By まつがん
ドリーム英雄譚デッキ「ドギラゴンの書」は、ドラゴンを用いた戦略に新風をもたらした。
だがそんな中で、地味な強化すぎていまいち話題になりきらないカードがあった。
《風波の1号 ハムカツマン》。《風の1号 ハムカツマン》がドラゴンになって「G・ストライク」が付いたというだけのシンプルな強化だが、非進化かつ無条件で3コストのSA持ちがドラゴンというのは (殿堂カードの《“龍装”チュリス》を除けば) 前例がないスペックと言える。
だがだとしても、その強化点がきちんと生かされたデッキにならなければ意味がない。
では、《風波の1号 ハムカツマン》を使ってどのようなデッキを組むべきだろうか?
まず誰もが考えるのが《シン・ガイギンガ》だろう。《風波の1号 ハムカツマン》が《“龍装”チュリス》と比べて見劣りする点はそのコストにしかない。ではコスト指定のない「革命チェンジ」でドラゴンを参照するものといえば、《シン・ガイギンガ》が思い浮かぶだろうからだ。
だが、《シン・ガイギンガ》にはそんなことしても別に全然勝たないという致命的な弱点がある。3ターン目にW・ブレイカーが殴るだけというのは、相手に手札をプレゼントしているようなものだ。デュエル・マスターズは勝たないアクションをしてハピハピハッピーしたって別に構わないゲームだが、新しくデッキを作るからには、そのデッキが目指すべき目標が何かしら必要だ。ゆえに、ここはまず勝利という目標をきちんと目指すべきだろう。
次に考えつくのは《S級原始 サンマックス》だろう。ドラゴンを持っていようがいまいが、自然の3コストクリーチャーならば「侵略」が可能だからだ。《シン・ガイギンガ》と違って、マナから「侵略」できるT・ブレイカーならばまだしもゲームに勝つ気があるアクションと言える。
しかしこのアイデアにも問題があった。ドラゴンという要素を無視するなら、もっとマシな侵略元は別に全然いるのだ。
このように考えていくと、《風波の1号 ハムカツマン》が抱える問題が見えてきた。
それは「出したターンに6打点を作ることが難しい」ことと、「ドラゴンという要素を無視すると他の既存カードの下位互換になる」というものだ。
《風波の1号 ハムカツマン》によって新デッキが構築可能というなら、この2点を解消したものでなければならないのだ。
では、なぜ《風波の1号 ハムカツマン》は出したターンに6打点を作れないのだろうか?
それは3コストのSAクリーチャーが「侵略」や「革命チェンジ」を駆使したとて、その1回の攻撃の最大値はT・ブレイカーが関の山だからだ。
つまり、《二刀流トレーニング》を唱えてから殴ればいいのだ。
しかし、3ターン目に《風波の1号 ハムカツマン》を出しながら《二刀流トレーニング》を唱える方法は存在しない。《葉鳴妖精ハキリ》や《魔軸の鎖 カメカメン》でどちらかを戦闘中に使うことはできるが、戦闘中だと「はじめてタップされる時」というタイミングを逃してしまう。それでは意味がない。
だが、必ずしも3ターン目に《風波の1号 ハムカツマン》と《二刀流トレーニング》を同時に使う必要はないのではないか?
そう、2ターン目に先に置いておける《二刀流トレーニング》があれば、3ターン目の《風波の1号 ハムカツマン》が2回攻撃できるようになり、単体で5枚のシールドを割りきれるようになる。
とはいえ、そんな都合の良いカードがまさか存在するはずも……。
あったのだ。
《ポップ・ルビン》と《アニー・ルピア》を使えばいいのでは???🤔🤔🤔
これなら3ターン目の《風波の1号 ハムカツマン》に《二刀流トレーニング》を唱えたのと同じ結果を得ることができる。
しかもドラゴン限定のアンタップ付与なので、《風波の1号 ハムカツマン》が抱えていたもう一つの問題点である「ドラゴンという要素を無視すると他の既存カードの下位互換になる」も同時に解決できるのだ。
ちなみに《ポップ・ルビン》が思いついたのはデュエパーティーの「《蒼き王道 ドギラゴン超》パートナー」などで使用した経験があればこそで、マイナーなカードの引き出しが増やせるデュエパーティーをデッキビルダーが遊ぶことの重要性を図らずも実証した形となった。そして《ポップ・ルビン》の2種類目を探していたら《アニー・ルピア》に思い至ったのである。
あとは《ポップ・ルビン》《アニー・ルピア》《風波の1号 ハムカツマン》という3スロットをベースに、3ターン目に6打点を作ることを目標にしたデッキを組むだけだ。
「革命チェンジ」を安定させるなら、「革命チェンジ元」をAB2種類用意した上で「革命チェンジ先」もCD2種類用意し、「A→C」「A→D」「B→C」「B→D」の4パターンすべてが滞りなく実現できることが理想である。
この点、《風波の1号 ハムカツマン》をAとした場合の裏面となるBの候補が難しかったが、「令和の《“龍装”チュリス》」こと《偽りの希望 鬼丸「終斗」》が最適だと判断した。相手の多色チャージが必要というのが裏目だが、逆にこちらが《風波の1号 ハムカツマン》を採用しているなら、相手にとっての裏目も用意することができているので問題はないという判断だ。
そうなるとCDに当てはまるのは「《風波の1号 ハムカツマン》と《偽りの希望 鬼丸「終斗」》の両方からチェンジできるクリーチャー」となり、それだけだと《シン・ガイギンガ》でも良さそうだが、ここで思い出して欲しいのはこのデッキは《ポップ・ルビン》《アニー・ルピア》によるアンタップからの2回攻撃を前提としているという点だ。《シン・ガイギンガ》はSAがなく、アンタップしても2回目が攻撃できない。
よって正確な条件は「《風波の1号 ハムカツマン》と《偽りの希望 鬼丸「終斗」》の両方からチェンジできて、スピードアタッカー持ちのクリーチャー」となる。そのような条件を満たすのは《凰翔竜機ワルキューレ・ルピア》くらいだ。
ただ《凰翔竜機ワルキューレ・ルピア》をアンタップする場合、2ターン目が《ポップ・ルビン》だと4打点、《アニー・ルピア》でも5打点にしかならない。そこで《蒼き守護神 ドギラゴン閃》につなげることで、《風波の1号 ハムカツマン》と《凰翔竜機ワルキューレ・ルピア》という2種のSA持ちがデッキに入っており「ファイナル革命」を強く使うことが可能になる。
また、これだと《凰翔竜機ワルキューレ・ルピア》をCとした場合のDが存在しないように見えるが、《龍装者 バルチュリス》を採用すればどの組み合わせでも《蒼き守護神 ドギラゴン閃》につなげることができるようになる。
《偽りの希望 鬼丸「終斗」》が「革命チェンジ」の1段階目をスキップするためわかりづらいが、ここまでで「A→C→E」「A→D→E」「B→E」で並列になっているような構造だ。
そうなるとEの裏のFも欲しくなるところ、《革命類侵略目 パラスキング》は《風波の1号 ハムカツマン》を運用するのに不可欠な自然単色カードでありながら《蒼き守護神 ドギラゴン閃》の裏のFでもあるという奇跡のカードだ。2ターン目《アニー・ルピア》から3ターン目《偽りの希望 鬼丸「終斗」》+《革命類侵略目 パラスキング》だけでジャスキルが組めるというのはなかなかに想定しづらいルートかもしれない。
2ターン目と3ターン目のマナの使い道が決まっているので、最後に余ったスロットは1マナのカードで埋めるしかない。《ガガガン・ジョーカーズ》は各段階の足りない動きを補完できるし、自然のカードを引きすぎた場合に火のカードに変換できるので、マナカーブを阻害しない疑似的な多色カードとして動きの安定に貢献してくれる。
というわけで、できあがったのがこちらの「風波ノヴァ」だ!
『風波ノヴァ』
4 | 《アニー・ルピア》 | 4 | 《ポップ・ルビン》 | 4 | 《風波の1号 ハムカツマン》 | 4 | 《龍装者 バルチュリス》 | 4 | 《凰翔竜機ワルキューレ・ルピア》 | 1 | 《陰陽の舞》 | 1 | 《“龍装”チュリス》 | 4 | 《偽りの希望 鬼丸「終斗」》 | 4 | 《革命類侵略目 パラスキング》 | 4 | 《蒼き守護神 ドギラゴン閃》 | 1 | 《蒼き団長 ドギラゴン剣》 | 4 | 《ガガガン・ジョーカーズ》 | 1 | 《フェアリー・ギフト》 |
まつがん「よし、このデッキで勝負だ!デッドマン!!」
デッドマン「いいですよ!でもその前に、ゼロが好きな研究仙人のために、また新しいカードを持ってきましたよ!」
はたしてデッドマンが持ってきてくれたカードとは!?
次回に続く!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
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