みなさんこんにちは、MtGライターのドブフクロウです。
先週末にはついに『基本セット2020』が発売されました! MTGアリーナでは先行実装されていましたが、いよいよ紙のカードでも『基本セット2020』のカードで遊べるようになり、どこもかしこもイベントは大盛況のようです。
今回はマジックの主要人物の一人である赤のプレインズウォーカー、《チャンドラ・ナラー》がフィーチャーされたセットとなっていますが、もちろん他の色も強力なカードが目白押し。特に《茨の騎兵》などは「出すだけでほぼアドバンテージが確定」「5/6到達という攻防一体のボディ」「死亡したときの能力も超強力」と三拍子揃った凶悪な性能となっており、ショップでは売り切れが続出しているとか。
また、毎年7月ごろの『基本セット』発売から9〜10月ごろ新エキスパンションが発売されるまでの3ヶ月間は、スタンダードで使用できるカードの種類が最も多い期間です。何しろ現在はなんと1,700種類以上のカードを利用できるわけです。この中から選りすぐりの75枚でデッキを組む……なんとも贅沢な期間です。
もちろんカードプールが広い分、デッキはどれも強いものばかり。今回はその中でも、オンラインのイベントで結果を残した最新のデッキリストを見ていきましょう。
Magic Online Championship
この連載でも何度か話題に取り上げてきたWindows PC用のマジックアプリケーションであるMagic Onlineでは、月に一度Magic Online Chamiponship——通称MOCSと呼ばれる大規模なトーナメントが開催されます。
出場権利を得るだけでも”やり込み”が求められるこの大会は自ずと強豪が集まりやすく、オンライン上のイベントということもあって世界各国から様々なプレイヤーが出場しています。特に今回は新セット発売直後のMOCSということもあり、その結果は多くの人から注目されていました。
そんな本大会で見事2位に入賞したデッキは、これまでのスタンダード環境のデッキとは一線を画する完全に新しいアーキタイプでした。その名も「ジャンドダイナソー」をご覧あれ!
ジャンドダイナソー(使用者:SNEAKY ROBOT選手) | |
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枚数 | カード名(メインボード) |
1 | 《突進するモンストロサウルス》 |
1 | 《大物群れの操り手》 |
3 | 《原初の飢え、ガルタ》 |
4 | 《ラノワールのエルフ》 |
4 | 《無法の猛竜》 |
2 | 《オテペクの猟匠》 |
3 | 《レギサウルスの頭目》 |
4 | 《切り裂き顎の猛竜》 |
4 | 《朽ちゆくレギサウルス》 |
2 | 《変容するケラトプス》 |
4 | 《恐竜との融和》 |
1 | 《強迫》 |
1 | 《凶暴な踏みつけ》 |
2 | 《争闘 // 壮大》 |
1 | 《ショック》 |
2 | 《血の墓所》 |
3 | 《竜髑髏の山頂》 |
4 | 《森》 |
4 | 《草むした墓》 |
2 | 《根縛りの岩山》 |
4 | 《踏み鳴らされる地》 |
4 | 《手付かずの領土》 |
枚数 | カード名(サイドボード) |
1 | 《オテペクの猟匠》 |
1 | 《変容するケラトプス》 |
2 | 《強迫》 |
1 | 《反逆の行動》 |
1 | 《殺戮の暴君》 |
1 | 《喪心》 |
2 | 《炎の一掃》 |
1 | 《丸焼き》 |
1 | 《世界を揺るがす者、ニッサ》 |
2 | 《打ち壊すブロントドン》 |
2 | 《夏の帳》 |
2017年9月に発売された『イクサラン』、そこで初登場した「恐竜」というクリーチャー・タイプ。映画『ジュラシック・パーク』のイメージそのままに、恐竜クリーチャーは基本サイズも大きく、《原初の飢え、ガルタ》のように「対処できない=負け」と言えるようなインパクト絶大のフィニッシャーにも恵まれてきましたが、しかしどうしてもシナジーの薄い恐竜デッキは「あと一歩」止まりの活躍にとどまっていました。
とはいえそんな恐竜の歴史ももう平成の話。中生代の地上の覇者だった恐竜たちが、いつまでもそんなTier2に甘んじてはいるわけもありません。『基本セット2020』では「スタンダードをくだくのは技を超える限りない力」と言わんばかりの暴力的な仲間たちを得て、恐竜デッキは純粋強化されました。
2マナ2/3というボディに、癖が強いものの強力なメリット能力を持つ《無法の恐竜》、そしてマジック:ザ・ギャザリングを破壊する壊れたマナレシオの《朽ちゆくレギサウルス》。この2枚がデッキに加わり、恐竜デッキは強烈な進化を遂げたようです。
《無法の恐竜》は自分のクリーチャーに2点のダメージを与えるというデメリット能力を持つものの、代わりに恐竜クリーチャーのコストを下げてくれるため大型クリーチャーをプレイする助けとなる上、2マナクリーチャーとは思えないほどの高打点を稼ぎ出してくれる序盤のエースです。クリーチャーの基本サイズが大きいこのデッキであれば自分クリーチャーへのダメージも大したデメリットにはならず、むしろメリットの方が大きいようです。
また、《朽ちゆくレギサウルス》も発表当初から「デメリット軽すぎ」と話題になっていましたが、3ターン目に飛び出してくる7/6というサイズは凄まじい驚異です。手札を捨てる能力は、自分が手札を使い切っていたり、あるいは不要牌となったカードを捨てることでほとんどデメリットとしては機能しません。というより、実際に使ってみると分かりますが、この《朽ちゆくレギサウルス》は開発部が「手札を捨てない限り生け贄に捧げる」の一文を書き忘れたとしか思えません。
さらに、上記の2枚と同じく新カードである《変容するケラトプス》の姿も見られます。スタンダードでは久しぶりに登場した「プロテクション」能力はやはり強力で、『ドミナリア』&『灯争大戦』の2種の《テフェリー》に対する強力な回答となります。マナを支払うことで自身にトランプルや速攻を付与することもできるため、ゲーム後半には疑似本体火力のような役割を果たしてくれるでしょう。
他にも《強迫》や《ショック》といった「4積みが基本」と呼ばれるカードがなぜか枚数を散らされていたり、独自の調整過程を経てきた形跡が見られます。果たしてこの恐竜デッキは環境初期ならではの一発屋で終わるのか、あるいはこれからも勝ち続けることになるのか……先のことは分かりませんが、『基本セット2020』の様々なカードの中から「恐竜」に目をつけ、そしてしっかりと結果を残したのはさすがと言えるでしょう。新環境のデッキが決まっていないという方は、ぜひ組んでみてはいかがでしょうか?
ライター:ドブフクロウ
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。
MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。
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