【ゼルダ ティアキン日記】第5回 おじさんリンクは、バトルで華麗に舞えない

かっこよく立ち回りたいのに

 

 『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』を、これ以上ないほどの至高のゲームにしている要素は、1に自由な冒険、2に大抵のことはできる創意工夫の要素、3に絶妙なバランスの謎解き、4に魅力的なキャラたち、5に……と延々と書けてしまうのでこのへんでやめておくけど、このラインナップに絶対に加えたくなる必須の要素に、

★心地よくて楽しすぎる華麗なバトル

 コレがあることは異論の余地を挟まない。前作『ブレス オブ ザ ワイルド』でもさんざん言われてきたことだけど、このオープンワールドの『ゼルダ』のバトルは掛け値なしにおもしろさが極まっていると思う。

 そんな、作りこまれたアクションを骨の髄までしゃぶり尽くしてほしいのだろう。

 『ティアキン』では序盤の序盤から懇切丁寧に戦いにおける立ち回りの所作を伝授してくれようとする。……要するに「チュートリアルが充実している」ってことを言いたかったんだけど、ふとカッコつけて書きたくなってこのような文章になりました(何言ってんだ)。

 このゲームのバトルは、プレイヤーの想像力次第でホンッッッッ……トにいろんなアプローチができるんだけど、“イロハのイ”はやはり剣や槍を持っての近接戦と、弓を使った遠距離攻撃になる。なかでも、近接攻撃にかかる比重はバトル全体の8割以上に及ぶと思うので(※個人的な感想です)、なるべく序盤のチュートリアルで操作方法を指に刷り込ませ、実戦で華麗に使いこなして“舞い”のように立ち回りたい……と誰しもが願うと思うのである。

 ゲームを進めていけばほぼ自然の成り行きで、バトルにおける立ち回りを習える祠に出会うだろう。↓こんな感じでね。

 “キョノニシウの祠”では、ZLボタンを押して攻撃したい敵に注目(ゆるいロックオン、って感じ)中の、華麗な動作を学べる。具体的には、

 ZL注目中にLスティック横+Xボタンでジャンプすると“横跳び”をくり出せる。敵が振りかぶったタイミングで横跳びで避ける、と……。

 もうひとつ、

 同じく、ZL注目中にLスティック後方+Xボタンでジャンプすると“バク宙”をしてくれる。ミリ単位の見切りでバク宙後に素早く敵の懐に飛び込み、一気にラッシュを仕掛けて戦いを制する--!

 このほか、

 片手武器のときは盾も使えるので、敵の攻撃に合わせてコレを振って弾き飛ばす“パリィ”も可能。文字にしただけで惚れ惚れするような、流麗にしてしなやかな、まさに“舞い”を舞っているかのような美しい戦闘シーンを『ティアキン』では創出することができるのであるッ!!

 ……そう。

 理論上は、できるはずなのだ。『ティアキン』のテレビCMでも、そんな場面を見かけるしさ……。でも、御年51歳の“おじさんリンク”が戦場で風雅で端麗な舞いを舞おうと思っても……!

 「で、でりゃりゃりゃりゃりゃ!!!!><」

 強烈な槍の連打でゴーレムを追い詰めるおじさんリンク--。

 スクショでは一方的な攻撃を仕掛けているようにしか見えないので、これはこれで絵になっている……気がする。

 しかし、実際にこのときの現場で何が起こっていたのかと言えば……!((゚Д゚;))

 「えええ、えっとえっと、まずはZLでゴーレムに注目ッ!! ……って、ZLってどっち!? 右手だっけ!!? ……うわ、弓構えやがったこのリンク!!!>< ちがうちがう!! えええ、エルは何のエル……左か!! ZL判明ッ!! こ、これで注目して……! ってゴーレムにブン殴られたッ!!! ななな何すんねんこの野郎!!(怒) もうええわッ!!! で、でりゃりゃりゃりゃりゃ!!!!><

 華麗さを求めるあまり焦りまくってしまい、ZLがどのボタンかもわからなくなる始末……((゚Д゚;))

 「じゃ、じゃあパリィや!!! 俺はガンランスの巨大な盾を使いこなしていた男!! ここでも盾をメインに立ち回ってやる!!!」

 ってんで盾を使ったバトルに活路を見出そうとするも、

 すちゃwww

 「……………………」

 盾を使おうと思った途端、ほかのことに意識が向かなくなって、盾を構えたまま金縛りになってしまうという……((゚Д゚;))

 けっきょく盾も、

 「た、盾なんていらねえ!!! 武器をブン回すのみ!!! で、でりゃりゃりゃりゃりゃ!!!!

 穴を掘ることを覚えてしまい、日がな一日地面を引っ搔いている犬の如く、ただひたすら攻撃ボタンを連打して、

 「やるか、やられるかだッッッ!!!」

 不毛なガチャプレイを続けているのでした……w ここまでの50時間、マジでただの1回も盾なんて使ってねぇよ……(((( ;゚Д゚)))

 おじさんリンクは、バトルで華麗に舞えない……><

 続く……w

 

大塚(おおつか) 角満(かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』公式ホームページ:
https://www.nintendo.co.jp/zelda/totk/index.html

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