デュエマ妄想構築録 vol.79-3 ~相手を雁字搦め!ハイパー・攻撃誘導!!~


By まつがん

 王道篇第4弾「悪魔神、復活」は、SRやVRといった光り物以外にも遊びがいのあるカードが無数に存在するセットだった。

 そんな中で、その秘めたポテンシャルの割りにまだあまり活躍できていないカードがあった。

▲王道篇 第4弾「悪魔神、復活」収録、《金天使 エン・ゴルギーニ》

 《金天使 エン・ゴルギーニ》。近年登場した《†正義†と「正義」》《パトファール-P4/サイレント・サイレン》《星姫械 エルナドンナ》《ゴルパガーニ-A7/ダウンフォース・サーキュラー》といった「離れない」効果を付与できるカードの中でも、ずば抜けて強力な効果を持つカードだ。

 「離れないのは別に他と一緒じゃないの?そりゃ『ハイパーエナジー』は強いけど」と思われるかもしれない。だがこのカードの真価は別の部分にある。

 たとえば「クリーチャーを離れなくしたい」と考えたとしよう。そのために《パトファール-P4/サイレント・サイレン》を出した、あるいは《ゴルパガーニ-A7/ダウンフォース・サーキュラー》を唱えたとする。だが次のターンはどうする?「離れない」効果は強力だが、強力ゆえに制約がある。つまり、2ターンも3ターンも永続的に「離れない」効果を付与することは原則として不可能なのだ。これが「継続性」の問題だ。

 また《星姫械 エルナドンナ》ならこうした問題を解決しているように見える。だが同一ターンに2回除去を打たれればどうしようもない。すなわち「完全性」の問題が付きまとう。

 しかしそこにきて《金天使 エン・ゴルギーニ》はこれらの問題を両方解決している。出た時と攻撃した時に「離れない」効果を付与できるので、次のターン以降も《金天使 エン・ゴルギーニ》で攻撃し続ける限り「離れない」効果を付与し続けることが可能だ。しかも《星姫械 エルナドンナ》と違い、完全な耐性を付与できる。

 これはもう、デッキを作るしかない。そして残された問題は、「どんなクリーチャーを離れなくすればいいのか?」というものだ。

 だが6年半にも及ぶこの連載の歴史からすれば、もはやゼロからアイデアを生み出すまでもなく、答えは最初から自分の手元にあったのである。

 そう、すなわち。

▲王道篇 第1弾「デーモン・オブ・ハイパームーン」収録、《爆転の妖精》

 攻撃誘導クリーチャーを離れなくすればいいのでは???🤔🤔🤔

 同様のコンセプトの「アバレ正義」を作ったのが3年ほど前。3年もあればカードプールは大きく変化する。そろそろこのコンセプトの最新版を追求してみてもいい頃合いだ。

 さらに環境的な追い風もある。《金天使 エン・ゴルギーニ》は地味にパワー6000もあるので、たとえば《爆転の妖精》を離れなくした場合、殴り返しも《爆転の妖精》が吸ってくれるので、《飛翔龍 5000VT》が一切効かないのである。

 あとはこのハーフロック状態からどう勝ちにもっていくかと、これらのカードを引かない場合のサブプランを考えるだけだ。

▲王道篇 第2弾「カイザー・オブ・ハイパードラゴン」収録、《ハイパー・エン・ゲルス》
▲王道篇 第4弾「悪魔神、復活」収録、《巡霊者アパリシオ》

 《爆転の妖精》と《金天使 エン・ゴルギーニ》によるハーフロックは、攻撃以外の手段で《金天使 エン・ゴルギーニ》を対処されると解除されてしまう。そこで《ハイパー・エン・ゲルス》を採用することで、抜け出す手段が極めて少ない強固なロック状態に持ち込むことができる。

 無論シールド7枚という条件は容易ではないが、こちらも「悪魔神、復活」からの新カードである《巡霊者アパリシオ》は、2コストという軽さながらも実は「1→2」と動いた後の3ターン目の「ハイパーエナジー」使用ターンに1枚、さらに《ハイパー・エン・ゲルス》の着地ターンである4ターン目にももう1枚シールドを追加できるので、最速・最軽量で《ハイパー・エン・ゲルス》の条件を達成できる唯一無二のクリーチャーであり、他方でドローの選択肢もあるため見た目以上に器用な1枚である。

▲アビス・レボリューション第4弾「竜皇神爆輝」収録、《星姫械 エルナドンナ》
▲王道篇 第3弾「ゴールド・オブ・ハイパーエンジェル」収録、《喜びの夜 エルボロム・ハッピー》

 《金天使 エン・ゴルギーニ》を引かないと《爆転の妖精》が孤独にゴーシューを遊ぶ悲しい状態となってしまうので、「離れない」能力の「完全性」がないとはいえ《星姫械 エルナドンナ》はやはり頼もしい。

 《喜びの夜 エルボロム・ハッピー》は「1→2」と動いて3ターン目に着地しつつリソースを補充できるほか、《哀樹 コシン》《とこしえの超人》《ベイB セガーレ》といった1コストの定番の「ハイパーエナジー」材を最終的に打点に変換する役割もあり、既に環境での活躍実績のある《爆藍月 スケルハンター》に勝るとも劣らない仕事量をこなしてくれる。

 というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!

 『途中経過』

枚数
カード名
4 《哀樹 コシン》
4 《とこしえの超人》
4 《ベイB セガーレ》
4 《星姫械 エルナドンナ》
4 《巡霊者アパリシオ》
4 《爆転の妖精》
4 《ハイパー・エン・ゲルス》
4 《爆翠月 アカネ》
4 《金天使 エン・ゴルギーニ》
4 《喜びの夜 エルボロム・ハッピー》

 

 なんかパワーが足りない!!!😡😡😡

 それは一人回しの中で感じた、どうしても拭えない違和感であった。だがその違和感がどこから来るのかがわからなかった。ただ漠然と、「このデッキじゃ逆立ちしたって環境デッキには勝てないよなぁ……」という思いだけがあった。

 別に環境デッキを倒したいわけではない。ただ、もっと高みがあると思った。そしてそのためには、感じた違和感を言語化しなければならない。

 デッキの中でどこかの歯車がかみ合っていないと感じるときには、「適正ターンに機能していないカードは何か?」という命題に向き合う必要がある。偏見を捨て、「苦労の果てに自分が見出したんだから」というサンクコストを重視したがる感情を懸命に無視し、10回20回という一人回しの果てに、残酷なその答えが出る。

 はたして検証の結果……機能していないカードは《ハイパー・エン・ゲルス》だった。このデッキのアクションは3ターンでほぼ完結する。3ターン以内のプレイの選択肢にならない上に、4ターン目に出したとしても確定で勝ちにつながらないカードは、みんなが使ってないちょっと珍しいカードを使ってやりたいという心の贅肉だった。

 さらに《ハイパー・エン・ゲルス》が不要になった以上、シールドを追加するカードも不要になる。《巡霊者アパリシオ》も、残念ながらお役御免となった。《爆翠月 アカネ》も、「革命チェンジ」の選択肢があるならばいざ知らず、そうでないのに「マッハファイター」+マナ回収は現代デュエマのスケールから外れていた。《星姫械 エルナドンナ》もデッキコンセプトには7割くらい合致するが、他方で「ファイアー・バード」や「マーシャル・ループ」に対しては、ほとんど何もしない2ターン目のアクションだった。

 『途中経過2』

枚数
カード名
4 《哀樹 コシン》
4 《とこしえの超人》
4 《ベイB セガーレ》
4 《爆転の妖精》
4 《金天使 エン・ゴルギーニ》
4 《喜びの夜 エルボロム・ハッピー》
16 余り

 

 不要な4スロットを洗い出し、デッキの芯を取り出してみて思ったことは、「カードパワーが足りない」という点だった。

 何より《喜びの夜 エルボロム・ハッピー》が強すぎる。このカードを3ターン目に出したときの出力の安定感を常に出したい。しかし「ハイパーエナジー」持ちをいくら検索しても、光か自然でリソースがとれるカードは他に《爆翠月 アカネ》くらいしかいなかった。

 「3ターン目に出せて、《喜びの夜 エルボロム・ハッピー》と近いくらいリソースがとれるクリーチャー」……自分で言っておきながら不可能な命題だと思った。《喜びの夜 エルボロム・ハッピー》は最新に近いカードなのだ。それと同等のスペックを、より以前のカードで実現できていたはずがない。

 だが、それでも私は検索した。

 そして、ついに“答え”に出会ったのだ。

▲アビス・レボリューション第4弾「竜皇神爆輝」収録、《翼速 ザ・ウイング》

 《翼速 ザ・ウイング》って実質エルボロム・ハッピーでは???🤔🤔🤔

 もちろん後攻だとこちらの「1→2」に対して相手の「2→3」が噛み合ってしまうのでそううまくはいかないが、その場合でも手札が多い分「1→1+1」のパターンもあり、完全には機能不全に陥らない強みがある。

 そして言わずもがな先攻の場合は追加の《喜びの夜 エルボロム・ハッピー》として機能する。そこから次ターン以降の「ハイパーエナジー」につながれば気分はさながらヘブンズドライブである。

 かくして「3ターン目《喜びの夜 エルボロム・ハッピー》を再現する」という一番の難関はクリアできた。あとは残りの3スロット12枚を、よりカードパワーの高いカードで埋めていくだけだ。

▲アビス・レボリューション 第4弾「竜皇神爆輝」収録、《卓球の妖精/回転する開眼》
▲アビス・レボリューション 第3弾「魔覇革命」収録、《ポッピ・冠・ラッキー》

 一人回しの結果、「2ターン目に光マナを要求するとデッキのバランスが悪くなる」という感触もあった。1コストと2コストをすべて自然に揃え、逆に3ターン目以降のアクションを光に統一すれば、自然と光のバランスを均等な20:20から24:16に変えられる。

 そこで新たに見出したのが《卓球の妖精/回転する開眼》だった。《哀樹 コシン》で拾える上に、《ベイB セガーレ》や2枚目の自身、《喜びの夜 エルボロム・ハッピー》といったクリーチャーを使えばわずか1コストで除去が飛ばせる。「ガードマン」も地味に嬉しいし、最終的には《喜びの夜 エルボロム・ハッピー》で攻撃できるようになるので最後までチョコたっぷりだ。

 あとはパワーカード枠として《ポッピ・冠・ラッキー》を採用することにした。そもそも3ターン目に《喜びの夜 エルボロム・ハッピー》や《翼速 ザ・ウイング》などの自分の動きをできる状態なら既に有利である。そうではなく、どうしても相手の動きを牽制しなければならない場合にこれを出すことで、「エスケープ」による除去耐性で相手にゲームプランの変更を強制できる。

 というわけで、できあがったのがこちらの「ハイパー・攻撃誘導」だ!

 『ハイパー・攻撃誘導』

枚数
カード名
4 《哀樹 コシン》
4 《とこしえの超人》
4 《ベイB セガーレ》
4 《爆転の妖精》
4 《キャディ・ビートル》
4 《卓球の妖精/回転する開眼》
4 《ポッピ・冠・ラッキー》
4 《金天使 エン・ゴルギーニ》
4 《翼速 ザ・ウイング》
4 《喜びの夜 エルボロム・ハッピー》

 

まつがん「よし、このデッキで勝負だ!デッドマン!!」

デッドマン「いいですよ!では《超楽識 フミビロム》で《爆転の妖精》を《ポッピ・冠・ラッキー》の下にしまっちゃいます

▲王道篇 第2弾「カイザー・オブ・ハイパードラゴン」収録、《超楽識 フミビロム》

 このゲーム奥深すぎるだろ!!!😡😡😡

 ではまた次回!

ライター:まつがん
 
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
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次回更新は2/14(金)更新!!