デュエマ妄想構築録 vol.73-2 ~夢の合体!ハイパー・マーシャル!!~

By まつがん

 「超感謝祭 ファンタジーBEST」は、スノーフェアリー/スプラッシュ・クイーン/ファイアー・バード/デスパペット/ドリームメイトという5種族に大幅な強化をもたらした。

 なかでも、その発売前から競技シーンで最も活躍していた「スプラッシュ・クイーン」のデッキにさらに革命的な変化をもたらしたのがこのカードだ。

▲「超感謝祭 ファンタジーBEST」収録、《エメラルド・クーラー》

 《エメラルド・クーラー》。《マーシャル・クイーン》の進化元として歴代最強クラスのカードだ。

 とはいえ、これだけだと光マナ総数の調整が必要とはいえ《コスモ・ポリタン》のスロットが差し変わるだけで、「《エメラルド・クーラー》の登場によって生まれる新たなコンセプト」にはたどり着かないようにも思われる。

 ただ、それでも一応デッキを作ってみるのが私の普段の作業となる。以下はその作業がどのような結末にたどり着いたのか、という記録のようなものと理解してもらいたい。

 さて、仮にこれまで《マーシャル・クイーン》のデッキが水単ベースが最適解であったとしても、既述のように《エメラルド・クーラー》を採用するならば光文明のカードを何スロットか採用せざるをえない。その場合、どのような光文明のカードが入ると考えられるか。

▲「黄金戦略!!デュエキングMAX 2022」収録、《暴発秘宝ベンゾ/星龍の暴発》

 そう、《暴発秘宝ベンゾ/星龍の暴発》だ。

 「星龍マーシャル」として分類されるこのアーキタイプは、S・トリガーを持っていない大型カードにS・トリガーを付与し、ベンゾで暴発させることをコンセプトとしている。それには《マーシャル・クイーン》から《暴発秘宝ベンゾ/星龍の暴発》を踏み倒すことが前提となるが、そのためのハンドキープを緩くしてくれるのが《エメラルド・クーラー》というわけだ。

 一旦このコンセプトをデッキリストにしてみるなら、以下のようになるだろう。

 『途中経過』

枚数
カード名
4 《エメラルド・クーラー》
4 《カシス・オレンジ/♥応援してくれるみんなが元気をくれ~る》
4 《カシス・パイン/♥あたしのスパークがメロメロにさせ~る》
4 《マーシャル・クイーン》
4 《暴発秘宝ベンゾ/星龍の暴発》
4 暴発したいデカブツ or デカ呪文
16 何か

 

 だが、ここで一つ問題が生じる。それは《マーシャル・クイーン》への依存度が高すぎるという点だ。

 3~4ターン目までに《マーシャル・クイーン》を引き込めていなかった場合、このデッキは実現すべきコンセプトがない無ッキ (無のデッキ) の状態に陥ってしまう。ゆえに余りのスロットには、《マーシャル・クイーン》を引き込めなかった場合のセカンドプランを詰め込む必要がある。

 ではプランBとしてはどのようなカードたちが相応しいだろうか?

 ここで私は「分岐の流用」という考え方を採用することにした。

 たとえばあるデッキが2~4ターン目にそれぞれ「A→B→C」というアクションをとることを想定したコンセプトを持っているとする。するとセカンドプランは「D→E→F」という風に表現できるが、これだと「AとE」や「DとB」といった手札組み合わせに対応できない。

 そこで「A=D」と仮定することで、「A→B→C」と「A→E→F」というAを分岐の軸とした2つのコンセプトを持ちつつも、安定したデッキを成り立たせられるというデッキ構築上の考え方だ。

 これは何も難しい話ではなく、たとえば龍軸のデッキであれば《メンデルスゾーン》《ボルシャック・栄光・ルピア》という「A」を流用してそれ以降のアクション分岐を考えていることだろう。あるいは闇自然アビスなら《フェアリー・Re:ライフ》《ドミー=ゾー/「倒したいか?」》が「A」である。

 なぜこのようにしてデッキを構築するのか?それは「A→B→C」がデッキコンセプトだからだ。「A→B→C」の再現性を上げるために最も多くのデッキスロットを割くのは、公開情報が最も少ない2ターン目の「A」である。ならばセカンドプランにも「A」を流用した方が、デッキ構築上カードスロットの効率が良いのだ。

 さてそのように考えると、「星龍マーシャル」における「A」は何にあたるだろうか?……そう、《エメラルド・クーラー》だ。もっと言うと、2ターン目に展開する《マーシャル・クイーン》のための進化元がすべて「A」ということになる。

 つまり「星龍マーシャル」のセカンドプランは、何の変哲もないスプラッシュ・クイーンの2コスト進化元を生かしたものが望ましいということになる。

 だが、そんな都合の良いセカンドプランが見つかるはずも……あった。

▲王道篇 第2弾「カイザー・オブ・ハイパードラゴン」収録、《超光喜 エルボロム》

 《超光喜 エルボロム》を使えばいいのでは???🤔🤔🤔

 「超化獣」はあらかじめ脇にクリーチャーを出しておくことでフルポテンシャルを発揮できる。そしてそのクリーチャーは条件を問わないので、《マーシャル・クイーン》をいつでも出せるようスプラッシュ・クイーンの進化元を出すことがすなわち《超光喜 エルボロム》召喚の布石にもなるのである。

 そしてもちろん《超光喜 エルボロム》は踏み倒したいカードを自前で埋められる上に《暴発秘宝ベンゾ/星龍の暴発》も唱えられるので、1ターン遅いものの「星龍マーシャル」がやりたいことをそのまま再現できる。これをデッキに入れない理由はないだろう。

 というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!

 『星龍マーシャル』

枚数
カード名
4 《エメラルド・クーラー》
4 《カシス・オレンジ/♥応援してくれるみんなが元気をくれ~る》
4 《カシス・パイン/♥あたしのスパークがメロメロにさせ~る》
4 《マーシャル・クイーン》
4 《超光喜 エルボロム》
4 《海姫龍 ライベルモット・ビターズ》
4 《暴発秘宝ベンゾ/星龍の暴発》
4 《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》
4 《サイバー・ブレイン》
4 《絶対華麗!マーシャル歌劇団》

 

 多色多すぎるだろ!!!😡😡😡

 さすがに2→3→4と動くデッキで多色20枚は正気の沙汰ではない。《エメラルド・クーラー》を使う以上、《暴発秘宝ベンゾ/星龍の暴発》で踏み倒す大型カードは光または水を含んでいることが望ましいが、そうなると《引き裂かれし永劫、エムラクール》ではなく《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》を入れておくかということになり、気がつけばこのザマである。

 また、《超光喜 エルボロム》から踏み倒す用のS・トリガー呪文の2種目として《絶対華麗!マーシャル歌劇団》を入れたはいいものの、そうなると《海姫龍 ライベルモット・ビターズ》もセットで採用することになるが、「ハイパー化」でタップした進化元の上に《海姫龍 ライベルモット・ビターズ》が乗るハイパー自己矛盾が発生したため、この構成は没となった。

 これによりわかったのは、《超光喜 エルボロム》はセカンドプランとして悪くはないものの、採用する以上他にあまり余計な多色カードを入れられなくなるという事実だ。

 《エメラルド・クーラー》《暴発秘宝ベンゾ/星龍の暴発》《超光喜 エルボロム》の時点で多色12枚。足せるのはあとせいぜい1スロットというところだろう。つまりセカンドプランの穴を埋めるのは単色パッケージであることが望ましい。

 だが、《超光喜 エルボロム》と相性が良い単色パッケージなど存在するはずも……あった。

▲王来篇 第1弾「王星伝説超動」収録、《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》
▲王来篇 第1弾「王星伝説超動」収録、《「正義星帝」》

 鬼羅スターを入れればいいのでは???🤔🤔🤔

 白米に納豆、光のクリーチャーデッキに鬼羅スター。いつでもどこでも出張可能なパッケージはご家庭の強い味方だ。

 さらに《「正義星帝」》は「離れない」効果によって次のターンの《超光喜 エルボロム》の「ハイパー化」を保証してくれる。これほど相性の良い組み合わせはないだろう。

 というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!

 『マーシャル鬼羅スター』

枚数
カード名
4 《エメラルド・クーラー》
4 《カシス・オレンジ/♥応援してくれるみんなが元気をくれ~る》
4 《カシス・パイン/♥あたしのスパークがメロメロにさせ~る》
4 《マーシャル・クイーン》
4 《「正義星帝」》
4 《超光喜 エルボロム》
4 《エヴォ・ルピア》
4 《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》
4 《暴発秘宝ベンゾ/星龍の暴発》
4 《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》

 

 ハンドキープが運ゲーすぎる!!!😡😡😡

 相変わらずの多色の多さには百歩譲って目をつぶったとしても、《マーシャル・クイーン》も《超光喜 エルボロム》も《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》もそれぞれそれ専用のハンドキープが存在するため、ドロー次第で結果的なミスで即死する一人罰ゲーム「ロシアンババ抜き」が開幕してしまうのであった。

 ここまででわかったことは多色の負荷に加え、「A→B→C」に対する「A→E→F」というセカンドプランを考えた場合、BとE、BとFや、CとE、CとFにもそれぞれ何らかのつながりが求められるというものであった。

 デュエマもカードゲームである以上、ランダムからは逃れられない。であるならば、起こりうるパターンに関してはたとえ分散の外れ値だとしてもケアしておかないと、その40枚はデッキではなくストレージ束の領域から出ないということになってしまうのである。

 だが、度重なる失敗によって私は、ついにこのデッキが求める要求のイメージを掴みはじめていた。

 必要なのは、「経済圏を小さくまとめる」ことなのだ。

▲「頂上決戦!!デュエキングMAX2023」収録、《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》

 《マーシャル・クイーン》の効用を最大化しようとすると、3ターン目に《暴発秘宝ベンゾ/星龍の暴発》を経由して「使ったら勝ち」のクリーチャーや呪文を使うことに終始してしまう。そして「使ったら勝ち」のカードは、たとえば《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》のように、大抵は《暴発秘宝ベンゾ/星龍の暴発》としかシナジーがつながらなかったりするものだ。

 だがそもそも、3ターン目であればそこまで厳しい要求は存在しないはずなのである。

 デッキビルダーは見栄えのために過剰なスケールを求めてしまいがちだが、本来デッキに必要なスケールとは対戦相手を倒せるラインよりちょっと上くらいで過不足がないものだ。

 したがって99マナでなくとも、本来のターンよりもほんのちょっと上のマナ域を踏み倒せればそれでいいのである。それが「経済圏を小さくまとめる」ということだ。

 《超光喜 エルボロム》に関して言うならば、5マナのS・トリガー呪文を踏み倒すだけで十分なはずなのだ。

 そう、すなわち。

▲王道篇 第2弾「カイザー・オブ・ハイパードラゴン」収録、《ハイパー・エントリー》
▲王道篇 第2弾「カイザー・オブ・ハイパードラゴン」収録、《聖霊超王 H・アルカディアス》

 《ハイパー・エントリー》と《聖霊超王 H・アルカディアス》のセットを入れればすべて解決するのでは???🤔🤔🤔

 《ハイパー・エントリー》ならば《超光喜 エルボロム》から踏み倒せるし、そこから踏み倒せる《聖霊超王 H・アルカディアス》も、やっていることは《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》とそこまで変わらない。ならば素出しが現実的な分、《聖霊超王 H・アルカディアス》の方が勝っているとすら言えるのだ。

 というわけで、あとはこの構成を前提に脇を埋めるカードを探していくだけだ。

▲王道篇 第1弾「デーモン・オブ・ハイパームーン」収録、《獲銀月 ペトローバ》
▲「20周年超感謝メモリアルパック 究極の章 デュエキングMAX」収録、《氷牙フランツI世/魔弾オープン・ブレイン》

 《獲銀月 ペトローバ》は《ハイパー・エントリー》から出せる「超化獣」でありながら4ターン目に《聖霊超王 H・アルカディアス》を着地させられるほか、《「正義星帝」》と同様に《超光喜 エルボロム》を安全に「ハイパー化」させられるので、デッキ構造と非常に噛み合ったカードだ。

 《氷牙フランツI世/魔弾オープン・ブレイン》はトリガー呪文として《カシス・オレンジ/♥応援してくれるみんなが元気をくれ~る》と同様に役割を果たしつつ、「3→4」のマナカーブで《超光喜 エルボロム》と、「3→5」のマナカーブで《ハイパー・エントリー》とも噛み合う単色カードなので、分散による下ブレを軽減してくれるラストピースと言えよう。

 というわけで、できあがったのがこちらの「ハイパー・マーシャル」だ!

 『ハイパー・マーシャル』

枚数
カード名
4 《エメラルド・クーラー》
4 《カシス・オレンジ/♥応援してくれるみんなが元気をくれ~る》
2 《カシス・パイン/♥あたしのスパークがメロメロにさせ~る》
4 《獲銀月 ペトローバ》
4 《マーシャル・クイーン》
4 《氷牙フランツI世/魔弾オープン・ブレイン》
4 《超光喜 エルボロム》
4 《暴発秘宝ベンゾ/星龍の暴発》
4 《聖霊超王 H・アルカディアス》
2 《飛翔龍 5000VT》
4 《ハイパー・エントリー》

 

まつがん「よし、このデッキで勝負だ!デッドマン!!」

デッドマン「いいですよ!でもその前に、剛流振好きの研究仙人のために、また新しいカードを持ってきましたよ!」

 はたしてデッドマンが持ってきてくれたカードとは!?

 次回に続く!

ライター:まつがん
 
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
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次回更新は8/9(金)更新!!