By まつがん
恒例の宣伝からだが、皆さんは先週発売したコロコロコミック3月号はもう入手されただろうか?
デュエル・マスターズの原作コミックが読めることはもちろん、その他デュエマに関する最新情報も色々と掲載されている。ぜひとも手に取ってみて欲しい。
新しいパックが発売するなどしてカードプールが増えたタイミングは、デッキビルダーにとってデッキを作る絶好のチャンスと言える。
だがだとしても、増えたカードプールの中からデッキの軸になるようなカードを探し当てる作業はなかなかに困難だ。
そういうとき、どういったカードを探せばいいだろうか?
私の場合、「不可能を可能にするカード」を探すことにしている。
それも今まで無理難題だった部分を解決しているような、常識から外れたカードであればあるほど良い。
以前どうしてもできなかったことができるようになるというのは、今まで道がなかったところに新しく道ができるのと同義なので、それによって新たなコンボやシナジーが誕生する確率が高いからだ。
では、先月発売した「謎のブラックボックスパック」で新たに収録されたカードの中で、最も「不可能を可能にするカード」にあたりそうなのはどれだろうか?
そう考えたとき、私は1枚のカードに行き当たった。
《友情の誓い》。このカードこそ最も「不可能を可能にするカード」と呼ぶにふさわしいだろう。
なぜなら、「多色のカードはマナゾーンにタップして置かれる」というのはデュエル・マスターズのルールにおける根幹部分であるし、多色のカードは効果が強力なものが多いけれどもそれだけデッキに積んでいると毎ターン1マナずつ損をすることになってしまうというジレンマがあるところ、《友情の誓い》さえ設置できればそんな悩みとは一切無縁のプレイが可能となるからだ。
ということはすなわち、《友情の誓い》の登場によってデッキ内のほとんどを多色のカードにしてデッキを組むことすらできるようになったということを意味している。
だが、デッキ内を多色のカードだらけで固めることができると何が起こるというのだろうか?
デッキに単色のカードをほんの少ししか入れない状態で《暴力類 アバレマックス》を出したら何回に一回かは超大量マナブーストして勝てるのでは?????
そう、《暴力類 アバレマックス》が本気を出すときが来たのである。
《暴力類 アバレマックス》というカードは、出したときに山札を「単色のカードがめくれるまで」表向きにし、表向きにしたカードがすべてマナゾーンに置かれるという効果を持っている。すなわち、山札の中の単色カードが少なければ少ないほどマナブースト枚数の期待値が上昇することになるので、デッキ内を多色のカードばかりで固めれば、《龍仙ロマネスク》も真っ青の6マナ10+ブーストが可能になるのである。
さらに《友情の誓い》が設置してあればそれらの多色カードはすべてアンタップするので、手札にフィニッシャーがいれば《暴力類 アバレマックス》を出したターン中にそのままゲームを決めることすら可能となる。
そう、現代デュエル・マスターズに対抗するためにはやはり「暴」の力が必要なのだ。相手の《MEGATOON・ドッカンデイヤー》よりも早く《暴力類 アバレマックス》を着地させ、「デイヤー!!!」と叫んで山札をマナゾーンに丸ごとダンクシュートするのが最先端TCGを嗜む優雅な知性の発露 (?) である。
だが、「《友情の誓い》+《暴力類 アバレマックス》」というデッキコンセプトが決まったところで、デッキの完成までにはまだ超えなければならない2つのハードルが残されていた。
1つ目は、「フィニッシャーを何にするか」という問題である。
《暴力類 アバレマックス》の問題点は、山札の順番を仕込まない限り「何枚ブーストできるか」=「山札が何枚残るか」が一定しない点にある。つまり、《水上第九院 シャコガイル》をフィニッシャーとして採用できないのだ。これは山札を一気に消費する系のコンボにおいて致命的な弱点と言えた。
さらに、《暴力類 アバレマックス》の能力の条件上、「デッキ内のほとんどは多色のカードしか採用できない」という点もフィニッシャー選びをさらに難しくしていた。そうである以上、フィニッシャーそのものは単色で妥協したとしても、フィニッシャーを探すカードやフィニッシャーと組み合わせてエクストラウィンを実現する脇のカードなどにも多色縛りがかかってきてしまう。
何か、何か勝ち手段はないのか。
必死になってカードリストを見直したものの、多色のエクストラウィンは《ケロヨン・カルテット》くらいしかない。大量のマナが用意できるのに、せいぜい手札にキープしたクリーチャーを1体出すことくらいしかできそうもない。そして出すだけで勝利がほぼ確定するようなクリーチャーは、デュエル・マスターズの長い歴史の中でもさすがに存在はしていそうもなかった。
だが、そこで私の脳裏に天啓が訪れたのである。
出すだけで勝利がほぼ確定するようなクリーチャーは、確かに存在しないかもしれない。
けれども、唱えるだけで勝利がほぼ確定するような呪文ならば、存在するのではないか?
そう、《轟破天九十九語》だ。
《轟破天九十九語》なら唱えた時点で相手のマナゾーンは大体再起不能になる。あとはそこから発生する原始の殴り合いに勝利できるかどうかだが、あらかじめマナゾーンに《リュウセイ・天下五剣カイザー》さえ仕込んでおけば、まず負けることはないだろう。
こうして1つ目のハードルはクリアされた。だが、まだもう一つのハードルが残っている。
2つ目のハードルは、「どうやってデッキ内の単色カードを限界ギリギリまで削るか」だ。
現在のコンセプト設計をデッキリストとして仮組みするなら、以下のようになる。
『サンプルデッキ』
《暴力類 アバレマックス》 | |
《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》 | |
4 | 《リュウセイ・天下五剣カイザー》 |
《友情の誓い》 | |
24 | なんか多色のカード |
《暴力類 アバレマックス》はまず引かないとゲームが始まらない。そして《暴力類 アバレマックス》を出す際には、なるべく《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》を手札に持っておきたい。もし《友情の誓い》が設置できている状態で10枚ブーストできたならそのまま唱えられるかもしれないからだ。
だが他方で、8枚もの単色のカードが入っていると、《暴力類 アバレマックス》のマナブーストは期待値的にはせいぜい5ブーストが関の山ということになってしまう。
すなわちここにおいては、「《暴力類 アバレマックス》と《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》は確実に引き込みたい」という要請と、「単色のカードは減らしたい」という要請がジレンマを引き起こしているということになる。
では、このジレンマを解消するにはどうすればいいか?
簡単だ。《暴力類 アバレマックス》と《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》の枚数を減らし、代わりにクリーチャーをサーチできるカードを入れればいい。
《ディメンジョン・ゲート》はデッキ内の好きなクリーチャーを探してこれるので、唱えた時点でデッキ内の単色カードの枚数が1枚減ることが確実となることはもちろん、デッキ構築の段階でも実質的にスロットを節約する役割を果たす。
『A』
《暴力類 アバレマックス》 | |
《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》 |
『B』
2 | 《ディメンジョン・ゲート》 |
《暴力類 アバレマックス》 | |
《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》 |
BはAに対して2枚少ないスロットしか割いていないが、《ディメンジョン・ゲート》を唱えるターンを無視すれば、どちらも「《暴力類 アバレマックス》が4枚入っていて」「《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》が4枚入っている」という状態を実現できている。これにより、デッキ内の単色のカードは8枚から6枚まで減らすことが可能になった。
だが、これでもブーストの期待値はまだ6~7枚程度である。ここでもし多色の《ディメンジョン・ゲート》が存在するなら、デッキ内の単色のカードを4枚にまで減らすことができるので、《暴力類 アバレマックス》からのダイレクト《轟破天九十九語》が現実味を帯びてくるところなのだが……。
まさかいくらなんでも……そんなカードが存在するはずが……?
あった。《爆熱 タイガー・ヴァーム》だ。
このカードを発見したときの衝撃と感動が伝わるだろうか?
「山札からクリーチャーを探す」という機能についてのみ見たとき、《爆熱 タイガー・ヴァーム》は《ディメンジョン・ゲート》のほぼ下位互換である。多色クリーチャーがいたときだけ墓地回収がプラスされて効果が強まるものの、単体としては「1マナ重く」「多色でタップインの」《ディメンジョン・ゲート》でしかない。
だからトーナメントでは誰も使っていないし、私もこのデッキを作ろうと思うまでこのカードの存在を知らなかった。
だが、《暴力類 アバレマックス》のデッキで使おうと思う限り、《爆熱 タイガー・ヴァーム》は《ディメンジョン・ゲート》の上位互換なのである。
《爆熱 タイガー・ヴァーム》が存在しているから、単色のカードを限界ギリギリまで削ることができる。《爆熱 タイガー・ヴァーム》だから、《暴力類 アバレマックス》からの《轟破天九十九語》という荒唐無稽なコンセプトを実現可能にしてくれる。それはすべて、《爆熱 タイガー・ヴァーム》が多色という個性を持っていればこそだ。
すべてのカードには唯一無二性がある。
大抵の場合、そうした唯一無二性は評価に結びつかない。だがデッキを作っているとごく稀に、まるでこのときのために用意されていたと錯覚するような唯一無二のカードに出くわすことがある。《爆熱 タイガー・ヴァーム》との出会いは、その貴重な実例と言えた。
というわけでできあがったのがこちらの「友情アバレ轟破天」だ!
『友情アバレ轟破天』
《暴力類 アバレマックス》 | |
《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》 | |
4 | 《虹色妖精ポミリン/レイニー・アトラス》 |
《爆砕面 ジョニーウォーカー》 | |
4 | 《電脳鎧冑アナリス》 |
4 | 《フェアリー・シャワー》 |
4 | 《爆熱 タイガー・ヴァーム》 |
4 | 《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》 |
4 | 《天命龍装 ホーリーエンド/ナウ・オア・ネバー》 |
4 | 《リュウセイ・天下五剣カイザー》 |
4 | 《友情の誓い》 |
超GRゾーン | |
2 | 《全能ゼンノー》 |
2 | 《シェイク・シャーク》 |
2 | 《防護の意志 ランジェス》 |
2 | 《甲殻 TS-10》 |
2 | 《破邪の意志 ティツィ》 |
2 | 《バツトラの父》 |
ちなみに最後に一応言っておくと、このデッキを使うにあたっては《友情の誓い》をゲーム開始時に設置することがほぼ前提になっているので、デュエル・マスターズ2の精神でどうにか上ブレヤッホーしていただきたい。
ではまた次回!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。