VRのお手本のようなゲーム
数年前、
「今年はVR元年だ! アミューズメント施設はもちろん、家庭にもバーチャルリアリティーの波が押し寄せるぞ!」
と多くのマスコミが喧伝した。
いや、俺もそのひとりだけど。
VR用ゴーグルのSF的近未来感、それまでのビデオゲームでは不可能だった圧倒的な臨場感と没入感に魅せられて、
「VR最高!! これからはVRがゲームのメインストリームになるぜ!!」
とエッセイやコラムで書きまくった気がする。
そして実際に、VRを駆使したコンテンツは巷で大きな話題となった。
グラフィックやサウンドは向上するものの、“体験”という点においては進化の袋小路に入っていたビデオゲームを一足飛びに前に進める技術として、アチコチにできたVR施設は連日の超満員、PlayStation VRは品切れでなかなか手に入らないと、多くの新しモノ好きが飛びついたのである。
しかし。
VRが、そのまま順調に家庭に普及したかと言えば……決してそんなことはなかった。
その理由として、セッティングが思いのほか煩雑だったり、まだまだ価格がこなれていなかったりといくつか挙げることができるが、何よりも大きかったのは、
“VRを心から堪能できるコンテンツが少なかったから”
これに尽きるのではなかろうか。
そして、7月3日。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントから、1本のVR用ソフトが発売される。
その名も、『マーベルアイアンマン VR』。
タイトル通り、マーベルのアーマードアベンジャー“アイアンマン”となり、悪の組織とド派手なバトルを繰り広げるアクションゲームだ。PS VRはもちろん、PlayStation Move モーションコントローラを2台使って操作するという、パッと見、
「うげー……! めっちゃ操作が複雑かつ煩雑そうなんですけど……」
とげんなりしそうな仕様なのだが……。
冒頭をチョロっと遊んだだけで、俺はひとつの確証を得た。それは……!
「これ……もしかしたら、家庭用VRゲームのひとつの答えかもしれないぞ……!」
『マーベルアイアンマン VR』から得られた体験は、衝撃と驚愕に彩られていた。このクオリティー、この遊び方だったら、アミューズメント施設にある大型筐体のそれに匹敵するかもしれないわ……。
空を飛びたい夢が叶う
そもそもアイアンマンは全身をパワードスーツで覆っているので、ヘッドセットを装着するPS VRと相性がいい。だってそれだけで、アイアンマン気分になれるから。加えて、アイアンマンのテクノロジーとPS VRの仕様が絶妙にリンクしていて、何とも言えないリアリティーを感じさせてくれるのがタマラナイのである。
アイアンマンは、両手のひらから“リパルサー・ジェット”を噴射して大空を自由に飛び回る。これを忠実に、超絶リアルに再現したのが、両手に持つPlayStation Move モーションコントローラだ。
↓これは実際に『マーベルアイアンマン VR』で遊んでいるところを撮影した写真なんだけど、
基本、その場に直立したまま、両手のモーションコントローラから発射されるリパルサー・ジェットの方向により、360度の世界を縦横無尽に駆け巡ることができる。たとえば、前方に進みたいときは両手を後ろに回してリパルサー・ジェットを噴射。
これで、ズビューーーーンと前に向かって飛ぶことが可能だ。また下降したければ、バンザイの状態で天に向かってリパルサー・ジェットを出せば、ギュイイイインと下に降りていくことができる。左右の移動も、これの応用。非常に繊細な移動ができるので、意のままに動くにはコツとカンが必要だけど、慣れていく過程がすでに楽しいんだからたまらんよ。
マンガやアニメの影響で、
「超能力で飛ぶことができたらなぁ……」
とか、
「舞空術を使えるようになりたい!」
なんて、大人になったいまも思うことがあるけど、
「その夢をもっともリアルに、そして簡単に叶えてくれるのが『マーベルアイアンマン VR』だ!!」
と断言しても、決して言い過ぎとは思わない。
……そう、本当に飛べるんだよ! ギュインギュインって自由に、好きな場所に向かってさ!!
ぜひ触ってほしい!
何よりミソなのが、この自由かつ大きな移動を“ほぼ直立したまま”可能にしているところだ。
アミューズメント施設と家庭用VRの大きな違いは、前者は“みずからの足を使った移動も体験に含まれている”のに対し、後者は基本“移動はコントローラーのアナログスティック”で行わざるを得なかったこと。
せっかくバーチャルな空間に飛び込んだのに、移動は超ゲーム的なコントローラーで行うのかよ……ってところで現実に引き戻されることが多かったんだけど、『マーベルアイアンマン VR』は見事に、この問題を解決している。それも、アイアンマンの世界観をそのまま利用して、だ。
歩かずとも、動かずとも、格別の浮遊感と躍動感を感じられる驚くべきゲームデザイン。この体験をするだけでも、『マーベルアイアンマン VR』を買う価値があると断言したい。このゲームをヒントに、もっとたくさんのVR対応ゲームが開発されたら……今度こそ、正真正銘の“VR元年”が来るかもしれない。それくらいの説得力を持ったゲームだと思う。
もしも一度でも「空を飛びたいな」と思ったことがあるなら。そして、PS VRを持っているなら。まずは体験版からでも遊んでみてほしい。きっと、
「なるほど! これがVRか!!」
と、目からウロコが落ちると思うので。
商品概要
マーベルアイアンマン VR
■発売予定日:2020年7月3日(金)
■価格:
▶︎Blu-ray DiscTM版
希望小売価格 4,900 円+税
▶︎ダウンロード版
・通常版販売価格 5,390 円(税込)
・デジタルデラックス版販売価格 6,490 円(税込)
■ジャンル:アクションアドベンチャー
■対応機種:
PlayStation 4、PlayStation 4 Pro
※PlayStation VR および PlayStation Move 2 台必須
■プレイヤー人数:1人
■CERO:A(全年齢対象)
■詳細:
https://www.playstation.com/ja-jp/games/marvels-iron-man-vr-ps4/
※「PlayStation」および「プレイステーション」は株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標または商標です。
※「Blu-ray Disc」は、ブルーレイディスクアソシエーションの商標です。
© 2020 MARVEL ©2020 Sony Interactive Entertainment LLC. Developed by Camouflaj.