あ……これは沼かもしれん
そのゲームの説明で見た数々のウリ文句は、どれもこれもパーフェクトに俺の琴線に触れてきた。
曰く、
「キャラクターだけでなく、ダンジョンも育てる!」
「ダンジョンを農地化するローグライクゲー!」
「くり返し潜ることで、攻略効率がさらにアップ!」
「育てたフロアは、アイテムがウハウハ状態に!」
「クリッカーゲームの雰囲気もアリ!!」
……こんなコピーを見せられたら、採る行動はひとつしかないではないか。
「買うッ!!! いますぐこのゲームを買って、遊びまくりますッ!!!」
脊髄反射の素早さで、ニンテンドーeショップのダウンロードボタンを押してしまった、そのタイトルとは……!!
CAVYHOUSEというインディーメーカーが開発し、2月3日にNintendo Switch、プレイステーション4、Xbox One、Xbox Series X|Sで発売となった、『くちなしアンプル』というローグライクゲームです!! Steam版は2021年3月にリリースされているので、すでにやり込んでいる人もいるかと思うけど、俺はこのNintendo Switch版が初プレイでありました。
いやでも、ゲームを起動した直後はその独特過ぎる世界観を目の当たりにして……。
「だ、ダイジョブかな……。ちゃんとハマれるかな……?」
と、少々ビビッてしまったんだけど……つぎに気付いたときには、プレイ開始から6時間も経過していたわ(驚)。つまり、それほど……!!
このゲームの沼にハマり込んでしまっているということ!! 現在進行形で、『くちなしアンプル』を遊びまくっておりますよ!!ww
くり返しやっちゃうんだよねえ
『くちなしアンプル』がどういうゲームかと言えば、冒頭で書いた、
“ダンジョンにくり返し潜ってアイテムや素材を集め、キャラだけでなくダンジョンそのものも育てていくローグライクゲーム”
↑こちらの説明の通りだと思う。
主人公は新米錬金術師の“イレーヌ”という女の子で、彼女が通販ショップの“メルクリ”で格安中古ダンジョンを購入したことから物語はスタートする。
ダンジョンの中には、
“エレメント”と呼ばれる成長に必要な素材が落ちていたり、
それを護るかのようなエネミーがうようよと蠢いていたりする。イレーヌはこれらの敵を倒しながら下へ、下へと潜っていき、たくさんの素材を持ち帰ってダンジョンを拡張、発展させるのが目的……というわけだ。
ダンジョン内では、イレーヌもエネミーも1ターン1行動の制限があるので、じっくりと考えながら攻略することが可能。
敵に囲まれて窮地に陥ったとしても、回復アイテムでギリギリの状態でしのいだり、階段まで逃げて行ってどうにかこうにか振り切る……なんていう、死んだら最後(大量のアイテムを失って地上に強制送還される)のローグライクらしい戦略を採ることもできるのだ。
この、ヒリヒリとしたやり取りが堪能できるだけでローグライク好きの俺としては「いいね!」と太鼓判を押したくなったんだけど、『くちなしアンプル』はそんなに単純で生半可なゲームではなかったのだ。
くり返し書いてきた通り、このゲームのミソとなるのが“ダンジョンを農地化できる”ことにあるのである。
持ち帰ったさまざまなエレメントは、ダンジョンを育てるための“素材”となる。
↓こんな感じで。
たとえば“B004”(つまり地下4階ね)のフロアーをファームレベル3にあげるには、“レモングラス”が23個、“小さな空気のかけら”が4個必要……ってこと。この場合、後者は数が足りているけどレモングラスが足らないので、まだレベルアップすることができない……ということになる。レベルが上がると、採集できるエレメントの数が飛躍的に増え、
このようなウハウハ状態にwww さらにゲームが進むと、ダンジョンの“マジックレベル”を上げられるようになり、そちらもガンガン上げていくと……!
フロアー内に、体力や魔力の回復をしてくれたりする魔法陣が出現するようになる。
こうして、フロアーのレベルが上がるごとに攻略が楽になっていき、イレーヌはさらなる奥地へと歩みを進められるようになる。その結果、最終的にダンジョンがどうなるのかと言うと……!
B002~B004がいっしょくたになっているのがわかると思うけど、この状態のフロアーは……↓こうなってしまうのだ!!
いっさい敵が出てこない空間に、大量のエレメントが落ちている!!www
そう、これがダンジョンの“農地化”だ。このような農地化されたフロアーを増やすことでダンジョンはおもしろいように“圧縮”され、序盤のフロアーはすっ飛ばして(でも大量のアイテムを回収して)奥地へと進出できるようになっているのである。
もちろん、調子に乗って奥へ奥へと進んでいくと、
こんな感じで強敵に囲まれて、万事休すの状況に陥ることもしばしば……w さらに、
要所にボスが待ち構えているので、いくら冒険しやすくとも、そうそう簡単にすべての階を制覇することは難しくなっているのだ。
そして、集めたエレメントはダンジョンを育てるのと同時に、
イレーヌのスキルを覚えるための素材としても使用するので、どちらに優先的に割り振るかで攻略の道筋も違ってくる。いやあ、ホントに悩ましいけど楽しいわこういうの……w
超個性的なローグライクゲームゆえにプレイヤーは選ぶかもしれないけど、俺はメチャクチャ好きだわ『くちなしアンプル』。ぜひぜひ手に取ってもらいたい1本です!
大塚 角満
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。