【『月刊ムー』も驚き!?】「ネッシーのうんこは儚(はかな)い」 生物のプロフェッショナルがUMAのうんこをガチ考察!!

取材・文=石川裕二

みんなーーー! UMA(ユーマ)って知ってるか!? チュパカブラとか、ビッグフットとか、ネッシーみたいに、生物学的に存在が確認されていない未確認動物のことだ!! そんなUMAたちは、一体どんなうんこをするのか気にならないか!? おれは気になる!!!! そこで、それぞれのUMAに似た動物の生態をもとに、UMAがどんなうんこをするのかを妄想してみた! 取材に協力してくれたのは、足立区生物園の園長・関根雅史さんだ!!


うんこの数珠つなぎ、そして絆(きずな)

本企画を実施するにあたっては、「幻獣のうんこ妄想してみた」の記事でお世話になった東武動物公園の飼育課長・下康浩さんをご紹介くださった、川口市立科学館の学芸係・梶本美岐さんに再びお力添えいただいた。川口市立科学館では、昨年6月に「ウンコ展〜?がつまったおとしモノ〜」という展示を開催。同展示では、東武動物公園、足立区生物園をはじめとする、全国の動物園などが展示協力をしていたのだ。

まさに、うんこの数珠つなぎ。うんこの絆(きずな)とも言える。本企画は、関根さんをご紹介くださった梶本さんによって成り立っていると言っても過言ではない。ありがとう、うんこのきずな。そして、これからも続いてゆけ、うんこの数珠つなぎ。前置きが長くなってしまった。さあ、キミも一緒にUMAのうんこを妄想しよう!!

▲足立区生物園の園長・関根さん


チュパカブラのうんこはコウモリに似ている!?

▲チュパカブラのイメージ

――関根園長、本日はよろしくお願いいたします! UMAのうんこを妄想しようということで、まずはチュパカブラから考察していければと思います!!

まず、UMAというのは未確認動物のことなので、どのUMAのうんこも想像でしかない、というのを前提に話を進めていければと思います。チュパカブラですが、家畜動物などの血を吸う生物だとされています。イラストを拝見すると、人間に近いフォルムですね。これは、ほ乳類と考えていいでしょう。ほ乳類の仲間で血を吸う生き物となると、中南米に生息するチスイコウモリくらいしか考えられません。なので、コウモリをベースに推理していくのがいいのではないかと思っています。

――おお……、なんだか学術的ですね……!

では、吸血コウモリが一体、どのようなうんこをするかという話になります。血液にはミネラル分などが含まれていますが、決して栄養価が高いものではありません。チュパカブラには羽が生えているという説もありますが、人型のフォルムで空を飛ぶとなると、相当量のカロリーが必要で、相応の血液の摂取が必要になってくるだろうと思われます。

――そ、それで、一体、チュパカブラのうんこはどのようなものなのでしょうか……!?

鉄分が酸化して、ドス黒いべったりとしたうんこをするはずです。本当に血液しか摂取していないのであれば、粘質性の高い、黒っぽいうんこをするのではと想像します。

――なるほど、そのようなうんこがあれば、チュパカブラ実在の手掛かりになりますね……!

仰る通りです。うんこは、生き物の暮らしや生き様を間接的に知ることができる、とても大切な研究素材なのです。


ビッグフットのうんこはヒグマに似ている!?

▲ビッグフットのイメージ

――次は、ビッグフットのうんこを考察していきましょう。

イメージイラストを拝見する限り、ゴリラに近い姿・形をしているように思いますが、ゴリラは熱帯の森林地帯に住んでいます。一方、ビッグフットは、北米ロッキー山脈での目撃例が多く、比較的標高が高い寒冷な森林地帯に住む生物だと考えられます。

さて、ビッグフットの高山での暮らしぶりを想像するに、ゴリラというよりは熊に近い生物なのではないかと推察します。ゴリラは温かいところに住んでおり、完全なる草食性です。草や木の実などを食べているので、うんこには繊維質や植物の種が含まれています。

一方、同じく北米の森林地帯に生息するヒグマ(グリズリー)は2メートルを超える個体もザラですし、足もかなり大きいです。なぜ、熊に近いかと考えるもう一つのポイントは、寒いところに住んでいるので、カロリーを蓄えないと環境に耐えられない、という点です。

そうなると、植物食だけでは難しく、ビッグフットは雑食性でかなり肉食傾向が強いのではと考えます。とは言え、熊は季節によって、食べるものがかなり異なります。春は新芽などを積極的に食べますし、夏は果実や昆虫を食べます。時にはシカを襲うこともあります。北方に住む熊ほど、つまり、寒冷地帯になるほど、肉食性が強くなる傾向があるように感じます。

ビッグフットが熊に近い行動パターンをとっているのならば、季節によって、うんこも様変わりするのではないかと。冬眠に入る前は、皮下脂肪を増やすために肉食性がかなり強くなりますから。家畜を襲う可能性もあります。

――せ、説得力がすごすぎる……! そ、それでビッグフットのうんこは一体……!?!?

こんもりというか、人間が両手ですくえるくらいの量をするでしょうね。消化能力はさほど高くないので、植物性のものを食べれば繊維質や果実の種が多く混じっているはずです。シカを食べれば、毛や骨もうんこに混じって出てくるでしょう。ああ、実際に調べられたら、おもしろいんですけどね。話していてワクワクしてきました。


ネッシーのうんこはミズオオトカゲに似ている!?

▲ネッシーに似た首長竜のイメージ

――では、次はネッシーのうんこの考察をお願いいたします!

ネッシーはですね、現存する生き物と比較するのが難しく、何に近いのだろうと散々悩みました。姿・形からすると、首長竜に近いのかなとは思います。なかでも、プレシオサウルスにそっくりですね。プレシオサウルスは海水で生きていました。ただし、ネッシーの目撃情報があるネス湖は淡水です。

――あぁ〜、比較が難しいですね……。

まあ、細かいところは気にせずいきましょう。プレシオサウルスが何を食べていたかと推測すると、魚や甲殻類を食べていただろうと想像できます。ただ、私はプレシオサウルスのうんこの化石というの見たことがないので、あくまで想像でしかありません。これは説得力に欠けるぞ、何か他に近い生き物はいないか、と考えた時に思い出したのが、足立区生物園でも飼育しているミズオオトカゲという、は虫類です。

ミズオオトカゲは、水のなかでよく魚を捕食するので、共通点があります。通常、乾燥地に住むは虫類のうんこは、尿酸と言って、白い石灰状のうんこになることが多いのですが、水辺に暮らすミズオオトカゲには、あまり尿酸が含まれていないため、固形ではなく、べっちゃとしたうんこになります。さらに、うんこを水中でするので、水の中に溶けてしまいます。

とすると、ネッシーのうんこも、水中に溶けて消えてしまうだろうと。ただ、甲殻類の殻の破片や、魚の小骨や鱗が含まれているものだと思われます。

――儚い、うんこなんですね……。

うんこに儚いという表現がしっくりくるかはわかりませんが、うん、まあ、はい。そうなのかな、儚いのかな……。

話は変わりますが、最近、「環境DNA」という研究が進んでいます。水中に残留するDNAを採取して、どの生物がどんなところでどんな行動をしているかを探る、というものです。ネス湖でそれをやれば、謎のDNAが見つかって、それがネッシーのもの、という可能性もあるかもしれません。

――おぉ! そんなすごい研究が!! ちなみに、関根園長は、UMAはいると思いますか?

人間がまだ認知していない生物、という意味で言えばいると思います。実際、私の知り合いで、昆虫館の飼育員をしている人間は、数年前に新種のゴキブリを発見しました。まったく見たこともないような新種の生物を見つけるのは難しいと思いますが、オカピなんかは20世紀最大の生物界の発見と言われていますので、仮にビッグフットがいても不思議ではありません。

先ほども申し上げましたが、うんこは、それらの生物を探る、いい手掛かりになります。ヒグマのうんこだと思って採取してみたものが、調べてみたら、どうもヒグマの特徴とは似ていない、ということもあり得ますからね。うんこは、生物を知るための大切な手掛かりなのです。


「カブトムシ・クワガタムシ展」が9/4まで開催!

――UMAのうんこのガチ考察、ありがとうございました!! ところで、足立区生物園では、現在、「カブトムシ・クワガタムシ展」を開催していますね。小学生の読者にはたまらない展示となりそうです!

「ムシキング」が流行った頃から、日本の法律で海外のカブトムシ・クワガタムシが輸入できるようになったんです。当時からそうですが、子どもはとってもカブトムシとクワガタムシにくわしいんです。ところが、実物を目にすると触れないんですね。かっこいいフォルムをしているけど、どうやって触ればいいのかはわからないと。

当園では、触ることによって、生きものであるという実感を持ってもらいたいという思いがあり、ヘラクレスオオカブトを触って楽しんでいただけるような展示をしています。生きものとの距離を体感してほしいんです。

――なるほどなぁ。命ある生きものなんだよ、と。

そうです。一方で、外国産のカブトムシやクワガタムシが年間、何万匹と日本に入ってきていて、簡単に購入できるようになりました。しかし、適切な飼い方を知らずに飼育を始めてしまった結果、逃げ出してしまったり、飼いきれずに野外に離してしまうというパターンも少なくありません。国立環境研究所の報告によると、東南アジアのヒラタクワガタと日本のヒラタクワガタを交雑させると、ハイブリッドになると言われています。つまり、交雑種がどんどん増えてしまって、何万年も掛けて分化してきたヒラタクワガタの遺伝的な多様性が失われてしまうんですね。

生きものを飼う時は、興味本位だけで飼うのではなく、寿命をまっとうするまで飼い続ける必要があるのだということも、同時に伝えていきたいと考えています。でも、何よりも、展示を見て楽しんでいただければ幸いです。そのなかから、一つでも学びがあれば、なおうれしいですね。


足立区生物園バーチャルツアー!

▲足立区の元渕江公園内にある、足立区生物園
▲スタッフ直伝の昆虫最終のコツなどを紹介!
▲関根さんが言っていた、カブトムシを触れる展示! 記者は大きさにビックリしたぞ!!
▲こちらはエントランスにある金魚の大水槽。金魚の水槽としては日本一なのでは、と関根園長。足立区内に金魚の養殖場があったことにちなんで展示しているんだ!
▲こちらは常設展示のコーナー!
▲マングローブの生態系を再現!
▲幻想的なクラゲの水槽もあるぞ!
▲こちらはリクガメ。とっても大きくて、のそのそ歩いていた!
▲蝶の飼育室には、こんな掲示が。同園では、日本の固有亜種の蝶・ツシマウラボシシジミの保全活動に努めているんだ! すっげーー―!
▲ネッシーの際に話題に出てきた、ミズオオトカゲ。脱力していてかわいい!


閲覧注意! リクガメのガチうんこの写真だ!

▲記者が後ろを振り返ったら、リクガメが立派なうんこをしていた! 草食だから緑のうんこだ! なんたるタイミング!! これをうんこの奇跡と呼ばずになんと言う!!!!
▲超難しいとされるホタルの養殖もしているぞ!
▲大温室では、無数の蝶々が舞っている。写真は蜜を吸っている蝶々だ!
▲開催中のカブトムシ・クワガタムシ展。日本と世界のカブトムシ・クワガタムシを展示しているぞ!

キミも、昆虫・魚・動物がいっぱいいる足立区生物園に行ってみよう!

■足立区生物園のホームページは下記リンクから!
https://seibutuen.jp

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