元サッカー日本代表の鈴木啓太さんが、アスリートの腸内細菌を研究する会社・AuB(オーブ)を立ち上げた! 一体、うんこから何がわかるの!? そして、アスリートの活躍にどう役立つの!? うんこ大好きなコロコロオンラインが、気になることをズバリ聞いてみた!!
▲元サッカー日本代表選手の鈴木啓太さん(ホームページのスクリーンショット)
うんこの7割は水分。残りは……
――アスリートの腸内細菌の研究を始めた、きっかけを教えてください!
現役時代から、自分のコンディションをつくっていくなかで、お腹の調子が密接に関わっていることを感じていたんです。単純に、お腹が痛いと調子が出なかったり、トレーナーの方から「お腹が冷えている時は筋肉の調子が悪いね」と言われたり。アテネオリンピックの最終予選でドバイに行った時は、みんながお腹を壊したのに自分だけは平気だった、という経験も腸内環境に興味を持つ理由の一つとなりました。
――えっ、それはすごいですね!
振り返ると、母親に「お腹は大事にしろ」と言われて育ったんですよね。自分は体が細かったこともあって、栄養面を含む食育や体づくりについて、母親が気に掛けてくれていたんです。そうそう、日頃、同じトレーニングをして、同じ量の食事をしているのに、アスリートによって体重が増える人もいれば、減る人もいるんです。そういう自分が見聞きしてきたことも、腸に興味を持つきっかけになりました。
――でも、日本代表まで務めた方が、引退後に腸内環境の研究を始めると言ったら、周りの方は驚いたのではないでしょうか!?
そうですね。よくわからないとか、うまくいくはずがないとか、だまされているんじゃないかとか、いろいろな反応がありました。でも、わかってもらえなくてもいい、という思いがありましたし、何より、自分の人生なので他人が決めることでもないよなと思って。自分は腸内細菌のエキスパートでもないので、みんなそう思うよな、というのはある意味で納得というか。
――そこを覆して、現在は元所属チームでもある浦和レッズの若手育成に腸内環境のことで関わっていたり、起業のことがテレビ番組で取り上げられていたりと、軌道に乗ってきていますね。実際、便の検体からは、どのようなことがわかるのでしょうか!?
うんちって、水分が60〜70パーセントなんですよ。残りは食べ物のカスが5パーセント。そのほかは、腸壁のはがれた物や、腸内細菌の死骸です。つまり、うんちを送ってもらうと、腸内にどんな細菌がどれくらいいるのかが分かるんです。たとえば、ビフィズス菌や乳酸菌など、細菌がどんなパーセンテージで構成されているのかもわかるんです。
うんこは自分からの便り
――はい(「うんち」……鈴木さんは、「うんこ」を丁寧に言う方なんだな)。
腸内には、いろいろな菌がいるほうがいいとされています。アスリートは腸内細菌に多様性があることがわかっているのですが、それには運動や食事の習慣が影響していると思われます。特に酪酸(らくさん)菌と呼ばれるものが多く、酪酸菌がつくり出す短鎖脂肪酸が多いと、持久力につながるという論文も出ています。
――ほ〜、それがアスリートの持久力の高さの秘訣なんですね。AuBさんのコーポレートサイトを拝見すると、元五輪選手から、新しい機能を持ったビフィズス菌を発見したという発表がありましたが、これはどのような意義があるのでしょうか!?
従来のビフィズス菌より、短鎖脂肪酸をつくり出す機能が11倍あるビフィズス菌を発見したんです。特別な被験者(五輪に出場できた選手)から、このような新しい機能を持った菌が発見されたことで非常に注目をされています!
――今年5月からは、古巣である浦和レッズの若手選手の育成サポートに携わっていますが、契約が決まった時はうれしかったのではないでしょうか!?
自分がチームを離れてからも、何らかの形でサッカー界に貢献したいという気持ちがあったので、うれしかったです。自分たちの研究が、形として具現化できるところまで来たことも喜ばしいです。
――最後に、小学生男子へのメッセージをお願いします!
うんちをすることって、恥ずかしかったり、汚いなと思ったりするかもしれないけど、自分の成績表みたいなものなんだ。それに、「便」って「便り(お手紙)」でもある。自分からの便りだから、色や形を見ることで、しっかり自分の健康状況を把握してほしい。毎日、元気に大きいうんちを出してほしいと思っています。僕の時代は、学校でうんちをするといじめられたけど、そうじゃない世界になることを祈っています。
■AuB株式会社のホームページ
https://aub.co.jp