これは傑作だ
突然ですが、大塚角満です。
メーカー様からレビュー用のソフトをお貸しいただき、数日前から『エルデンリング』をプレイさせてもらっている。
世界中のゲームファンが、2022年でもっとも期待している新作タイトルのひとつ……! 情報がアップデートされて新たな動画が公開されるたびに、地球そのものが息を吞んだかのように、
「Unbelievable……!!!」
アチコチから歓喜とも悲鳴ともつかない声が上がる。こんなゲーム、近年では『エルデンリング』以外に思いつかない。
その世界に飛び込んで、早十数時間……。
俺の口から出る言葉も、
「Unbelievable……!!!」
こればかりになった。
……いや、ちょっと違うな。
さすがに日本人なので、アンビリーバボーではない。とはいえ、自分の想像を超えた事象に出会ってしまったときの人間の反応は、万国共通なんだと思う。
俺は、『エルデンリング』を遊び始めてから何十回目になるかわからない、感嘆の声を上げた。
「凄すぎる……!!!」
やっぱりこのゲーム……とんでもなかったわ……!!!
※ちなみに筆者は、プレイステーション5版でプレイしております!
壮大かつ繊細な物語に魅了!
改めて書くまでもないが、『ELDEN RING(エルデンリング)』はフロム・ソフトウェアより2022年2月25日発売予定のプレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Steam)用アクションRPG。あの『DARK SOULS』(ダークソウル)シリーズや『Bloodborne』(ブラッドボーン)などなどで知られる宮崎英高さんがディレクターを務める完全新作だ。
俺はかつて古巣にいた時代に『DARK SOULS』に激ハマりし、プレイ日記を200本ほど書いて『折れてたまるか!~『DARK SOULS』プレイ日記~』という単行本を2冊刊行したことがある。その当時から、
「フロム・ソフトウェアの宮崎さんは、ゲーム業界3大天才のひとりだな……!!」
と言ってはばからなかったんだけど、この『エルデンリング』でその才能が、ひときわ爆発していると確信してしまったよ。
ゲームの舞台となるのは、永遠の女王マリカを戴く“狭間の地”。世界観の背景として、つぎのようなプロローグがある。
◆◆◆
永遠の女王マリカを戴く狭間の地で
黄金樹の根源たる、エルデンリングが砕けた
マリカの血を受けた子供たち、デミゴッドたちは
エルデンリングの破片たる大ルーンを手にし
その力に狂い、歪み、破砕戦争を起こし…
大いなる意志に見捨てられた
そして、かつて瞳から黄金の祝福を失い
狭間の地を追われた褪せ人たちの元に
祝福の導きがもたらされる
祝福なく、死にきれぬ死者たちよ
導きに従い、霧の海の先、狭間の地に向かい
エルデンリングに見えよ
そして、エルデの王となるがよい
◆◆◆
黄金樹の祝福を失った者たちは“褪せ人”と呼ばれ、狭間の地を追放される。しかし、祝福の源であった“エルデンリング”が砕け散り、その破片を手にしたデミゴッドたちが力に魅せられて戦争を起こすも勝者は生まれず、世界は壊れてしまう。
そんなとき、主人公である褪せ人のもとに謎の啓示がもたらされ、狭間の地のエルデンリングへといざなう。そしてその啓示は主人公に「王になれ」とささやいた……!
こういった背景があることは理解できたが、ゲーム中にきっぱりとした導きがあるわけではない。広大な世界に放り出されて、
「俺は……いったい誰なんだろう?? 何をすればいいんだろう??」
こんな疑問を抱くところから物語はスタートすると思ったほうがいい。
でもこれ、宮崎さんがかつて作った『Demon’s Souls』や『DARK SOULS』と同じ匂いがする仕様だ。じりじりとゲームを進めるうちに世界の断片のような真実が集まり、いつしか物語の全貌が見えるようになってきて、
「なるほど……! そういうことだったのか……!!」
という独特なカタルシスを得られるという……。『エルデンリング』は、“エルデンリングを求める”、“王になる”という刷り込みされたかのような目的があるので、先の2作品よりも世界観は理解しやすいかもしれない。まあだからと言って、褪せ人として狭間の地にやってきたばかりの段階では、
「……???」
こうなってしまうのも致し方のないくらい圧倒的スケールの物語が展開されていくので、やはり少しずつ世界の真理を紐解きながら理解を深めていくしかないんだけどな。現状、俺はすでに十数時間のプレイを行い、ちょっとずつ紐解き作業は進んでいると思っているんだけど……この狭間の地に対しての理解度は、そこらを、
「あ゛~……! あ゛あ゛~~……!!」
なんてうめきながらウロついている怪物どもと大差ないと思われる^^;
それでも、このゲームの虜になってしまっていることは紛れもない事実。
序盤の序盤、操作方法のおさらいとして“学びの洞窟”という場所でチュートリアルを行い、
その後、最初の冒険の舞台である“リムグレイブ”に登ってくるんだけど、いきなり開けた大パノラマに度肝を抜かれてしまったよ。
操作方法やシステムが『Demon’s Souls』や『DARK SOULS』のそれと近しいので、勝手な先入観でフィールドも陰陰滅滅としたものが続くんだろうなぁ……なんて思っていたんだけど……!
なんて広大で美しい……!! フロム・ソフトウェアのダークファンタジーで、まさかこれほど爽やかな風を感じるフィールドに通してもらえるとは思わなかった……!!
そしてこの茫漠としたリムグレイブは、ただいたずらに広いだけではなく、冒険の密度が恐ろしいほど濃く作られていると断言しておきたい。
アクションの基本は、ダッシュやジャンプを駆使しながら自由にキャラクターを動かして、装備した武器や魔術を使って敵と戦うという仕様。誤解を恐れずに言えば、『Demon’s Souls』や『DARK SOULS』とほぼ同じなので、それらを遊んだことがあれば速攻で慣れると思う。
武器と魔術を使いこなせるようになったら、フィールドに点在する“祝福”(『DARK SOULS』の“篝火”ですな)を拠点にして、少しずつ行動範囲を広げていく。
前述の通り、リムグレイブはやたらと広いけど密度が濃いので、そこら中に敵の前線基地(?)や洞窟、謎の建造物が建っていたりするので、まったく息をつくヒマもない。それらはすべて調査・冒険の対象なので、見過ごすことができないのだ。
たとえば、まだまだリムグレイブ初心者なので、
「この土地に慣れるまで……しばらくはおとなしくしていようかな^^;」
なんて思ったとしても、ちょっとウロウロしただけですぐに、
こんな蠱惑的な穴ポコが空いていたりするので油断がならない。『エルデンリング』は想像以上に自由度が高いので、ダンジョンを見つけたとしても後回しにして問題ない(と思う)んだけど、やっぱり見つけちまうと……!
「入っちゃおうかなぁ~^^; ちょっとだけね^^;」
なんてことになって、ついつい吸い込まれてしまう。そこに、俺の実力では歯が立たないようなヤベぇボスが待ち構えていて、
「お、俺……もうここから出られないんじゃ((゚Д゚;))」
なんて、泣くことになるかもしれないのに……。かつて『DARK SOULS』で、スモウ&オーンスタインに120回殺された悪夢がよみがえる……((゚Д゚;))
また、フィールドを歩いていても……。
ズン……。
ズズン……。
ズンズンズン……!!
な、なんだあいつ……((゚Д゚;)) どっからどう見ても、ふつうじゃないんだけど……((゚Д゚;)) でも強そうに見えるだけで、意外となんとかなるかも……???
なんていう、強敵への誘惑があちこちにあるからタマラナイ。もしもこの段階で倒せたら、序盤を楽に進められるような屈強な装備とかアイテムが手に入っちゃうのではなかろうか……???
ダンジョンに潜るのも自由。
敵に挑むも逃げるも自由。
どう物語を紡いでいくのかも……言ってしまえば、プレイヤーの自由だ。
導きとなるのは、「エルデンリング」と「王になれ」という言葉だけ。そこに至る道筋は、好き勝手にやってもらって構わない。『エルデンリング』は、そんな作りになっていると思う。
でも、十数時間遊んだところで痛感したのは、この狭間の地においては俺なんて、何の力も持たない無力極まりない存在だってこと。
ぶっちゃけ、そこらにいる衛兵のほうが装備は豪華だし、力も強いしで、対峙するたびに、
「お、俺なんかが王を目指していいんだろうか……!」
なんていう劣等感に苛まれもする。それでも、明日の自分はいまよりもっと強くなっていることに賭けて、屈強なボスにも挑みかかる快感よ。
待つのは破滅か、それとも王となっている自分か……。
その未来を見るために、エルデンリングを目指して歩んでいこうと思っている。
大塚 角満
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。
『ELDEN RING』公式サイト:
https://www.eldenring.jp/
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