過去3回に渡ってお届けしたコロコロコミック×デザインのひきだし記事を読んでいただけだろうか?
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【直撃インタビュー!】コロコロコミック×デザインのひきだし コラボ記念「デザインのひきだし」担当編集者 津田淳子さんに特別インタビュー |
今回はコロコロコミックの表紙デザインを33年間手がける伝説のデザイナーであり、「デザインのひきだし36」の表紙デザインを手がけた佐々木多利爾さんに特別インタビューだ。
▲コロコロのレジェンドデザイナー、佐々木多利爾さん
「コロコロコミックの表紙デザイン」について熱く語っていただいたぞ!
——今回はインタビューにお答えいただき、ありがとうございます。
最初の質問ですが、コロコロコミックの表紙デザインはいつから担当されていますか?
佐々木:そうですね。コロコロコミックの表紙は1985年12月発売の1月号からしています。それまでは、初代デザイナーの有賀一宇さんが担当されていました。そのころ、僕は小学館の児童雑誌「幼稚園」の表紙デザインをしていたんです。それで、当時のコロコロ編集長の福島征英さんからご指名をいただいて、表紙のデザインを引き継いだんです。
—-コロコロコミックの表紙以外では、どんなデザインをされていますか?
佐々木:表紙以外だと、コミックスのカバーデザインをしていました。「ダッシュ!!四駆郎」、「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」、「つるピカ ハゲ丸」、「おぼっちゃまくん」など、90年代半ばまではコロコロのコミックスのほとんどのデザインをやっていましたね。現在でも、「スーパーマリオくん」のカバーデザインをさせていただいてます。
——そうなると、忙しいときは相当大変だったのでは?
佐々木:コロコロの表紙とコミックスカバーの他に、本誌のカラーや1色の記事などもやっていたので…けっこう大変でしたね(笑)。
——佐々木さんにとって、コロコロコミックの表紙デザインで何を一番大事にしていますか?
佐々木:何よりも元気さですね。ご指名してくださった福島さんから「一目で熱いとわかるような、持った時に熱くて手を離してしまうくらいすごい表紙デザインを作ってくれ!」と熱弁されていたのを覚えています。だから、僕もその思いに答えようと頑張りました。
——なるほど。では、コロコロ表紙の特徴とも言える余白が少ないのも「コロコロの熱さ」からなのでしょうか?
佐々木:そうですね、最初はドラえもん中心のデザインで余白もありました。
▲1977年「月刊コロコロコミック」創刊号
その後、キャラと文字と余白のバランスは創刊号からの「有賀マインド」を踏襲しつつ、コロコロ独自の変化を続けて今に至りました。余白が少なくなったのは、単純に情報量が増えたのもありますが、闇雲に詰め込んでいるわけではありません。ここを詰めたら、ここを開けるというのはあります。
一見すると、無造作に置いてあるように見えるんですけど、小さい文字と中くらいの文字、大きい文字それぞれがそれぞれがボディでいうとボンッ!キュッ!バンッ!の「ナイスバディなバランス」で入っているんです(笑)。
——ナイスバディなバランスとは、なんとも言い得て妙な表現ですね。
佐々木:全てはメリハリです。コロコロ表紙の見出しの文字やビジュアルが創刊当時から大きくなったのも、情報量が増えてきたからか、自然とこうなっていました。
▲最新号、2019年月刊コロコロコミック3月号
このバランスが崩れてしまうと、推したいキャラクターとかが前に出すぎて、コロコロのタイトルが隠れてしまい、なんの雑誌かわからないデザインになってしまう。タイトルロゴが隠れてしまったら子供は何の雑誌かわからないですから買ってくれないですよね。
——確かに! 今までデザインした表紙で一番気に入っているのは、どの号ですか?
佐々木:常にネクストワン、一番新しく手掛けた号ですね。
毎号、表紙の担当編集者からラフをいただいてデザインの作業に入るとき、「コロコロからいただいたラフをどれだけ壊せるか?」、「担当の方の期待をどれだけ裏切れるか?」をはじめに考えています。
いい感じの裏切りをめざして、苦しんで、その行為を楽しんでます。
担当の方から「こう来ましたか!」と言われる言葉が一番嬉しい!!
私の生き甲斐です。
そうして気がついたら、33年間コロコロの表紙のデザインを続けていました。他の雑誌だと編集長が変わると、表紙のデザイナーが変わることが多いんですが…。
——他の編集部とコロコロ編集部の違うところはありますか?
佐々木:まずラフがしっかりしているところですね。なので、コロコロの表紙デザインは2日で作れます。
——2日ですか!?
佐々木:これはもう経験からできることですね。他の記事1ページを作るよりも、コロコロの表紙を作る方が早いです。
—-コロコロコミックの表紙は手書きのデザイン指定で入稿されていますが、パソコンでデザインされた方が早いのではありませんか?
佐々木:コロコロの表紙をなぜ手書きでやるかというと、デザイン業務をしているタナカデザインさん(注・表紙の文字を作っている版下製作の会社)のフォントが欲しいからです。パソコンにはない、コロコロに合う元気な書体をたくさん持ってますから。
——なるほど。ちなみに、佐々木さんの入稿指定紙(※印刷所に提出するデザインの設計図のようなもの)を拝見してもよろしいでしょうか?
佐々木:いいですよ。ついでに、作業場も見ていってください。
——ありがとうございます!
次のページでは、最新号のラフに、佐々木多利爾さんの仕事場を大公開!!(1/4)