フォートナイトワールドカップにて活躍し、プレイヤーだけではなくストリーマーも複数かかえるCrazy Raccoon。彼らの躍進の裏には、一人のコーチが常に関わってきました。
彼の名はWidow。Crazy Raccoonを支え続けてきた男です。彼について迫っていきます。
——Widowコーチ、本日はよろしくお願いします。
Widow:
Crazy Raccoon所属のWidow(ウィドウ)と申します。普段はコーチをやっています。本日はよろしくお願いします。
——普段はコーチをやっているとのことですが、具体的な内容についてお話しいただけますか。
Widow:
さきほど「コーチ」と申しましたけど、実際的な内容はアナリストの方が近いです。
選手にとって必要な情報を集めて、選手たちが分かりやすいように情報を掘り下げたりして、選手に情報を提供していきます。
一番わかりやすい例を出すと、降下地点に関する分析です。降下地点(の各候補)の周りで強いプレイヤーは降りてるのか、降下地点付近でどれくらい資材が手に入るのか、そういった情報ですね。
基本的に降下地点によって資材の限界量が決まります。鉄が少ない地点・石材が少ない地点があるので、どの降下地点にいけば手に入りやすいかとか、この降下地点ならこういうルートで漁れば効率がいいよね、といった感じです。
降下場所によっては全く鉄が手に入らない場所もありますし、交戦を避けやすい場所もあれば、敵が多い場所もあります。
「なぜこの場所に降りるのか?」ということを意識して降下場所を見出していくのが大切だと思っています。
また他の選手もシーズンごとに降下場所を変えるので、近い大会を参考にしたりして、常にアップデートをしていく必要がありますね。強豪プレイヤーの降下場所によって、自分たちの降下場所を変えていかなければなりませんから。
——「降下場所」一つとってみても非常に多くの分析ポイントがありますね。他の分析ポイントについてもお話しいただけますか。
Widow:
もちろんです。他の部分で選手ごとの武器の傾向や、戦術的な視点に関しても分析してますよ。
試合の流れは大まかに分けて、前半と後半に分けられます。そして大会のルールというのも、大会ごとに変わります。例えばCrazy Raccoonカップですと最後まで生き残ってるプレイヤーが勝ちです。「最後まで生き残る」ということに主軸を置くならば、それだけで持つべき武器や、前半後半のタイミング、前半後半ごとの戦い方が変わります。
——そういった情報分析によって手に入れた知識を、選手と共有するわけですね。分析するのは大変な作業でしょうが、そこから選手に上手く伝えるのも結構大変なのでは?
Widow:
CRのメンバーって人数が非常に多いんですけど、その割には作業量は少ないと思います。
情報を与えて選手に考えてもらう形をとっているからかもしれません。
少しの情報で自分たちで考えるプレイヤーもいれば、一歩一歩全て教えてあげた方が性に合ってる選手もいたりします。人によって必要な情報量は変わりますね。
——CRメンバーは平均的に見ても非常に高レベルなプレイヤーが集まっている印象がありますが、CRメンバーに対してウィドウコーチはどういう印象を持っていますか。
Widow:
そうですね。全体的に「自分たちで考えたい!」っていう選手達が多いです。必要な情報、リクエストのある情報を伝えたら、そこからは自分でその情報を活用していくタイプばかりですね。他のチームに比べて「この情報くれ!」「どうすればいい!?」みたいな意見は少ないのかなと。
逆に悪い部分を言うと、もう少し(情報に対して)意欲的になって欲しいです。自分の中で消化して、ひたすら練習しようとするプレイヤーが多いので、アナリストが手に入れる情報に対して無頓着というか、そこまで意識が回ってないように見受けられる時があります。
——そういった酸いも甘いも知っているCRメンバーに対して、ウィドウコーチから見て、気になるプレイヤー・特徴的なプレイヤーがいるのであれば教えてください。
Widow:
えー! 結構難しいこと聞きますね……。
うーん……沢山いるんですけど、まずソロだとTAKAMURAMMが一番強いです。
僕も国内外併せて色んな選手の動画や配信を見るのですが、その中でもずば抜けてると思います。
TAKAMURAMMの動きの中で一番目立っているのは、後半の動きです。センスとしか言いようがないですね。理論では語れないような動きをしてきます。まあ理論じゃないんだなと、逆に気付かされましたね。
僕も基本は頭で考えて、頭から先に動く感じなので、後半をセンスで乗り切ってる様子を見てると本当に驚かされますよ。良い意味で考えてないんだなって。
対応力の凄さは本当に舌を巻きます。速さはもちろんですが、的確さや正確さ。僕もその状況になったら、1分くらい考えればそういう動きを導けるものを、プレイしながら5秒くらいでやってのけてしまう。スーパーコンピューターみたいな人です。驚くべきプレイヤーですよ。
——それだけ聞くと完全無欠に聞こえてしまいますが、欠点などはありますか?
Widow:
もちろん人間ですからありますよ。ダメなところと言えば、結構熱くなりがちなところですね。前半の動きを失敗してしまうと熱くなってしまって、悪い方へ向かってしまうこともあります。
一旦リラックスして、PCから離れて立ったりしてみろって言ったりするんですけど、本人は納得するまでやりたいと言って離れないので、最終的には納得するまでやらせてます。少し頑固なところもあるかもしれないです。普段の生活も頑固なところが……(笑)
例えば生活面。一緒にヨーロッパで過ごした時ですと、例えば「この時間は絶対にお風呂に入るぞ」とか。そういうルーティンは極力守ろうとしてました。コダワリの強い男です。
Widow: ●YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCytoZOjA1aHIY570_25Mxhw/featured @_WIDOW__ |
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ライター:gappo3 プロゲーミングチーム「Green Leaves」に所属し、ライターを兼任。選手に寄り添うインタビューをモットーに、丁寧に選手の一面を描いていきます。 https://twitter.com/gappo3gappo3 |
「Crazy Raccoonの100%ビクロイしないと!!」 バックナンバー | |