By まつがん
デュエマにはバグがある。
否、もちろんルール上認められた正式な挙動ではある。しかしどう考えてもバグとしか思えないのだ。
「マナゾーンからクリーチャーが出たとき、タップしていたとしてもアンタップ状態で出る」というのは。
たとえば《生命と大地と轟破の決断》で2体の《BUNBUN・ヴァイカー》をマナゾーンからバトルゾーンに出したとき、仮に《生命と大地と轟破の決断》を唱えるためにマナゾーンでタップしていたとしても、2体の《BUNBUN・ヴァイカー》はアンタップ状態でバトルゾーンに出ることになる……というのがデュエマのルールだ。
とはいえ、それ自体は何ら問題があるわけではない。だが「アンタップ」という位相がエネルギーを持っていると仮定した場合、《生命と大地と轟破の決断》を唱えることによって無から有が生まれていることになる。
もちろんマナゾーンでタップしていたクリーチャーがアンタップ状態で出たからといって、通常このエネルギーを生かす手段は「攻撃」しか存在しない。
だが、もしこのセキュリティホールを突いたデッキが作れるとしたら?
すなわち、アンタップという位相にエネルギーを持たせるカードがあるとしたなら。
無から有が生まれる。つまり、デュエマがバグるのだ。
《カエルB ジャック》はクリーチャーをタップすることで呪文のコストを軽減することができるようになる能力を持っている。
すなわち、これさえ出ていればバトルゾーンのクリーチャーをマナとしてカウントできるようになるので、マナゾーンからバトルゾーンにクリーチャーがアンタップして出てくるというのは、実質的にはマナがアンタップしているのと同義になるのである。
となればここで、一度に複数体のクリーチャーをマナゾーンから引っ張り出すことができれば、《ボルバルザーク・エクス》もびっくりのマナ踏み倒しが可能になるのではないか。
そう。
《轟破天九十九語》でマナから引っ張り出したクリーチャーを《カエルB ジャック》でタップしたら実質マナが2倍使えるのでは???
……。
…………。
そんなことする必要ある?とかそれって無から無が生まれているだけでは?などと冷静に思われた方は脳の働きが正常である。そう、ただ勝つためだけならこんなことをする必要は一切ない。
だが、それはそれとして何かしらバグった挙動ができることがわかっているのであれば、デッキを作らずにはいられない。それがデッキビルダーの性というものなのだ。
そんなわけで一切の正気をあえて排除して、《カエルB ジャック》から《轟破天九十九語》を打つことで勝利するデッキを狂気のままに考えてみることにしよう。
まず《ザパンプ》と《ラブ・エルフィン》は、呪文を唱えるためのコストを軽減できる上にクリーチャーでもあるから、《カエルB ジャック》がいる状況における呪文との関係では2マナブーストに相当するアクションとなる。
文明もちょうど水と自然なので、初動として最適と言えるだろう。
だが、「《ザパンプ》 or 《ラブ・エルフィン》→《カエルB ジャック》→……→《轟破天九十九語》」というラインが定まっていたとしても、よく考えてみると《轟破天九十九語》だけではゲームに勝利することができない。
すなわち、別途何か勝ち手段が必要なのだ。
しかもここで言う「勝ち手段」とは、いくら《カエルB ジャック》を使うとはいえ《轟破天九十九語》を唱えられるターンは相当に遅いであろうことを考えると、できれば《轟破天九十九語》を唱えたターンにそのまま勝てるようなものが望ましい。
しかし、《轟破天九十九語》でマナから出てきてすぐ勝てる……デュエル・マスターズにそんな都合の良いカードが存在するのだろうか?
あった。《偽りの名 iFormula X》だ。
「蓄積祭り」でも使用したこのカードは、手札枚数と自身のタップという、《水上第九院 シャコガイル》ほどではないにせよかなり緩い特殊勝利条件を持っている。しかも《カエルB ジャック》を搭載したこのデッキなら、タップの条件を達成するのは極めて容易い。
だがだとしても、手札10枚以上という条件はどのように達成するというのか?
そこで《知識の包囲網》の出番だ。
まずバトルゾーンに《カエルB ジャック》とマナゾーンに《偽りの名 iFormula X》、そしてそれに加えて水文明でクリーチャーではないカードを1枚マナゾーンに用意し、そのクリーチャーではないカードだけはタップせずに《轟破天九十九語》を唱える。
すると《偽りの名 iFormula X》と一緒に大量のアンタップ状態のクリーチャーがバトルゾーンに出るので、《偽りの名 iFormula X》を含めてタップすることで《カエルB ジャック》で大量に呪文コストを軽減しつつ、タップしなかったマナを文明色として支払って《知識の包囲網》を唱えられる。
ここで2枚目の《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》を見せられれば10枚ドローで即勝利というわけである。
1ターンに17マナも使って勝利するという常識的には成立しないプランではあるが、「マナゾーンからクリーチャーが出たとき、タップしていたとしてもアンタップ状態で出る」というデュエマのバグを《カエルB ジャック》で悪用することにより無から有が生まれ、実質9マナ分くらいで勝てるようになるのである。
というわけでできあがったのがこちらの「フォーミュラ包囲網」だ!
『フォーミュラ包囲網』
《ラブ・エルフィン》 | |
《ザパンプ》 | |
4 | 《カエルB ジャック》 |
《カワモリデン/リーフストーム・トラップ》 | |
4 | 《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》 |
4 | 《偽りの名 iFormula X》 |
4 | 《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》 |
4 | 《超GR・チャージャー》 |
4 | 《ガチャマリン・チャージャー》 |
4 | 《知識の包囲網》 |
超GRゾーン | |
2 | 《天啓 CX-20》 |
2 | 《サザン・エー》 |
2 | 《マリゴルドⅢ》 |
2 | 《クリスマⅢ》 |
2 | 《マジカルイッサ》 |
2 | 《全能ゼンノー》 |
???「ちょっとちょっと、デュエマのバグなんて探してないでまともにデッキを作ってくださいよ!」
そ、その声は!?
ラップ仙人としてカード化したばかりのデッドマン!!(このダンスはなんか嵐がどうのとか言ってたけど何なんだろう……?)
デッドマン「すぐデュエマをバグらせたがる研究仙人のために、また新しいカードを持ってきましたよ!」
はたしてデッドマンが持ってきてくれたカードとは!?
次回に続く!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
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