ジタンがカッコいい、という話
そして、なにより主人公のジタン・トライバルに魅せられた。彼がビビやダガーにかけるセリフはとても優しく、勇気を与えてくれる。
物語はジタン、ビビ、ダガー、それからスタイナーたちがひとつの演劇で一同に会したところから運命が交錯していく。その中で、ジタンはどんなときもカッコよく(ギャグもあるが)、周りの人物を強く引っ張っていく。その姿に、まぶしさを覚えたほどだ。
彼の優しさは細かいところに現れていて、たとえばビビや、しゃがみこんでしまったダガーに対して、同じ目線まで腰を落として会話をする。そして、勇気の出る言葉を与えてくれるのだ。
このカッコよさと、優しさ。男子があこがれるには十分すぎるほどの男なのは間違いない。
また、彼を語るうえで外せないエピソードはこれだ。
「どうしてついて一緒に来てくれたの?
と問いかけるダガーに対して
「そいつは……
イプセンの言ったセリフだ
と、とある話を引用しはじめる。
イプセンとコリンというふたりの友人がいた
ふたりはトレノの館で働いていた
ある日、イプセンのもとに、手紙が届く
けれどその手紙は雨にぬれたか何かで
ほとんど読めなかった
かろうじて読めたのは“家に戻れ”ということ
今でこそ、飛空艇があるから移動は楽だけど
そんなの、なかった頃の話さ
なぜだかわからないまま
イプセンはひまをもらい
旅のしたくをして、旅立った
川を越え山を越え、“霧”を越える旅
モンスターに襲われることがあっても
コリンとふたりなら、なんとかなった
こうして幾日かすぎたある日
ふとイプセンが気付いてコリンに聞いたんだ
『おまえ、どうして来たんだ?』
「……コリンは
なんて答えたの?
「『お前が行くって言ったからさ』
以上が不安を抱えて弱音を吐くダガーに、ジタンが行ったやりとりだ。
こんなセリフ、この男でなければ言えないだろう。
自分の言葉ではなく、引用した言葉で答えを返すところがニクい。
演劇で結びついたふたりだからこそ、こういったやりとりができるのだろうか。『FF9』は、スタイナーとベアトリクスのシーン然り、多くの場面で演劇調のやりとりが現れ、大いに気分を盛り上げてくれる。
こんな風に熱くカッコいいジタンだからこそ、終盤にかけて自身の出生の秘密を知った後の展開が光る。彼もまたビビや他の面々と同じように、「生命」について大きな壁にぶつかることになる。
「独りじゃない」が流れる屈指の名シーン! 続きは次のページへ!!