By ドブフクロウ
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。
今月初頭にグランプリ・名古屋2020が幕を閉じ、それに伴ってパイオニアシーズン(?)も一段落ついて、全国各地で続々とスタンダードのPTQが開催されています。『テーロス還魂記』によってリリースされた新カードも非常に活躍しているようです。
特にこのカードがすんごい強いそうな。昨シーズンまでスタンダードで使用できたセット『ドミナリア』では《最古再誕》という「英雄譚」が活躍していましたが、この《エルズペス、死に打ち勝つ》はさながら《最古再誕》の白バージョンといったところでしょうか。盤面に干渉しながら着実にアドバンテージを稼ぐことができる優れたカードです。
また、昨晩には衝撃的なニュースも発表されました。
Hasbro’s CEO says that MTG Arena will move to mobile in 2020! More info at Toy Fair #MTG #MTGArena
— Hipsters of the Coast (@HipstersMTG) February 11, 2020
訳:「ハズブロ(Wizards of the Coastの親会社)のCEOは、2020年のうちにMTGアリーナをモバイル版に移行すると述べています!」
もしもこのツイート通りのことが実現したならすごいことですが、この声明を受けたファンの間では「大量のトークンが並んでいたり、大量の誘発型能力がスタックに乗った際の処理をスマートフォンで操作するのは大変そう……」なんてツイートも見られます。そのへんはどんなふうに解決するんだろうなぁ……。
手軽にMTGアリーナをプレイできるようになったら夢のようですよね。実際に移行するのはまだ先のことになるでしょうが、楽しみに待ちたいところです。
SCG Team Open Philadelphia
今回ご紹介するのはアメリカ・ペンシルベニア州フィラデルフィアで開催されたSCG Openの大会結果……と言っても、最近マジックを始めた方にとっては、SCGという名前に馴染みがない方も多いかも知れませんね。
SCGとはStarCityGamesの略で、アメリカにある大手カードショップ兼イベントオーガナイザーです。SCGが独自に開催している「SCGツアー」と呼ばれるトーナメントシリーズはアメリカのみならず世界でも最大級の規模のトーナメントで、毎週のようにハイレベルな戦いが繰り広げられています。アメリカはもちろん日本のプロたちも、デッキ調整の際にはSCGの大会結果を参考にしていることが多いですね。
そんなSCGでは、先ほどご紹介した《エルズペス、死に打ち勝つ》を使用した青白コントロールが流行の兆しを見せているとか。どのようなデッキなのか、さっそくリストを見ていきましょう。
白青コントロール(使用者:Zach Allen選手) | |
---|---|
枚数 | カード名(メインボード) |
3 | 《アーデンベイル城》 |
1 | 《ヴァントレス城》 |
1 | 《廃墟の地》 |
4 | 《神聖なる泉》 |
8 | 《島》 |
4 | 《平地》 |
4 | 《啓蒙の神殿》 |
3 | 《夢さらい》 |
3 | 《覆いを割く者、ナーセット》 |
4 | 《時を解す者、テフェリー》 |
2 | 《ドビンの拒否権》 |
4 | 《吸収》 |
2 | 《薬術師の眼識》 |
4 | 《空の粉砕》 |
1 | 《ガラスの棺》 |
4 | 《海の神のお告げ》 |
4 | 《メレティス誕生》 |
4 | 《エルズペス、死に打ち勝つ》 |
枚数 | カード名(サイドボード) |
4 | 《霊気の疾風》 |
2 | 《敬虔な命令》 |
1 | 《ドビンの拒否権》 |
2 | 《払拭の光》 |
3 | 《神秘の論争》 |
1 | 《旋風のごとき否定》 |
2 | 《太陽の恵みの執政官》 |
こちらは古式ゆかしい(?)白青コントロール。古式ゆかしいとか言っておきながら実は『エルドレインの王権』環境ではなかなか芽が出ていなかったのですが、友好色の占術ランドである《啓蒙の神殿》と、除去耐性を持ったフィニッシャーである《夢さらい》が新たに追加されたことでトップメタに君臨するようになったようです(環境初期なのでトップメタと言っていいのかも微妙ですが……)。
特に《夢さらい》は非常に強力で、さながらかつてスタンダードで活躍していた強力クリーチャー、《悪斬の天使》と《龍王オジュタイ》を足して2で割ったような性能と言えます。絆魂もあるためアグロ耐性も高く、まさにコントロールのために生まれてきたような存在と言えるでしょう。《エルズペス、死に打ち勝つ》の3章でリアニメイトする先としてもぴったりです。
また、新カードの《海の神のお告げ》も超強力なドロー呪文です。かつてスタンダードの青いデッキを支え、モダンでは禁止カードに指定されている《定業》と同等のETB能力を持ち、しかもこちらは瞬速持ち。マナコストも2マナと、《定業》よりは重いものの十分構築で採用できるマナコストです。まさかスタンダードで再び《定業》ができるとは思っていなかったので、これは俺得……。
さらに《海の神のお告げ》はソーサリーやインスタントではなくエンチャントなので、《時を解す者、テフェリー》でバウンスして使い直すことも。5マナある状況であれば《海の神のお告げ》プレイ+ETB能力解決前に起動型能力を起動して占術2+占術2+1ドローもできます。
他にも『テーロス還魂記』では久しぶりの4マナラスゴ(すべてのクリーチャーを破壊するソーサリー呪文。《Wrath of God》の略から)《空の粉砕》も出ました。撃たれた側のアドバンテージの損失を補填してしまう事実上のデメリット能力も付いていますが、それでもラスゴはラスゴ。当然白青コントロールでは4枚採用されています。
懐かしのデッキも復権している『テーロス還魂記』環境。今後スタンダードが研究されるにつれ、他のデッキも増えていくことでしょう。個人的には「黒単信心」を組んでみたいのですが、まだ目立った結果は残せていないようです……とはいえ《アスフォデルの灰色商人》のポテンシャルは今さら疑う余地もありませんし、こちらも今後に注目していきたいところですね。
ライター:ドブフクロウ
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。
MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。
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