ゾイド生みの親徳山氏5656万字!?限界ロングインタビュー 第6回

初代『ゾイド』開発秘話編第2弾!

試行錯誤の立ち上げを経て、レッドホーンの開発へ

 初代『ゾイド』を手掛けたレジェンド、徳山光俊さんのインタビュー第6回!
 前回から初代『ゾイド』開発秘話編に突入、徳山さんの子供時代に始まり、トミー入社当時までの話をおうかがいした。
 幼い頃から恐竜もメカも大好きだった徳山さんが、やがて『ゾイド』の前身『メカボニカ』と出会うのは、運命だったのかも!?
 今回はいよいよ、初代『ゾイド』の誕生に迫る!

──旧トミー時代、2代目会長の富山允就さん(故人)が全社を挙げて面白い玩具を作ろうと、開発部門だけでなくすべての部署から、あるいは新人からも企画を募った。それ自体すごいことでしたけど、このアイデアコンテストに出した徳山さんの企画書が『ゾイド』の出発点なわけですから、今思えば大きな一歩ですよね。
 
徳山 それでね、『ゾイド』チームを若手で結成しようっていう話になったんですよ。そのときに、今の商品もやってるエンジニアの二階堂(輝夫)と、僕の同期のデザイナー藤野(凡平・故人)の三人でスタートしたんです。そして、1983年に向けて『ゾイド』をデビューさせないといけない、ということになった。そこで急ぎ、惑星ゾイドがあって、地球人が発見して、また飛来して帝国と共和国になって……みたいなストーリーを三人で考えたんですね。オリジナルの玩具であってアニメじゃないから、ストーリーはパッケージの裏に入れるしかないんですけど。でもそこに載せるために考えた。
 ただね、このパンフレットが最初のラインナップなんですけど、実はまだ敵メカがいないんですよ。僕らは若者なりに考え抜いて、一応敵と味方っていう設定を作ったんですけど、「できるわけないじゃないか」と思えるほど時間がなくって。とにかく制作が間に合わないんですよ(笑)。それで我々は知恵を絞ったんですけど……今だからこそけっこう面白いと言えるんですけど、少しいじるんですよ(笑)。

▲『メカボニカ』のメカギラスを流用した初期ゾイドのガリウス(左)。その発展型がゴドス(右)で、ストーリーの設定上も、玩具の構造としても、ガリウスをもとに改良したもの。

──いじる、というと……?

徳山 そこで僕らは原型となる『メカボニカ』を一生懸命いじるんです。例えば、「グライドラー」に、羽をここにつけて「ペガサロス」って名前にしたりとかですね。いろいろ見ると、メカボックス(※1)なんかも、あれとあれが同じ、みたいなものが多いんですよね。あんまり言えないんですけど……今はもう時効ですかね(笑)。

──(資料を見て)なんとなくパーツは流用して改造しているような……(笑)。

徳山 「ゾイドを改造して楽しみましょう」という投げかけはシリーズの立ち上げからユーザーのみなさんに向けてやっていたんですけど、そもそもの商品自体が改造の賜物だった(笑)。だから……さっき「ワイルドライガー」で、僕がやったコンセプトのデザインを、若手が最終的な形に仕上げるって話をしたじゃないですか。当時の僕らも、先輩が作っているメカボックスとかを継承して、最終的な『ゾイド』に仕上げていたんですよね。“ものさし”みたいなものをお預かりして、僕らなりにソフトをつける。継承して、ものさしを共有するっていう意味では、結局同じことを僕らもやってたんだなって思いました(笑)。
 あとこの大型の「ビガザウロ」なんですけど、これはもともとアメリカ向け『メカボニカ』である『ZOIDS』の予備軍で、ロールアウト寸前だったんです。たぶん当時これを見ることができていたのは僕だけだったんじゃないかと思うんですけど。それを『ゾイド』用に持ってきたんです。

▲アメリカで日の目を見る寸前、急遽『ゾイド』の目玉として日本向けに登場したビガザウロ。初の電動ゾイドで大型だったこともあり、世間に与えたインパクトは大きく、人気を博した。

──ビガザウロは大型のゾイドで、初期の目玉商品でしたよね。(ここで初代『ゾイド』のCMを見ることに)このCMもよく覚えてます。「メカ生体、ゾーイードー」って。



記念すべきシリーズ初CM 。ゾイド公式サイトで鑑賞できるぞ!

徳山 アメリカ向けじゃないんで、そのときにはもう「メカ生体」っていう名前は決まってましたね。そんなこんなで、僕らは1983年のデビューに向けて、いろいろ突貫工事を行うわけです。パッケージも急がなければいけないということでアメリカ版に戻して、名前もアメリカ版『メカボニカ』の名称だった『ZOIDS』と同じ『ゾイド』にしました。ゴロがよかったんで。
 で、カタログに載った写真が、記念すべき最初のジオラマでした。あまり素材がなく、トミーのスタジオで作ったんです。コックピットが象徴じゃないかなって思って、コックピットのでかいのを作って、手前に置いて、地球人が降り立ってびっくりしている、みたいな導入のジオラマにしました。

※1 メカボックス:駆動モーターやスイッチなどの部位を収納した箱型のパーツのこと。

 

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