By まつがん
恒例の宣伝からだが、皆さんは先日発売したコロコロコミック4月号はもう入手されただろうか?
デュエル・マスターズの原作コミックが読めるほか、デュエマに関する激アツな最新情報も色々と掲載されているので、ぜひとも手に取ってみていただきたい。
さて、王道篇第4弾「悪魔神、復活」があまりにも遊びがいがあるせいで、すっかり手を出すのが遅くなってしまったが、先月はデュエパーティーのデッキ2種が発売していた。そのうちゼニスの側は新カード紹介も兼ねて「逆ゼニス」で触れたので、今回はスノーフェアリーの方の新カードでデッキが組めないか、挑戦してみることにしよう。
新規のスノーフェアリーはどれも魅力的だが、私が最も可能性を感じた1枚はこれだ。

《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》。強力な受けトリガーになるツインパクトであるというだけでも可能性の塊なのに、このカードは飛び抜けてバグの可能性が高い能力を持っている。
それはもちろん、「カードを自分の手札からマナゾーンに置いた時、そのカードをアンタップする。」という一文だ。こうした「回数の制限なく」「ルールを捻じ曲げる」能力は、ふとしたきっかけでとんでもないループやチェインを引き起こすことがある。「発売してから1ヶ月以上も経ってるんだし、そんなのあるならもう誰かが試してるはずでは???🤔🤔🤔」と達観するのもいいが、もしかしたら誰しもがそう思って真面目に取り組まない結果、自分自身がその発見者になれるかもしれないのだ。試す価値は十二分にあるだろう。
では、この能力でどんなバグが起きるだろうか?
こうした抽象的で思考の取っ掛かりがない命題について考えるときは、「起きる結果から逆算する」ことを思考の出発点にすると、考えをスムーズに進められることが多い。
実際に逆算してみよう。本来マナにタップインするカードがアンタップインして結果バグが起きると仮定するならば、そのデッキは手札からマナを大量にタップインする行動をとるコンセプトであるということになる。
それでは、そのようなコンセプトには何があるだろうか?
私が最初に考えたのは、これだ。


「スペース・チャージ」連鎖では???🤔🤔🤔
5年前の「友情ブルックスピエロ」では《ブルックス・ザ・シルバー/ザババン・ライト》でマナに置いたカードをアンタップするのに《友情の誓い》を使用するという今見るととても正気ではない構築にせざるをえなかったが、5年も経てばデュエマも変わるもので、《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》がいれば「3→5」のスムーズな動きでマナアンタップ要員を設置できる上に、マナ染色もしてくれるので「スペース・チャージ」の威力も倍になるのだ。
こんなに都合の良いカードが生まれたのならば、「ブルックスピエロ」もネクストステージに到達しているに違いない。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『ブルックスピエロ改』
4 | 《ベイB セガーレ》 | 4 | 《同期の妖精/ド浮きの動悸》 | 4 | 《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》 | 4 | 《ブルックス・ザ・シルバー/ザババン・ライト》 | 4 | 《鎧亜戦隊ディス・ピエロ》 | 4 | 《マジック・A・セミプーロ/♪閑かさや とにかくブレイン 蝉ミンミン》 | 4 | 《配球の超人/記録的剛球》 | 1 | 《黒豆だんしゃく/白米男しゃく》 | 2 | 《水上第九院 シャコガイル》 | 4 | 《トレジャー・マップ》 | 4 | 《地龍神の魔陣》 | 1 | 《情熱の逆転撃》 |
全体的に悠長!!!😡😡😡
確かに《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》の登場によって「ブルックスピエロ」は強化されたのかもしれないが、そもそも「ブルックスピエロ」自体が「《鎧亜戦隊ディス・ピエロ》をポン置きしてターンを返す」という旧石器時代の動きに縛られたデッキのため、それくらいの強化ではどうしようもないのであった。
だが、「スペース・チャージ」以外で「手札からマナを大量にタップインする行動をとるコンセプト」などそうそう思いつくはずもなかった。
そこで私は一旦思考を切り替え、《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》に「カードを自分の手札からマナゾーンに置いた時、そのカードをアンタップする。」以外の唯一無二性はないだろうか?と考えることにしたのである。
実際、《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》は非常に可食部の多いカードである。バグの可能性が最も高い部分ではないとしても、他にも唯一無二性のあるデッキが作れるかもしれない。
そうして私が次に着目したのは、「マナ加速できるスノーフェアリーであり、かつ呪文でもある」という部分だった。
そう、すなわち。


《エンドレス・フローズン・カーニバル》だ。
《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》自体は手札が増えるカードでも墓地が肥やせるカードでもないが、単純なスペックにおいて強力なカードがスノーフェアリーのツインパクトとして登場したということは、《エンドレス・フローズン・カーニバル》の強化にもなっているはずである。
また、下側の呪文が相手のクリーチャーだけを指定していないため、8マナから《水晶の王 ゴスペル》を出し入れできるカードとしても運用できる点は見逃せないポイントだ。
では、《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》を《エンドレス・フローズン・カーニバル》の種として運用するとした場合、どうやって最初の《エンドレス・フローズン・カーニバル》を唱えればいいだろうか?
《エンドレス・フローズン・カーニバル》をタダで唱えるためには、最低でも計6枚の手札が必須となる。しかも次のターンのアクションまで考えるとさらにもう1枚は欲しいし、そもそもその6~7枚の中にスノーフェアリーが5枚含まれている確率まで考えると、5ドローや6ドローでは足りないだろう。
ならば、どうするか?
5ドローや6ドローで足りないというならば……この課題に対して私は、積極的に脳を捨てることで答えを導き出したのだ。

《知識の包囲網》で15ドローすればいいのでは???🤔🤔🤔
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『カサブランカ・包囲網』
4 | 《天体妖精エスメル/「お茶はいかがですか?」》 | 4 | 《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》 | 4 | 《ヨビニオン・マルル》 | 4 | 《雪精 サエポヨ&ユキぴょん/ハンマー・チャージャー》 | 4 | 《詠み人-シラズ-Machine/招水呪文「マジックル」》 | 2 | 《偽りの名 iFormula X/クリスティナ・フォール》 | 4 | 《配球の超人/記録的剛球》 | 2 | 《水晶の王 ゴスペル》 | 4 | 《ア・ストラ・センサー》 | 4 | 《知識の包囲網》 | 4 | 《エンドレス・フローズン・カーニバル》 |
コンボパーツ2枚抱えながら「2→4→7」は無理がありすぎだろ!!!😡😡😡
確かに15ドローしてる時点で《エンドレス・フローズン・カーニバル》は見せているのであとのスノーフェアリー5枚も手札に揃うかもしれないが、そもそもデッキに4枚ずつしかない《知識の包囲網》と《エンドレス・フローズン・カーニバル》を探しながら現代デュエマの基準ターンである4ターン目に7マナも用意するというのは、平たく言って現実を見る気ナッシング・ゼロとしか言いようがなかった。
だが、《エンドレス・フローズン・カーニバル》を唱えるための大量の手札を、それも《知識の包囲網》よりも軽いコストで手に入れる方法などあるのだろうか?


私はすぐに《ダイヤモンド・ブリザード》や《ダイヤモンド・カスケード》を想起した。スノーフェアリーが大量に入ったデッキなら、これらで一気に手札を大量補充できる。
だが、このアイデアには問題があった。これらを一度出してしまえば、非スノーフェアリーを1~2枚マナに残せたとしても、《水晶の王 ゴスペル》を引いた分だけ出し直すことしかできず、8マナから《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》の呪文側で出し入れすることは到底できなくなるからだ。
つまり必要なのは、マナ回収ではなくやはり単純なドローなのだ。それも唱えてすぐ《エンドレス・フローズン・カーニバル》につなげられるような、5枚以上のドロー。しかも《知識の包囲網》よりも軽い。
そんなことができるカードが、はたして存在するのだろうか。《クアトロ・ブレイン》……重いしドローが足りない。《スクランブル・タイフーン》……5枚は引けているが手札が増えないと意味がない。《ストリーミング・Re:チューター》……自身がめくれると4ドローになってしまう。
存在するかもわからないカードを、私はひたすらに求めた。そして。その果てに。
ついに、運命の出会いを果たしたのである。

デッキ全体がスノーフェアリーのツインパクトなら、《未来妖精ミクル/ミラクル・ブレイン》で5ドローするだけでカーニバル開催できるのでは???🤔🤔🤔
《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》は無条件のマナ加速とマナ染色を兼ねた唯一無二のスノーフェアリーだ。ならば、今まであまり使われていなかった《未来妖精ミクル/ミラクル・ブレイン》の呪文側も、このカードの登場によって真のポテンシャルを発揮できるようになったのではないか。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『スノー・ゴスペル』
4 | 《虹色妖精ポミリン/レイニー・アトラス》 | 4 | 《天体妖精エスメル/「お茶はいかがですか?」》 | 4 | 《同期の妖精/ド浮きの動悸》 | 4 | 《氷打の妖精/巨打設計図》 | 4 | 《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》 | 1 | 《マーチングドラム ミドリ/ハーメルン・ハーモニー》 | 4 | 《未来妖精ミクル/ミラクル・ブレイン》 | 4 | 《弓道の妖精/ド級の弩弓》 | 4 | 《雪精 サエポヨ&ユキぴょん/ハンマー・チャージャー》 | 3 | 《水晶の王 ゴスペル》 | 4 | 《エンドレス・フローズン・カーニバル》 |
それこそ普通の光水自然ゴスペルでいいだろ!!!😡😡😡
不純物は《水晶の王 ゴスペル》と《エンドレス・フローズン・カーニバル》しか入っていないので、スノーフェアリーや《エンドレス・フローズン・カーニバル》を1~2枚抱えた状態で5ドローしたら大体《エンドレス・フローズン・カーニバル》が打てて次のターンには大体《水晶の王 ゴスペル》が出せるだろう……という寿命が不老不死で試行回数が無限大という人のためのデッキである。しかも最後は《エンドレス・フローズン・カーニバル》をかけた状態で《同期の妖精/ド浮きの動悸》を添えた《水晶の王 ゴスペル》でチクチク殴るだけという情けなさすぎるフィニッシュ方法のおまけ付きであった。
とはいえ、《未来妖精ミクル/ミラクル・ブレイン》というカードを発掘できたことにはそれなりの手応えもあったし、ここまで通過してきた長い長い道のりを考えれば、このあたりで記事にできるだけの材料は十分集まったものと言えた。
私はこの連載の管理表に「スノー・ゴスペル」と記入し、思ったよりもデッキの開発に時間がかかったこともあり、執筆自体はまた別の日に行うことにした。
……。
…………。
………………。
それから、3週間が経過した。
2月23日、日曜日。「そういえば、そろそろ『スノー・ゴスペル』の記事を書かなきゃな」……そう思って、私は「スノー・ゴスペル」のリストと、このデッキに至るまでの過程をいまいちど見直し、記事の構成を考えた。
そして思ったのだ。「物足りない」と。
確かに《未来妖精ミクル/ミラクル・ブレイン》は《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》の登場によって実用的なレベルになったかもしれない。だがだとしても、「スノー・ゴスペル」というデッキは《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》というカードが持つポテンシャルを最大限生かしきれてはいないのだ。
私は決意した。《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》というカードと、再び向き合うことを。
だが、既に3つものデッキを通過している。この上でなお、できることが残されているというのだろうか?
私は原点に立ち返ることにした。《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》がバグるとすれば、「カードを自分の手札からマナゾーンに置いた時、そのカードをアンタップする。」という一文を生かすほかないのだ。そして結果からの逆算から、「手札からマナを大量にタップインする行動をとるコンセプト」こそが目指すデッキに相応しいと。ここまではいい。
しかし冒頭では「スペース・チャージ」を見出した時点で、「手札からマナを大量にタップインする行動をとるコンセプト」を他に考えることを放棄してしまっていた。ならば、もう一度考えてみよう。《ブルックス・ザ・シルバー/ザババン・ライト》以外に、「手札からマナを大量にタップインする行動をとるコンセプト」はないのだろうか?
カードを探した。《キング・シビレアシダケ》……手札枚数の要求が大きすぎる。カードを探した。《ハリケーン・クロウラー》……元からアンタップインマナは生まれている。カードを探した。《口寄の化身/強欲の王国》……《SC龍飛→SC風流》と《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》がいる状況で出せると面白いかもしれないが、6マナ払って上側を召喚しているとすればそれでも大したスケールにはならないように思えた。
解答がある保証はなかった。新カードの登場によって10年前のカードが掘り起こされるなんてよくある話だ。《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》も、10年後の目覚めの時を待っているだけのカードかもしれない。それでも。
カードを探した。そして、ついに。
今度こそ、邂逅を果たしたのだ。

《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》を使えばいいのでは???🤔🤔🤔
《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》がいる状況での《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》は、0マナの《セイレーン・コンチェルト》3回分になる。いや、マナに置かなくてもいいことを考えるとそれ以上だ。
だが、それだけではない。このシナジーを突き詰めていくと、さらなる深奥があることに気がついたのである。
私は一人回しの中で、その手順を繰り返した……一歩一歩、足元を確かめる赤子のように。
そして、その深奥へと入り込んだのだ。


深奥とは言うまでもなく、ループのことだ。《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》がいる状況で、《アシステスト・シネラリア》と単色の2コストジャイアント (ここでは仮に《キャディ・ビートル》としよう) を含む4体のジャイアントがいる状況を想定しよう。マナは4枚で、フルタップとする。
ここで《キャディ・ビートル》の上に《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》を進化させ、マナゾーンから3枚のクリーチャーを回収し、3枚を置きなおす。《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》の効果でそれらはアンタップするので、無から3マナが生まれる。そして《パラディソ・シエル》を出し、《パラディソ・シエル》と《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》を進化元の《キャディ・ビートル》ごと回収すると……?
《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》でアンタップした3マナのうち、《パラディソ・シエル》で2マナ、《キャディ・ビートル》の召喚に《アシステスト・シネラリア》の軽減が入って1マナ。つまり、ループが発生するのだ。
とはいえもちろん、これだけでは《キャディ・ビートル》が出入りするだけで何の発展性もない、ただ無駄に繰り返しができるというだけの手順だ。
しかし、もしこの《キャディ・ビートル》が何らかの登場時能力を持っていたならばどうだろうか?
必要な条件は3つ。「1. ジャイアントであること」「2. 単色2コストのクリーチャーであること (《パラディソ・シエル》の2マナは動かせないので、ドルゲユキムラで起こせる3マナのうち進化元の再召喚に使えるマナは1つのみである)」「3. リソースが変動する登場時能力を持つこと (たとえ登場時能力でも、相手のクリーチャーの攻撃を封じたりするものではダメだ)」……もしこの条件を満たすジャイアントが存在するならば、《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》《アシステスト・シネラリア》が揃っている状態で《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》を出した瞬間に決まるループが組めるかもしれない。
私はカードを探した。「1~2マナ」「単色」「ジャイアント」「出た時」……だが。
あろうことか、そこには条件を満たすジャイアントが存在しなかったのだ!!
最も近いのは《電脳鎧冑アカシック・オリジナル》だが、多色では《アシステスト・シネラリア》の恩恵を受けられない。「詰み」か……あるいは、今後単色2コストで《AQvibrato》のようなジャイアントが出るかもしれない。それまで待つのか……。
否。私は忘れてはいなかった。「物事には常に例外が存在する」……そして「導き出した検索条件が常に正しいとは限らない」。
上で挙げた3つの条件のうち、正確ではないものが一つだけあった。「単色2コストのクリーチャーであること」は必ずしも必要ではない。「単色で、かつ2コスト『で召喚できる』クリーチャー」ならば条件を満たすのだ。
ここまで長かった。これが私の、この記事における最後の到達点だ。
そう、すなわち。

《爆翠月 コハク》を使えばいいのでは???🤔🤔🤔
「ハイパーエナジー」を持つ《爆翠月 コハク》も、バトルゾーンのクリーチャーのうち1体だけを寝かすことで、《アシステスト・シネラリア》の軽減込みで1マナで召喚できる。これを《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》に進化させ、《パラディソ・シエル》で出し入れすることができれば、無限マナブーストが可能となるのだ。
だが、ちょっと待って欲しい。「ハイパーエナジー」込みで召喚するなら、クリーチャーのタップは必ず必要となってしまう。それでは、バトルゾーンのクリーチャーの数……せいぜい5回くらいしか召喚できないのではないか。その間に2枚目の《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》がマナに落ちればさらに3マナがアンタップできるのでチェイン可能だが、そんな不確定な条件に頼らざるをえないループしかできないのだろうか……?
否、重ねて否。ここで先ほどのループ手順を思い返してみて欲しい。「《キャディ・ビートル》が出入りするだけで何の発展性もない、ただ無駄に繰り返しができるというだけの手順」と言ったが、実はここにも例外処理が、隠された発展性が存在していたのである。
どういうことか。《爆翠月 コハク》を召喚する際、タップするクリーチャーを《キャディ・ビートル》にしてみよう。1ブーストは仮に多色で使えるマナが増えなかったとして、《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》を《キャディ・ビートル》に乗せて3マナアンタップ。うち2マナで《パラディソ・シエル》。《パラディソ・シエル》と《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》を戻し、残った1マナで《キャディ・ビートル》を召喚すると……?
なんと、「ハイパーエナジー」でタップした《キャディ・ビートル》が0マナでアンタップしている!
そう、無駄な繰り返しのように思えた手順が、「タップ/アンタップという位相の変更」という意味を持ったのだ。
これで《キャディ・ビートル》や《同期の妖精/ド浮きの動悸》がいる盤面なら、《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》+《パラディソ・シエル》のループによって《爆翠月 コハク》とそれらの2コストジャイアントとを交互に無限に出し入れできることが証明された。この手順に《爆翠月 コハク》の登場によるマナ加速は絡んでいないので、マナゾーンに多色が落ち続けようが問題ない。
そのうち2体目の《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》が落ちるだろう。そうなればタップしたマナをすべて起こすループに入れる。マナゾーンに落ちたクリーチャーも好きに回収可能だ。

ということは、そのまま9マナを起こして《水上第九院 シャコガイル》を召喚し、無限ブーストで山札を減らして5枚以下にすればEXウィンが可能というわけだ。
さて、最終盤面を整理しよう。「バトルゾーンに《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》がいる」「バトルゾーンに《アシステスト・シネラリア》含むジャイアント4体がいる」「手札かマナかバトルゾーンに《パラディソ・シエル》と《爆翠月 コハク》がいる」「手札に《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》がある」……この盤面を作れれば、《パラディソ・シエル》と《爆翠月 コハク》をマナゾーンから回収した代わりにマナに置ける手札があることを前提としてはいるものの、残りマナが0マナだろうとループをスタートできる。
あとはこの最終盤面を効率的かつ現実的に作れるよう、デッキのスロットを埋めていくだけだ。


実のところ、このループが現実的なラインで成立しているのは《五番龍 レイクポーチャー ParZero》の存在が大きい。ジャイアントが4体並びさえすれば、各種コンボパーツは最悪マナに置いておけばあとから《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》で回収して始動するプランもあるとはいえ、これだけ替えが利かないカードが多いデッキにおいて6枚の中から2枚も足りないコンボパーツを拾えてしかも場持ちもよく妨害も兼ねられるというのは、誇張なく八面六臂という言葉が相応しい活躍ぶりだろう。
また、《アシステスト・シネラリア》の軽減は入らないとはいえ、《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》の「G・ゼロ」条件を満たしたいデッキでかつコンボパーツを探したいデッキ、しかも3ターン目に《アシステスト・シネラリア》を出すにあたってなるべく2ターン目にもジャイアントを出しておきたいともなれば、《電脳鎧冑アカシック・オリジナル》を採用しない理由を探す方が難しいだろう。
ここで、2コストが《キャディ・ビートル》《同期の妖精/ド浮きの動悸》《電脳鎧冑アカシック・オリジナル》で12枚。3コストが《アシステスト・シネラリア》と《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》と《爆翠月 コハク》で12枚。《五番龍 レイクポーチャー ParZero》とコンボパーツの《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》《パラディソ・シエル》で12枚。さらに勝ち手段の《水上第九院 シャコガイル》を2枚添えると、実はここまででもう38枚が埋まっている。S・トリガーも8枚積めており、残る要請は実質的にはないと言っていい。
それでも、一人回しの体感では《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》へと早期にアクセスできるカードが望ましいと考えられた。特に《五番龍 レイクポーチャー ParZero》で最後のコンボパーツを探しにいくパターンにおいて、《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》だけが足りないパターンだと、《アシステスト・シネラリア》の軽減込みだったとしても7マナ必要となってしまい、そのターン中にループに入ることが難しくなってしまう。
だが《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》さえバトルゾーンに出せているなら、《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》が追加で3マナを供給してくれる。もし2枚目の《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》をマナに置けているならなおさら、最後のコンボパーツとして《アシステスト・シネラリア》でさえも置ける余裕が生まれるのだ。事程左様に、《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》を早期に着地させておく重要性は高いと言える。


そのようなカードとして白羽の矢が立ったのが、《キユリのASMラジオ》。確定サーチの《運命の選択》などとも悩めるスロットだが、上振れで《アシステスト・シネラリア》や《同期の妖精/ド浮きの動悸》とセットで引っ張ってこれるパターンもあり、1枚程度なら許容できるだろうと考えた。
最後の1枚は《妖精 ミンメイ-1》。上述のように《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》が最後のコンボパーツとなった場合、序盤にマナに落ちていたそれをジャイアント4体並べてからの《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》で (2枚目の《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》とセットで) 回収するルートが考えられるが、そのパターンで《アシステスト・シネラリア》の軽減も効かず3マナが純粋に必要になるのは意外と重い。
だがそこで《妖精 ミンメイ-1》がマナにあれば、実質的に《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》がいる場合と同じように1枚だけフリーでマナをアンタップできる。不可能を可能にするカード……だが地味な「G・ストライク」も予想外に刺さりうるとはいえ、活躍するシチュエーションが限定的すぎるので1枚程度の採用が妥当だろう。
ちなみに《覇王 スカール-1》と合わせて8枚入れることで、《妖精 ミンメイ-1》2枚以上を含む計3枚を引けば《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》の代わりになるのでは???とも考えたが、さすがに《覇王 スカール-1》は文明が弱すぎるし8枚入れても3枚引けるとも限らないので採用はしなかった。気になる方は試してみてもいいかもしれない。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『カサブランカ・チェイン』
4 | 《キャディ・ビートル》 | 4 | 《同期の妖精/ド浮きの動悸》 | 4 | 《電脳鎧冑アカシック・オリジナル》 | 4 | 《パラディソ・シエル》 | 1 | 《妖精 ミンメイ-1》 | 4 | 《アシステスト・シネラリア》 | 4 | 《怪盗妖精カサブランカ/「信じていたのに裏切られるなんて!」》 | 4 | 《爆翠月 コハク》 | 4 | 《五番龍 レイクポーチャー ParZero》 | 4 | 《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》 | 2 | 《水上第九院 シャコガイル》 | 1 | 《キユリのASMラジオ》 |
まつがん「よし、このデッキで勝負だ!デッドマン!!」
デッドマン「いいですよ!では《若き大長老 アプル》を召喚します」

それぐらい想定済みなんだよ!《パラディソ・シエル》で《同期の妖精/ド浮きの動悸》を戻して「メガ・ラスト・バースト」を……!!!😡😡😡
デッドマン「あ、その後に《金天使 エン・ゴルギーニ》で離れなくします」

う”お”お”お”お”お”お”お”お”!!!(ドルゲユキムラでグルグルパンチ)😡😡😡
ではまた次回!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
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デュエマ妄想構築録 vol.81-1 ~ハイパーエナジーに感謝を!カサブランカ・チェイン!!~ |