットを、デッキコンセプトをなるべく損ねないカードで埋めていくだけだ。
《継走の妖精》は3コストのスノーフェアリーの中ではテンポ・リソースの両面で「出し得」と言える唯一無二のスペックを持っている。《桜風妖精ステップル》や《天体妖精エスメル/「お茶はいかがですか?」》でマナに落とした《完璧妖精サエポヨX》を後から呼び出して疑似的な《セイレーン・コンチェルト》になれるのも大きい。
また、大量の《桜丸パグのすけ》で埋めていた6コストの枠は、《ニクジール・ブッシャー》を採用することで《完璧妖精サエポヨX》を活用して余った2コストクリーチャーを0マナでコスト変換できるようになる。
とはいえ、《完璧妖精サエポヨX》を引かないパターンも考えると、自力でマナゾーンから出せるクリーチャーは合計1スロットくらいはいた方が良い。そしてマナから出す機会はどの道そう多くはないことを考えると、その時々でバトルゾーンにいないコストのクリーチャーを選んで召喚できる方が強いという結論に至った。
《ヨビニオン・トライブ》や《雪精 フユゲ・シッキY》を《陰陽の舞》と合わせて採用することで、《桜丸パグのすけ》を含めて3~6コストを状況に合わせて選択できるようになるだろう。
他にも、「4枚の《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》を毎回引けるとは限らない」という点も悩みの種だった。マナを伸ばせるので公開領域を広げるのには長けているものの、《哀樹 コシン》のヒット率を維持したいなら《ガガガン・ジョーカーズ》などのサーチ呪文を積むことはできない。
そこで白羽の矢が立ったのが《十番龍 オービーメイカー Par100》で、5枚目の《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》としての役割に加え、王道篇第3弾「ゴールド・オブ・ハイパーエンジェル」で登場した《アクア・ギャクテンポインター》などの「10コスト逆転S・トリガーサイクル」への対抗札として、1枚差しでも十二分に役割を果たしてくれることだろう。
あとはせっかく《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》がほとんどのクリーチャーSTを封殺してくれるので、《瞬封の使徒サグラダ・ファミリア》を採用することでいわゆる「単騎ラフルル」状態に持ち込める。とはいえ《天体妖精エスメル/「お茶はいかがですか?」》の分で若干出しやすいというのはあるが、「逆転撃」などをケアしたいなら《お騒がせチューザ》の方が良い場合もあるだろう。そのあたりは環境を見て選択した方が良いかもしれない。
というわけで、できあがったのがこちらの「スノー・ジョニー」だ!
『スノー・ジョニー』
4 | 《哀樹 コシン》 | 4 | 《ベイB セガーレ》 | 4 | 《完璧妖精サエポヨX》 | 4 | 《天体妖精エスメル/「お茶はいかがですか?」》 | 3 | 《桜風妖精ステップル》 | 1 | 《瞬封の使徒サグラダ・ファミリア》 | 2 | 《継走の妖精》 | 1 | 《雪精 フユゲ・シッキY》 | 4 | 《ヨビニオン・マルル》 | 1 | 《ヨビニオン・トライブ》 | 1 | 《ダイヤモンド・カミタイオ》 | 1 | 《陰陽の舞》 | 1 | 《ニクジール・ブッシャー》 | 1 | 《桜丸パグのすけ》 | 1 | 《武家類武士目 ステージュラ》 | 4 | 《夢の弾丸 ジョリー・ザ・ジョニー》 | 2 | 《飛翔龍 5000VT》 | 1 | 《十番龍 オービーメイカー Par100》 |
まつがん「よし、このデッキで勝負だ!デッドマン‼」
デッドマン「いいですよ!ではS・トリガー《じゅくしていないゾンビバナナ》!《撃髄医 スパイナー》‼《閃光の守護者ホーリー》!!!いやー、ちょうど9軸カウンターガチロボを作ったところだったんですよ!」
ピンポイントで数字の隙間を狙い撃つな!!!😡😡😡
ではまた次回!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
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デュエマ妄想構築録 vol.75-1 ~絶対3ターンメクレイド!オールイン・バード!!~ | |
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デュエマ妄想構築録 vol.76-1 ~コストを散らせ!スノー・ジョニー!!~ |