あらゆるコンテンツの中で誰もが1度は想像する“原作再現”!
現実では難度の高いものばかりだが……しかし! 絶対に出来ないわけではない!!
今回、コロコロオンラインでは、“電子工作”から原作再現に挑戦する動画投稿者「にわから」さんへ直撃インタビューを実施! ミニ四駆「ブロッケンギガント」のハンマーGクラッシュ、「スピンコブラ」の自動ステアリング機能などを工作で再現する超スゴイ人なのだ!!
本記事では動画投稿のきっかけや、ものづくりへのこだわりなどさまざまなお話を伺ったぞ。 ものづくりの分野に興味のある人は要チェックだ!!
文・聞き手……トニオ國崎
▼プロフィール概要
にわから
主にYouTubeとニコニコ動画をメインに活動している動画投稿者。『ミニ四駆』をはじめとした電子工学によるホビー改造や3Dプリンターを使用したものづくりなどの動画を投稿している。
はじめは簡単な動画制作から……
──本日はよろしくお願いいたします! まずはじめに、にわからさんの簡単な自己紹介からお願いしてもよろしいでしょうか?
にわからさん(以下、にわから):YouTubeとニコニコ動画で活動している「にわから」と申します! 主な内容ですが、電子工作や3Dプリンターなど工学の力でホビーにロマンを詰める……というもので、ミニ四駆だと「原作再現」だったりそういう風な改造を手掛けた動画を投稿しています。
──プロフィールには「ニコ技復帰勢」(※ )とありましたが、動画制作自体は昔からされていたのでしょうか?
にわから:実はいまの「にわから」名義以前から動画投稿はやっていて、いちばん最初に始めたのは2009年からでした。いちばん最初はゲームの小技を紹介する動画を投稿していて、その次からはちょっとLEDを光らせるとか簡単な工作をいくつか出していました。その時は、私も電子工作とかバリバリに出来なかったので……。動画はYouTubeとニコニコ動画に投稿していました。
主に「ニコニコ技術部」タグに関する動画を作って、それを2012年か2013年あたりまで続けていました。そのあたりで友達に身バレしまして…… 当時の私は学生で、登校している時にうしろから友だちに「お前動画投稿してんじゃん」って言われて。その時に「うわっ」て思って、すぐに動画アカウントを消しちゃったんですよ。
そのあとは動画作りがちょっと難しい環境になってしまい……そこから2019年になり、また動画投稿ができるような環境になったので再開したという感じですね。
※ニコ技……ニコニコ動画にある「ニコニコ技術部」というタグの略称。製作関連の作ってみた・やってみた系動画に付与されることが多い。ジャンルランキングでは「技術・工作」カテゴリにまとめられている。
▼2019年に「にわから」でいちばん最初に投稿された「【ミニ四駆】 スピンコブラに自動ステアリングシステムを導入する【魔改造】」
──なるほどそういう経緯だったんですね……! ちなみに動画制作を始めたきっかけはなんでしょうか?
にわから:きっかけですが、昔から動画を見るのが大好きだったんですよね。2000年代後半の頃のニコニコ動画はすごい盛り上がっていたので。それをずっと見ているうちに興味を持って「自分も動画を作ってみよう!」と思ったのがきっかけでした。
にわからさんのマイベスト製作物は?
──次に動画についての質問なのですが、今までのミニ四駆改造の中で、いちばん良くできたと思う製作物はなんでしょうか?
にわから:これは難しいんですけど……たぶん「レイスティンガー」の改造だと思いますね。針出入機構と赤外線誘導のやつですね。アレがいちばん良くできたかな~と思っています。
というのも、最近投稿した「スピンコブラ」の改造動画で、シャーシをイチから3Dプリンターで作ったんですけど、「レイスティンガー」は市販されているシャーシを加工して走行機構や制御の部品を入れる……というやりかたで作っているんです。でも、サイズに合わせて機能を盛り込むっていうバランス取りが難しくて、いまでもなんであのマシンが動いたのか謎なんですよ。
──そうなんですか!?
にわから:はい。いまは狙って作れないですね。とくに針出入機構は、カメラ部品のギアモジュールがあって、使えるようにあれこれ加工して、そこからローラーをつけてトルクとかも何も考えないで作ったので、なんで動いたんだろうって……謎ですね。
▼【ミニ四駆】レイスティンガーに赤外線誘導と針出入機構を搭載する【魔改造】
──動画では、シャーシの余分なところをカットして作ってるじゃないですか。あれはひとつ間違えると全部やり直しになってしまいそうな気がするんですが……見えないところで失敗例もあったりするんでしょうか?
にわから:あれは完全に1発勝負でやってますね(笑)
──ええ!? それは怖いですね……うっかり間違えて切ってしまった時とか。
にわから:あんまり職人技みたいなことができるほうではないので、『バックブレーダー』のポリカボディを切るのとかめちゃくちゃ大変でしたね。
──ポリカボディは慣れていないとちょっと難しいですよね。
にわから:ポリカボディ加工も難しいと感じるレベルなので、シャーシ加工も緊張しながらやっていましたね。『レイスティンガー』みたいなパターンはボディやシャーシをぶっつけ本番で加工しているので、ミスがあってもそれを使うしかないんです。
基本は試行錯誤の繰り返しですね。3Dプリンターで作る場合は作り直しができるからこそ「もっといいものができるはず!」と自然とトライ数が多くなっています。
──ありがとうございます。ほかにも、動画の構想から完成までどのくらいのスケジュールで作業されているんでしょうか?
にわから:だいたい企画が始まった時にTwitterに伏線的なツイートを仕込んでいて、そこから計算すると大体1ヶ月から3ヶ月ぐらいだと思います。そのあいだにちょくちょく別の動画を挟んでいたりしますね。
──いろいろと同時進行だったりするんですね。ちなみに、作るのにかなり苦労したものはなんでしょうか……?
にわから:さきほどチラッと話しましたが、最近投稿した4駆自律制御ステアリングの「スピンコブラ」がいちばん苦労しましたね。
▼【ミニ四駆】スピンコブラに4駆自律制御ステアリングを搭載する【魔改造】
──ミニ四駆の元となるシャーシ製作から苦労されてましたよね。
にわから:そうですね。私はサイズを細かく測るより現物合わせで作ることが多いので、ボディの外径に合わせて作り、その都度修正して、大丈夫だったら次は走行部分やステアリングを足していって……という感じで順々に進めています。ただ、順番にやっていくとそれぞれ作り直しが発生してしまい、結局100回ぐらい作り直したので大変でした。
──もう一度改めて作るとしたら、さらに改良できそうだと思う製作物は何でしょうか?
にわから:……全部ですね!
──全部ですか!?
にわから:実は納得しているものがほとんどなくて。基本的に私が何かを製作する時は、自分がその時まではできなかった要素をひとつかふたつくらい追加して作っているんですよ。昔よりも今のほうができることの幅が広がっているので。この技術を使ってあのマシンを作り直したいな……っていう想いは常にありますね。 強いてひとつ選ぶとするなら『バックブレーダー』を作り直したいなと。
──それは何故でしょうか?
にわから:前に作った『バックブレーダー』はまず四駆じゃないんですよね。後輪しか回っていないので納得がいかないという。ほかにも、あの『バックブレーダー』のパワーブースターには花火を使っているんですが、それを起動させるためのマイクをマシン側に乗せて音検知でやっていました。ただ、検知精度がすごい悪くて……何度も手を叩いたりする必要があったんです。
それに音の検知では再現じゃないので「バックブレーダー! パワーブースター オン!」っていう音声認識で起動させたいわけですから、そこを改善したいですね。
──やっぱり忠実に再現したいというこだわりが……! ちなみに、いずれはマグナムトルネードを再現したりとかも……?
にわから:動画のコメントにも書いてあるんですけど、どうしようかなと(笑)。
──マシンが回って飛んでいきますからね。ちゃんと着地も考えないといけないですし。
にわから:そうなんですよ。まずどうやって飛ばすのか……けっこう再現されてる方が多いんですけど、やっぱりコースを改造して再現っていう前提があるので、できればコースを改造せずにやってみたいですね。あの飛距離を飛ばすには、機構もろもろがマシン内に収まらないと思うのでいろんな問題があります。いつかできればと!
コロコロコミックの思い出
──にわからさんの動画では、『ミニ四駆』や『ビーダマン』などコロコロに関するホビーが登場していますが、コロコロコミックとの思い出で印象深いものがあれば教えてください!
にわから: 私は基本的にギャグ漫画とか1話完結の作品が好きなので、『でんぢゃらすじーさん』とかめちゃくちゃ好きでしたね~。
思い出でいうとコロコロに『でんぢゃらすじーさん』の小冊子ふろくがあって、その中にあるエピソードのセリフとか全部覚えて、学校とかヒマな時にそのセリフを暗唱するとかやってました(笑)。ホビーだと、当時は『ミニ四駆』や『ベイブレード』とか『バトルビーダマン』とかそのくらいの世代ですね。
──子どもの頃に読んでた作品ってすごい印象に残りますよね。全部は覚えていないけどなぜか一部分は覚えているみたいな……。ちなみにミニ四駆で好きなマシンは何でしょうか?
にわから:昔は「サイクロンマグナム」が好きでしたね。特にまんがで好きだったシーンは、ブロッケンギガントに破壊されたビクトリーマグナムをパテで直してサイクロンマグナムが完成したという……あのシーンがめちゃくちゃ好きで何回も読んでいました! いまだと「バックブレーダー」も好きですね。機能が盛り盛りでメカメカしいのが良いんですよね。
「動画投稿」に関してにわからさんが思うこと
──次に動画全般に関することですが、ものづくり系動画の中でいちばん重視していることは何でしょうか?
にわから:いちばん重視しているのは「ホビーの設定」で、設定にできるだけ従いたいという考えがあります。たとえばミニ四駆の「バックブレーダー」だと、パワーブースターはそのバックブレーダー自体の能力だと私は考えているので、サイクロンマグナムにブースター機能を付けて~とかそういうわけではないんです。そのミニ四駆自体が技を持っているというイメージなので、改造するときはできるだけ外部パーツっぽくならないように、パーツもろもろは外側ではなく内部に収めて見えないようにしています。これはミニ四駆改造に関する考えで、他のホビーだと重視する部分が異なったりします。
──ほかにも、次に作る予定のミニ四駆動画のヒントをこっそり教えていただけないでしょうか……?
にわから:Twitterに「パワーブースター オン」って音声をプログラミングの画面で認識しました~みたいな動画があった気がするんですけど、もしかしたらパワーブースター的な動画が出る……かもしれないです!
──もしも、にわからさんのように電子工学にチャレンジするとしたら、何から始めるべきなんでしょうか?
にわから:とにかく作ってみることですね。私自身も製作系の動画を見てやってみたいと思って、最初は手元にあったマウスの電飾から始めたりとか、そのレベルで作りはじめたので。まずはとにかく手を動かして身近なものでもいいから作ってみるのが良いかと。
いまってインターネットにいっぱい情報が載っているから、別に学校で学ぶまで待つとかはしなくていいんですよ。たとえばArduino UNOっていうマイコンボードがあるので、それを買ってみてインターネットで「Arduino 入門」で調べてそれを見ながらプログラミングすると、けっこう身につくようになるんじゃないかなと思います。私の動画レベルであればLEDチカチカ、ボタン・センサー入力、サーボ動作あたりを身につければ近いことはできるようになります。
慣れてきたら自分が作りたいモノを考えてそれに必要な技術を挙げて、それらの技術をひとつずつ学んで自分で実装できるようにして、最後にそれらを組み合わせると作りたいモノを作りながら必要な技術を学べるようになるのでオススメです。私は意識はしていませんでしたがこの方法で学んでいる気がしますね。
そもそも勉強が大キライなので「技術を身に着けるために学ぶ」より、「モノを作るために学ぶ」でないと一切やる気がでませんから……。あとは私の動画でも技術的なことに軽く触れたりしているので、それを見るのも学びになると思います。
とにかくやってほしいことは「自分の手を動かすこと」、「いろんな技術を受動的に知って、それを能動的に調べて身につけること」。気になった技術などはとにかく動画を見たり検索したり、展示会や学会とかに行って自分が知らなかったものを新たに見つけることが大事だと思います。
──貴重なご意見ありがとうございます……! 最後に、コロコロ読者ビッグアンケートにある「興味のある職業ランキング」では、「YouTuber」が連続でトップになるほど読者から人気を得ています。これから「自分が興味のあるもの」、「好きなもの」を動画媒体で発信していきたい! という子どもたちに向けて、にわから様からメッセージをお願いいたします。
にわから:動画投稿に関しては、本当によく考えてから投稿してほしいという思いがあります。インターネットに上げた情報は、いい意味でも悪い意味でも誰もが見れて誰でも保存できるんですよね。きれいさっぱりに消すことは難しいですし、中にはイタズラが好きな人とか自分の想像し得ない考えも持つ人もいますから。自分の個人情報や顔がネットの世界に残っても大丈夫なのか、親御さんといっしょに相談してよく考えて投稿して欲しいなと思いますね。
──出していいラインを事前に決めるという。
にわから:そうですね。
──やはりそれも、にわからさんの過去の身バレ経験から来ているというか……
にわから:まさにそうですね。昔の友達に会うといまでもネタにされますからね(笑)。昔は顔出しとか考えられないみたいな時代だったのもありますし。
──ありましたね~……自分も昔は動画投稿をしていたのでよくわかります。
にわから:昔の動画サイトとかは、一部のすごい人たちを除いて顔を出していない人がほとんどだったので。いまは顔出しが当たり前な感じになってきているので、さらっと個人情報が出てしまうことも……とくに小さい子は改めて考えてからやってみてほしいなと思います。
──確かに時代とともに認識も変わりつつありますね……このたびはありがとうございました!
※はんだ付け作業には、高温火傷や溶かした「はんだ」の煙など常に危険が伴います。作業に慣れていない方や小さなお子様は、注意事項をよく読んだうえで保護者や経験者の方に任せるなど、安全管理や後始末などに気を付けて作業してください。
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