想像を絶する恐怖とトラップ
『バイオハザード』シリーズの生みの親であり、“サバイバルホラー”というゲームジャンルを確立した稀代のクリエイター、三上真司氏が送り出した新たなホラーゲームのフランチャイズが、ここで紹介する『サイコブレイク』シリーズである。
ベセスダ・ソフトワークスから、2014年10月23日にプレイステーション4、プレイステーション3、Xbox One、Xbox 360用ソフトとしてリリースされた本作は、
“純粋なサバイバルホラーの実現と、 恐怖と爽快感の極限までの追及”
をテーマに開発された意欲作。そのテーマ通り、ただ怖いだけではない、戦闘の奥深さも追及された作品として、多くのアクションゲームファンにも受け入れられている。
この手のサバイバルホラーゲームは、強力な武器を駆使してクリーチャーを吹っ飛ばしまくることでカタルシスを得るタイプが多いが、その点において『サイコブレイク』は一線を画している。
主人公の手にある武器はあまりにも少なく、貧弱で、つねに絶望的に追い詰められた状態で戦わなければならない。そんな限られた状況の中で打開策を見つけ、工夫をし、クリーチャーに対抗する--。そのためには“戦わない”ことも選択肢のひとつで、ひたすら生き延びることに全神経を集中する必要がある。これはまさに“サバイバルホラー”の原点であり、それを見事に表現したのが『サイコブレイク』なのだ。
このゲームで描かれている物語のバックボーンは、公式サイトのものをそのまま引用しよう。
刑事セバスチャンとその相棒が、凄惨な大量死亡事件の現場へ急行すると、そこは謎に包まれた強大な力が待ち構えていた。他の警察官が次々と殺害されていくのを目撃したその時、何者かがセバスチャンを襲い、意識を失ってしまう。
目覚めた場所は、化け物が徘徊し、常に死と隣り合わせの狂気の世界だったが、彼は戦いながらも状況を理解していく。
想像を絶する恐怖に直面し、生き延びるために戦う……、セバスチャンはその強大な力の陰に潜む謎を解き明かすため、恐怖に満ち溢れた旅に出るのだった。
人間の深層心理に訴えかけてくるようなクリーチャーの造形、絶望感を煽る演出、少ない対抗手段、散りばめられた謎……。
この、追い詰められた状況が紡ぎ出すのは“圧倒的な恐怖”しかなく、プレイヤーはつねに脂汗を浮かべながらのプレイを強いられることになる。このへんの匙加減はさすが、人を怖がらせることを熟知した、サバイバルホラーの旗手ならではという気がするのである。
なお、『サイコブレイク』は追加コンテンツとして、『ザ・アサインメント』、『ザ・コンセクエンス』、『ザ・エクセキューショナー』の3つが配信され、2017年10月には主人公のセバスチャンたちのその後を描いた『サイコブレイク2』が発売されている。