「うんこを出すなら、その必然性がないとダメです」 『ウソツキ!ゴクオーくん』吉もと誠×『コロッケ!』樫本学ヴ SP対談~4~

――アイディアの取捨選択の連続だと思いますが、なにを優先して決めますか?
樫本:僕はやっぱり絵的な要素を重要視していますね。見ただけで映える、面白いとか。
 
吉もと:どこを削ってでも、ここだけは格好良く見せなきゃダメだ! という一番の見せ所になるページやコマがありますからね。
 
樫本:このコマを描きたいからこの話になりました、というパターンもありますから。『ゴクオーくん』の場合は、先にテーマを決めて話や絵を決めているの?
 
吉もと:そうですね。ただ単にムカついた出来事が僕の中であったから、それに嘘をひっくるめるという形もあります。例えば、割り込みされて腹を立てたなら、じゃあ嘘を付いて割り込みするやつのことをテーマにしようとか。
 

 
――自分の周りに起きた出来事をまんがに落とし込むんですね。
吉もと:そうですね。共感が得られる”あるある”を、より小学生向けに描くみたいな感じですね。例えば、居酒屋で他人が乾杯したビールがバシャッと自分にかかって腹が立ったという話だと、ビールを牛乳に置き換える。腹が立ったことの本質はそのままで、子どもに分かりやすく、共感を持てる方にシフトさせます。
 
樫本:やっぱり自分が小学校のときに、こんなことをやって楽しかった、くやしかった、というのは考えますね。
 
吉もと:分かります! 僕もネームに詰まったとき、頭を小学生の頃に戻して、お前これ面白いか? 意味分かるか? と、自分に聞きながらやっています。
 
樫本:『学級王ヤマザキ』も連載初期は全然ダメで、自分が小学生の頃に経験したことが全然活かされていなかったんです。でも、「昔は秘密基地が楽しかったな」「こんな遊びで盛り上がったな」などを考えて、それを作品に落とし込み始めてから人気が出てきました。
 


▲ターニングポイントとなった第4話「ゆか下の大王国」。ヤマザキが密かに教室の床下にスペースを作り、やがて学校全体をヤマザキ王国のひみつ基地として改造していく。

吉もと:秘密基地とか洞窟はワクワクしましたね。
 
樫本:ドラえもんの作品とか、まさにそれで。あのワクワク感はなんなんでしょうね。
 
吉もと:今の子だと『マインクラフト』で建物を作ることが、昔で言う秘密基地になるのかもしれませんね。
 
樫本:なるほど。たしかに。
 
吉もと:本質的には今も昔も好きなことは変わってないのかもしれませんね。
 
 
――最後に、第一線で走り続けるおふたりの未来の目標は?
吉もと:『ウソツキ!ゴクオーくん』を長く連載していますが、アンケートで1位を取ったのは連載1話目のときだけです。だから、もう一度、1位を取りたい。それをずっと目標にしています!
 
樫本:すごい。僕は『コロコロアニキ』で連載はしていますが、もう一度月刊のコロコロ本誌に帰ってくることですかね。なかなか年齢的に厳しいですが、頑張っています。だから、なんかで帰ってきたいと思います! お待ちいただければと。
 
吉もと:僕たちの世代としては、樫本先生はコロコロになくてはならない人だと思っています。新作、楽しみに待っています!!
 
樫本:ありがとう。あと、僕のまんが家としての目標は「単行本を100冊を出したい!」というものなので、それを今後も目標として頑張りたいです。ちなみに今87冊くらいなのでギリギリ狙える感じかな、と。
 
――ありがとうございました!
 

 

プロフィール

吉もと誠 先生
千葉県出身。4月6日生まれ。「第58回 新人コミック大賞」児童部門にて『ユメチャ!』で佳作を受賞。代表作『ウソツキ!ゴクオーくん』は、「第61回小学館漫画賞(児童部門)」受賞。
 


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樫本学ヴ 先生
愛媛県出身。8月12日生まれ。昭和61年『G筆まん吉』で「第12回 藤子不二雄賞」受賞。代表作は『がってん太助』『嵐のJボーイ ぶっとび闘人』『やったね!ラモズくん』『学級王ヤマザキ』『コロッケ!』『ぼくはガリレオ』『キメルのYOYO!』『ぷにゅぷにゅ勇者 ミャメミャメ』『手裏拳トンマ』ほか。『コロッケ!』にて「第48回小学館漫画賞(児童部門)」受賞。
 


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