俺もゲームクリエイターになりたい!
2月の初旬だろうか。ご近所にある量販店に“ゲーム漁り”に行った。
ふだん、ネットや雑誌、ゲーム機から飛べるネットショップで情報を得て“つぎにプレイするゲーム”を見定めている俺ではあるが、ときたまこうやってゲーム販売店の店頭に足を運び、“生の感覚”でアレコレと物色することがある。書籍や音楽CDを買うとき、店頭に置かれている手書きのポップやポスターを見て食指が動くことがあるが、ゲームを買うときもこの感覚って、なるべく忘れたくないと思っているのだ。本来、その手の指標を提示するのがメディアの人間の役割だけど、発売されるすべてのゲームに触れられない以上、アンテナはいろいろなところに伸ばしておきたいのだよ。
さてその日。プレイステーション4の棚に接近した俺の目に、つぎのような手書きポップのキャッチコピーが飛び込んできた。
“おもしろい作品がないなら、自分で作っちゃえ! 簡単に何でも作れるツールがPS4に登場! 生半可じゃない作品がマジで作れます!”
わずか50文字ほどの中に、“作”という漢字が5つも登場する押しの強いキャッチコピー。どうやらよっぽど、“作”ってことを強調したいらしい。
“作”がゲシュタルト崩壊しかけた俺だったがついつい興味を惹かれ、そのゲームのパッケージを手に取ってみた。
「ドリームズ……ユニバース……?」
記憶の奥のほう……ダンジョンで言ったら、突き当りの壁を殴って出てきた秘密の通路……ってくらい奥まったところに、この名前が確かにある。そうだ……! ずっと以前に、話題になっていたぞコレ。『ドリームズユニバース』のエディット機能で名作ゲームにソックリなクローンがいくつも作られて、ネットを賑わしていたわ!!
“ハクスラを作る”という壮大な夢
じつは俺、こう見えて、クリエイト系のゲームやサンドボックス(『マインクラフト』に代表される、自分でモノを作ったり、目的を決めて遊ぶゲームのこと)は大好物だ。古くは、『RPGツクール』シリーズや『ダンジョンクリエイター』(初代プレイステーションで発売された、3DダンジョンRPGを作れるソフト)、最近も『テラリア』やら『ドラゴンクエストビルダーズ』やら、何かを“作る”ことが目的のゲームには片っ端から手を出している。そんな俺ならば……『ドリームズユニバース』は、神ゲーになるに違いない!!
プレイステーション4にディスクをセットしながら、俺はグフグフグフと笑った。
「さあて、どんなゲームを作ろうかなww やっぱり俺は……『ディアブロ』的なゲームがいちばんの好物だから、オリジナルのハック&スラッシュを作っちゃおうかな!!www いやあ、考えただけで楽しいねえ!!!」
自分でデザインした広大なダンジョンで、剣を振るい、ド派手な魔法をぶっ放すオリジナルキャラを想像してニコニコと笑っていた時代が……確かに俺にもありました(遠い目)。
必要なのは……折れない心!
『ドリームズユニバース』の評価は、非常に高い。制作したのは、自分でステージをクリエイトする楽しさを前面に押し出した『リトルビッグプラネット』で知られるイギリスの開発会社“Media Molecule”で、そういう意味ではこの手の作品のノウハウはたっぷりあったというわけだ。この『ドリームズユニバース』は、“できること”をさらに発展させ、ゲームはもちろんアニメや音楽、アートなんかも作れちゃうってんだからたまらないではないか。
ではでは講釈はこのへんにして、さっそく『ドリームズユニバース』を起動してみよう。
続いて……当たり前のようにチュートリアルに入る。
こういったゲームでいちばんのネックになるのは……“覚えることが膨大にありすぎる”ってこと。実際のゲーム作りに比べたらメチャクチャ簡素化されているのは素人でもわかるが、それでも、煩雑化することは避けて通れない。そして『ドリームズユニバース』においても、その呪縛から逃れることはできていないと思う。
とにかく、操作を覚えるだけでひと苦労だ。
……『ドリームズユニバース』を遊んでいる方はすぐにわかると思うが、ここで使っているスクリーンショット、序盤も序盤のものだ(苦笑)。40代も後半になると、若かりしころと比べて物覚えが絶望的に悪くなり、空間把握能力も著しく減退するので、オブジェクトを作ったり、配置したり、コピーしたり……という基本的な操作を身に付けるだけでドエライこと!!! そりゃあ年を取ったら転職も難しくなるよなぁ……ということを、『ドリームズユニバース』の序盤を触って痛感しました(泣)。
それでもがんばっていると……↓こんな作品が作れるようになる!!!
……まあ、俺が作った作品じゃないけど(当たり前だが)。
『ドリームズユニバース』では、世界中のプレイヤーが作った作品がオンライン上で共有されており、自由に見たり、触ったりすることができる。このスクショも、無数にある作品の一部なんだけど……ホントに俺もめげずに続けていたら、こんな凄まじいゲームが作れるようになるのか!?!
いや、なるんだろうな。これまで触ってきた、どのクリエイト系のゲームもそうだったし。
いちばん大事なのは、折れない心。
少しずつノウハウを積み上げて、いつか夢と希望のハック&スラッシュを完成させて、オンラインで共有したいと思う。
ちなみに。
俺が『ダンジョンクリエイター』で作ったゲームは、ダンジョンの1階から魔王みたいに強いザコがウヨウヨ出てきて(バランスを間違えていたらしい)誰ひとり先に進むことができず、
「クソゲーの見本……」
の烙印を押されて永久に封印されたのでした^^;
大塚角満(おおつか・かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。 |