【コロコロ学園YouTu部】原作の魅力を届けたい――2周年に向けておもしろさが加速するアニメ『ブラックチャンネル』

取材・文=石川裕二

オススメのYouTuberやYouTubeチャンネルを紹介する企画「コロコロ学園YouTu部」! 第5回は、原作がコロコロコミックでも超人気連載中のアニメ『ブラックチャンネル』!! 制作しているアニメーション会社Plott(プロット)に在籍する、プロデューサーの和田さん、イラストレーターのカゴハシさん、シナリオのSさんに、アニメ『ブラックチャンネル』の制作秘話を聞いてきたから、ぜひ読んでくれよな!!

▲和田さん
▲カゴハシさん
▲Sさん

『ブラックチャンネル』原作の魅力

▲アニメ『ブラックチャンネル』のオープニング

――本日はよろしくお願いいたします! まず、原作の『ブラックチャンネル』(きさいちさとし先生)を読んだ際の印象を教えていただけますか?

和田(プロデューサー):『ブラックチャンネル』のおもしろいところは、ブラックが何をおもしろいと感じ、どのように動画としておもしろくしていくか、だと感じました。我々がYouTubeで『ブラックチャンネル』のアニメをつくる際は、原作者のきさいち先生、担当編集の方と一緒にオリジナルストーリーを考えているのですが、原作の魅力を損なわないように気をつけている点でもあります。

S(シナリオ):何と言っても、ブラックのかっこよさだと思います。ブラックは悪魔なので、人間とは違う視点と人知を超えた力を持っている。それによって、撮影対象のいろいろな側面を悪魔の視点で見せてくれるんです。

最初に、『ブラックチャンネル』の読み切りが載った「ミラコロコミック」を代表からもらい、「この漫画をアニメ化するんだけど、どう思う?」と言われた時には、漫画がおもしろいので、アニメも絶対におもしろくなると思いました。

カゴハシ(イラストレーター):お話の第一印象でいうと、人間の裏側ですよね。誰しもが一度は感じたことがあるような妬みの感情などをテーマにしていて、共感性のある作品だと思いましたし、物語が最後に好転して後味がさわやかなのもいいな、と思いました。最近の内容ですと、都市伝説やSCPなどは、悪魔にとっても未知のものなんだなと思って、ブラックたちが楽しそうに撮影しているところが好きです。

ブラックの表情や迫力もかっこいいですし、読み応えがバツグンなんです。私はアニメ版『ブラックチャンネル』の制作陣の一人でもありますが、きさいち先生の描く『ブラックチャンネル』が本当に好きなんです。絵柄もデフォルメ調なのに、かっこよさとかわいさの両方が表現できて、描いていて本当に楽しいです。

――おお〜、なんだか、聞いているとこちらまでうれしくなってしまいます! みなさんが原作に魅力を感じてくださっているからこそ、アニメ版も高クオリティで数百万再生を超える動画も出ているんですね。

カゴハシ:語りきれないほど好きです(笑)。

――ありがとうございます(笑)。『ブラックチャンネル』は連載早々にアニメ化しました。それこそ、アニメ化のプロジェクトは本誌での連載とほぼ同時進行だったと思いますが、やりづらい点や、逆に自由にできた点というのはありますか?

S:そうなんです、アニメ化のお話をいただいた時はミラコロの1話しか情報がなかったんですよ! でも、そこは本誌の編集担当の方が連載とアニメ化を併走して、「ここはこうしたらいいのではないでしょうか」などのアドバイスをくださりました。主人公のブラックは、ダークヒーローというか、最強のキャラなのでそこを崩さないようにしようというのと、ブラックが何を撮りたくて物語が始まるかは明確にしよう、というお話をいただきました。

カゴハシ:確か、ブラックとカメラちゃん以外は色の設定もなかったと思います。そこで、担当編集の方に、さとしくんやひめちゃんの色を「決めてくださっていいですよ」と言われたのを覚えています。さとしくんは、純粋にYouTuberに憧れる少年だったので、YouTubeのマークをTシャツに付けたり、純粋さを表現するために白や青の服装にしました。「本当にこれで大丈夫だったかな」と思う時期もありましたが、原作でカラーページが出た時に、同じ色設定になっているのを見て、ほっとしました。

あとは、衣装チェンジする時のブラックの服は「絶対にダサい服は着させられない!」と思って、いつもかっこいい服をデザインするように意識しています。

▲アニメ『ブラックチャンネル』第1話から。確かに服装が白と青だ!

――おお〜、そうだったんですね! アニメ化するにあたって、原作者のきさいち先生から何かリクエストはありましたか?

和田:「自由にやってください」と言っていただきながらも、先生が「大切にしていることがある」と。

――ほう、なんでしょう!?

和田:「ブラックというキャラクターは最強なんです」と。だから、負けることはないし、弱みを見せることもない。逆に、弱みを見せる時は、何か目的があるんです。たとえば、撮影対象者の裏側を引き出すために、わざと弱みを見せたり、という具合ですね。

――ああ〜、確かにそうですね! そのブラックの最強さを際立たせるための演出などで、何か意識しているポイントはありますか?

和田:ブラックがここから物語を転がすぞ、という時に画面の色味を変えて、世界観の変化を伝えようとしています。我々は“ブラックタイム”と呼んでいるんですけど。

S:ブラックタイムありますね〜! ブラック専用の、色味を変えるフィルターがあるんですよ。1話を初めて見た時、感動したのを覚えています。

▲ブラックタイムは画面の色味が変わる! 上のさとしの画像の、教室の扉のガラスの色を見比べてみてくれ!!

カゴハシ:イラストの面で言えば、私がほぼイラスト全体の監修をしているのですが、顔のバランスやシルエットにこだわっています。「ブラックのシルエットはこうじゃないとダメなんです!」って(笑)。前髪だったり、体型だったり、、ポーズだったり、襟元や服の凸凹だったり、特徴がいくつもあるんです。

逆に、さとしくんはコロコロ特有のギャグ顔などがあるので、表情をオーバーにするようにしたり。原作は常にデスクに置いて、何か迷った時は読むようにしています。そうでないと、『ブラックチャンネル』という作品の根底が変わってしまうので。

▲ギャグ顔のさとし

――みなさんのプロフェッショナルな部分が伝わってきます! アニメ『ブラックチャンネル』は隔日更新で、毎回、1話完結のオリジナルストーリーが展開されていますが、正直、どこからあれだけのネタを用意できるのか不思議に思っています。

和田:毎回のテーマは、『ブラックチャンネル』に携わっているPlottのメンバーや小学館の方が持ち寄る形で、週に1回、打ち合わせをしています。テーマのネタを出すのは8人くらいですかね。打率は3割くらいです。10本出したら、3本採用という感じです。1回ボツになったテーマも、切り口を変えて採用になることもあります。

――関わっている方の数だけ、視点も変わりますもんね! シナリオ担当のSさんが、ストーリーを制作する上でこだわっている点を教えてください!

S:チーターを撃退する回は、どうすればブラックが一番かっこよく見えるかをみんなと話し合って書きました。予想を裏切る新鮮さというか。ブラックを装った偽物が出てきた時は、偽物を通じてブラックの魅力を再認識してほしいなと思ったり、コールドスリープの回は、さとしとの友情を感じてほしいと思いながらシナリオを書きました。

和田:「この回は、こういう人に楽しんでほしい」とか、ターゲットを明確にしているところはあるよね。

S:そうですね。テーマによって、こだわっている部分はさまざまです。

――チャンネル登録者数は30万人目前(※2022年3月時点)で、200万再生を超える回もあります。この大きな反響をどのように受け止めていますか?

和田:YouTubeのコメント数や高評価の数でファンの方の熱量を感じています。Twitterを見ると、初見の方が見てくださっているのも感じられて、うれしいですね。

S:見てくださる方には、感謝しかありません。その上で、「原作を買いました!」というコメントを見ると、原作の魅力を届けられたという意味で、アニメ化の意義を果たせているのかなと思っています。

カゴハシ:私も本当に原作が大好きなので、アニメを通じて『ブラックチャンネル』に興味を持つ人や、好きになる人が出てきてくださるのが本当にうれしいです。「自分と同じファンが増えた!」みたいな気持ちでいます。

――Plottさんでは、ほかにも『テイコウペンギン』や『混血のカレコレ』など、多数の人気YouTubeアニメを制作していますが、YouTubeアニメの魅力はどんなところだと思いますか?

S:『ブラックチャンネル』で言えば隔日更新なので、短いスパンで新作が見られるところだと思います。つくる側としても、リアルタイムで視聴者の方々の反応を見ながら新しい話をつくっていけるのが魅力です。あとは、短い動画の尺のなかに、おもしろさがグッと詰め込んであるのが、YouTubeアニメの魅力ではないでしょうか。

カゴハシ:ネット環境があれば、どこでも見られる気軽さが魅力的だなと思っています。テレビだと放送していない地域があったりするので、全国規模で人に勧めやすいのもいいのかなと。

和田:そうだね。テレビの画面の前で、この時間に見ないといけない、みたいなハードルはないよね。『ブラックチャンネル』のように、原作あってのアニメ版という意味では、コロコロからPlottを知る人、Plottからコロコロや原作を読んでくださる人が出てくるのも、いい相乗効果になるのかなと思っています。互いのファンが、それぞれのコンテンツを楽しんでくださるきっかけにもなるのかなと。

――コロコロコミック3月号のPlottキャラクターステッカーの付録は、正にその相乗効果の表れと言えますね! 最後に、アニメ『ブラックチャンネル』の今後の展望を教えてください!

和田:ファンの方に楽しんでいただく、という初心を忘れずに制作し続けていきたいです。アニメ『ブラックチャンネル』は基本的に1話完結ですが、3月にはストーリー編をつくったり、今後、いろいろなチャンネルとコラボしたりと、アニメ化2周年に向けていろいろな取り組みをしているので、期待していてください!!

――おお〜〜、それは楽しみです! みなさん、本日はありがとうございました!!

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